★円盤の刃に秋草のきらきら散る 正子
草刈機の円盤状の固い金属片にふれて、より対照的な秋草のしなやかさです。刈られながらも、飛び散る緑が鮮明で美しく、まだ伸びる勢いの秋草のありようが生き生きと爽やかに伝わります。 (藤田洋子)
○今日の俳句
幾重にも石積みの畑秋高し/藤田洋子
段々畑は、石を積み上げて猫の額ほどの畑を山頂へと幾段も作った。作物にやる水も下から桶で運びあげねばならず、日本の零細農業の象徴のような存在だが、その景観は美しい。秋空を背にして山頂までの石垣がまぶしい。(高橋正子)
○貴船菊
[貴船菊/横浜日吉本町] [貴船菊/イギリス・コッツウォルズ]
★観音の影のさまなる貴船菊/阿部みどり女
「秀明菊」という名前を俳句では使いにくい。「秀明」という漢字が俳句的ではない。ことに「秀」が。したがって「貴船菊」を使うことになる。菊とは言え菊とは別の仲間。一重のものは、花の形が大ぶりながら可愛い。愛媛の砥部に住んでいたころ、近所の上品な夫人の家に一もと白があった。あちこちでも見るが、たいてい数本である。去年9月にイギリスに旅行したとき、コッズウォルズ地方の家々に咲きみだれていた。コッズウォルズで貴船菊に遇うとは、と驚いたのだが、しばらく見ているうちにそれがいかにもこの地方らしいと、納得した。大かたは、ピンク系であと少し白があった。ライムストーンの石壁によく馴染んでいた。コッズウォルズでも貴船菊は生活する花たちである。暮らしにも、家のたたずまいにも密着している。イングリッシュガーデンが日本でも一部で流行だが、一番は色合いが絵画的で、ゆっくりとした透明な時間が流れている。
★小さき村貴舟菊をどの家も/高橋正子
秀明菊は貴船菊ともいう。俳句では貴船菊が多い。多く観られる京都洛北の貴船に由来する。ピンクの花弁は実は額片で中央の黄色は雄蕊、地下茎で増える。
シュウメイギク(秋明菊、学名:Anemone hupehensis var. japonica)とは、キンポウゲ科の植物の一種。別名、キブネギク(貴船菊)。名前にキクが付くが、キクの仲間ではなくアネモネの仲間である。中国から古い時代に入ってきた帰化植物である。文献上では「花壇綱目」に「秋明菊」の名前で記載が成れていて、日本に定着していたことが窺える。中国では明代末の「本草綱目」には記載はなく「三才図会」に「秋牡丹」の名前で記載されるようになる。「秋牡丹」の呼称は貝原益軒も「大和本草」で使用している。以後日本の園芸書には「秋明菊」「秋牡丹」で紹介されることが多くなり、「しめ菊」「紫衣菊」「加賀菊」「越前菊」「貴船菊」「唐菊」「高麗菊」「秋芍薬」などの多様な別名で呼ばれることになった。花色は赤紫色であるが、近年、他種との交配品種が市販されるようになり、弁数が少ない品種や白色の品種が多く栽培されて名称の混乱が見られる。多年草で開花期は秋、高く伸びた花茎の上に大柄な花をつける。花は多数の赤紫色の花弁状の萼片が目立ち、本物の花弁はない。
◇生活する花たち「黄釣舟草・曼珠沙華・白曼珠沙華」(横浜・四季の森公園)
草刈機の円盤状の固い金属片にふれて、より対照的な秋草のしなやかさです。刈られながらも、飛び散る緑が鮮明で美しく、まだ伸びる勢いの秋草のありようが生き生きと爽やかに伝わります。 (藤田洋子)
○今日の俳句
幾重にも石積みの畑秋高し/藤田洋子
段々畑は、石を積み上げて猫の額ほどの畑を山頂へと幾段も作った。作物にやる水も下から桶で運びあげねばならず、日本の零細農業の象徴のような存在だが、その景観は美しい。秋空を背にして山頂までの石垣がまぶしい。(高橋正子)
○貴船菊
[貴船菊/横浜日吉本町] [貴船菊/イギリス・コッツウォルズ]
★観音の影のさまなる貴船菊/阿部みどり女
「秀明菊」という名前を俳句では使いにくい。「秀明」という漢字が俳句的ではない。ことに「秀」が。したがって「貴船菊」を使うことになる。菊とは言え菊とは別の仲間。一重のものは、花の形が大ぶりながら可愛い。愛媛の砥部に住んでいたころ、近所の上品な夫人の家に一もと白があった。あちこちでも見るが、たいてい数本である。去年9月にイギリスに旅行したとき、コッズウォルズ地方の家々に咲きみだれていた。コッズウォルズで貴船菊に遇うとは、と驚いたのだが、しばらく見ているうちにそれがいかにもこの地方らしいと、納得した。大かたは、ピンク系であと少し白があった。ライムストーンの石壁によく馴染んでいた。コッズウォルズでも貴船菊は生活する花たちである。暮らしにも、家のたたずまいにも密着している。イングリッシュガーデンが日本でも一部で流行だが、一番は色合いが絵画的で、ゆっくりとした透明な時間が流れている。
★小さき村貴舟菊をどの家も/高橋正子
秀明菊は貴船菊ともいう。俳句では貴船菊が多い。多く観られる京都洛北の貴船に由来する。ピンクの花弁は実は額片で中央の黄色は雄蕊、地下茎で増える。
シュウメイギク(秋明菊、学名:Anemone hupehensis var. japonica)とは、キンポウゲ科の植物の一種。別名、キブネギク(貴船菊)。名前にキクが付くが、キクの仲間ではなくアネモネの仲間である。中国から古い時代に入ってきた帰化植物である。文献上では「花壇綱目」に「秋明菊」の名前で記載が成れていて、日本に定着していたことが窺える。中国では明代末の「本草綱目」には記載はなく「三才図会」に「秋牡丹」の名前で記載されるようになる。「秋牡丹」の呼称は貝原益軒も「大和本草」で使用している。以後日本の園芸書には「秋明菊」「秋牡丹」で紹介されることが多くなり、「しめ菊」「紫衣菊」「加賀菊」「越前菊」「貴船菊」「唐菊」「高麗菊」「秋芍薬」などの多様な別名で呼ばれることになった。花色は赤紫色であるが、近年、他種との交配品種が市販されるようになり、弁数が少ない品種や白色の品種が多く栽培されて名称の混乱が見られる。多年草で開花期は秋、高く伸びた花茎の上に大柄な花をつける。花は多数の赤紫色の花弁状の萼片が目立ち、本物の花弁はない。
◇生活する花たち「黄釣舟草・曼珠沙華・白曼珠沙華」(横浜・四季の森公園)