珈琲一杯分の話

2018年2月26日スタートのただのボヤキカフェです。
毒とユーモアを楽しんで頂ければ幸いでございます。

逆転の話

2020-03-19 | 日記
私の実家のお隣の家のご主人は刑事である。
警察ではなくて刑事。
私が小3でそこに引っ越してきてから二年後くらいに隣に引っ越してきた一家で、ちなみに昔人気のあった刑事ドラマのハードボイルドな刑事と同じ名前だった。

実際「マル暴刑事」というのか、見た目もかっぷくがよくてタフな感じだったけど、私より4つ下の女の子の優しいお父さんだった。
女の子はあっちゃんといって、明るくてさっぱりしたいい子だった。
お互い「あっちゃん」「海ちゃん」と呼び合って一緒に小学校に行って遊んだので、私はその刑事のおじさんからも可愛がってもらえた。
夏には車でよく海に連れていってくれたし、将棋の相手をしてくれたりもした。

そのあっちゃんには近所に「きみちゃん」という天敵がいた。
きみちゃんはあっちゃんと同学年で、私が引っ越してきた時から近所にいた。
きみちゃんはさすがに4つ上の私の前ではそうでもなかったけど、あっちゃんには相当のイジワルをするらしかった。
何というか陰険な工作をするらしくて、あっちゃんはよく泣かされていた。
まあ大草原に出てくるネリーみたいな子かな。

白いプードルを飼っていて、傍目には裕福で幸せそうに見えたけどね。
後に両親は離婚して、きみちゃんはどんどんツッパリになっていった。

きみちゃんには年子のお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんも後に相当なワルになったと聞いた。
私が実家を出たのは18歳だから、その時で彼は15歳。
中学も重なってないし高校も違ったから知らなかったけど、その頃からグレだして、風の噂でヤクザになったと聞いた。

一方、あっちゃんは後に婦人警官になった。
大人になってから何年ぶりかで再会した時は、明るさはそのままに強い女性になっていた。
「今ならキミちゃんなんかに絶対負けない。私の方が泣かすわ、きっと」と笑って言った。

子ども時代のことなんて、将来いくらでも逆転できるという話である。
大人になっても何度でも、それはできると思うけどね。
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