ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。
最終順位が相手を上回ることへの「上位マジック」と、直接対決で相手に何勝すればマジックが出るかを表す「上位マジック点灯指標」を中心に、プロ野球のペナントレースを眺めます
<ちょっとコメント>
昨夜から「横浜ベイスターズの自力CS進出消滅」というニュースが流れている。中畑監督は「少しでも(復活の)可能性があるなら」と諦めない姿勢を見せたそうだ。
横浜の「自力CS消滅」は、昨夜の時点において間違いのない事実だが、マスコミの捉え方にはやや違和感を覚える。というのも「自力V消滅」と「自力CS消滅」を同列に考えている節があるからだ。しかし、この二つには大きな性質の違いがある。
「自力V消滅」は、ある上位チームとのゲーム差が単純に大きくなって発生するため、一度消滅すると復活させるのは難しい。「他力」の部分が「その上位チームの不調」以外にないからである。一方、「自力CS消滅」は複数チームによる星の争奪戦の中で発生するため、「他力」の部分が複雑でさまざまな可能性が浮上してくる。
セリーグは、これから広島とヤクルトのCS進出争いが本格化していくが、その過程の中で「CS進出勝率ライン」が大きく変動する可能性は少なくない。また潜在能力の高い阪神が調子を取り戻して争いに参入してくると、勝率ラインが大幅に下がる可能性もある。
従って、おそらく「自力CS」は「自力V」とは比べものにならないほどの頻度で「消滅」と「復活」を繰り返すはずで、一度の「消滅」で勝負あったという類いの出来事ではない。
そもそも横浜の「自力CS消滅」は、横浜が全勝する条件で残りのペナントレースをシミュレーションして、横浜が4位以下になるケースが一つでも出現すると成立する。
今回の場合は、例えば、巨人、中日、広島がヤクルトと阪神に全勝、かつ巨人が中日に0勝5敗4引き分け、巨人が広島に0勝6敗3引き分け、中日が広島に1勝5敗2引き分けという勝敗のときに、全勝の横浜が4位となる。この勝敗ケースでは、1位巨人、2位広島、3位中日となり、中日の勝率 0.592 が横浜の全勝勝率 0.591 を上回ってしまうからだ。
ただ、横浜が4位以下になる上位3チームの勝敗ケースは、非常に限られている。例えば、巨人の中日に対する成績が上に挙げた0勝5敗4引き分けではなく、0勝4敗5引き分けだと、中日の勝率は 0.589 となり横浜が3位に入ってしまう。
このように「自力CS消滅」は、複雑な「他力」任せの「消滅」という色合いが強い。そして同様に、その「復活」も「他力」任せの部分が大きくなる。「自力V」では見られない、こういった複雑さゆえに、CS進出争いは最終試合までもつれ込むことも珍しくない。
このブログで表として載せているように、現在、横浜のCS出場確率は 0.1 % ほどである。この数値は、横浜全勝といった極端なケースではなく、起こる確率の高い勝敗結果を中心に計算されている。
「他力」と「自力」が複雑に交錯するCS進出に関しては、極端なケースを想定して「自力」を強調する「自力CS消滅」といった物差しではなく、「他力」も「自力」も含めて常識的なケースを中心に導く「CS確率 0.1 %」といった数値から状況を把握するのが、より現実に即したやり方ではないかと思う。
勿論、「CS確率 0.1 %」を「もう無理」と取るのか「まだ諦める数字じゃない」とするのかは、まったくもって個人の自由である。ただ、横浜の場合、それが何かはともかく「すでに何かが消滅している」感が漂うのは、これだけ負けているのだから否定のしようがない(笑)。
<今日の動き>
New!
日本ハム -> オリックス マジック点灯
ヤクルト -> 阪神 危険水域突入
横浜・高崎とヤクルト・ロマンの両先発による投手戦となったが、1回裏に畠山のタイムリーで奪った1点を守りきって、ヤクルトが勝利。
中日は5回裏、和田と森野のタイムリーによる2点で逃げ切り、広島を3タテ。この結果、2位中日と3位広島のゲーム差は 10 に広がり、また広島と4位ヤクルトの差は 0.5 となった。
阪神は1回表に挙げた1点を、先発スタンリッジが7回まで守るも、8回裏に坂本の犠牲フライで同点にされた後、阿部のスリーランで一気に逆転され、そのまま敗北。阪神は盗塁、スクイズなどを試みて再三追加点を奪おうとしたが、巨人の杉内にあと1本を抑え込まれ、引き分けを挟んで6連敗となった。阪神はヤクルトからの上位マジック点灯指標が 1 となり、危険水域に突入した。
ロッテは、5回裏に西武先発の牧田を攻略して一挙に5点を奪い逆転。そのまま逃げ切って勝利。2位ロッテと3位西武の差は 1.5 ゲームに広がった。
楽天はオリックス先発の寺原から5点を奪い、さらに追加点。9回表にオリックスの反撃に遭うが、何とか乗り切って勝利。この敗北で、オリックスは日本ハムからマジックが点灯して、ついに自力優勝が消滅した。
<上位マジックの点灯動向と優勝・CS出場確率>
2012年8月9日22:20現在
セリーグ
1 |
巨人 |
0.659 |
--- |
48 |
77.7 |
99.95* |
中日 2.3 [9]、広島 -2.7 [9] (M 34, 0.708)、ヤクルト -0.4 [13] (M 35, 0.729)、阪神 -8.4 [6] (M 26, 0.542)、横浜 -7.8 [11] (M 22, 0.458)
2 |
中日 |
0.612 |
4 |
46 |
22.2 |
99.7 |
巨人 6.8 [9]、広島 -1.4 [7] (M 37, 0.804)、ヤクルト -1.1 [7] (M 37, 0.804)、阪神 -4 [10] (M 29, 0.63)、横浜 -4.4 [13] (M 25, 0.543)
3 |
広島 |
0.494 |
10 |
48 |
0.1 |
52.2 |
巨人 11.7 [9]、中日 8.4 [7]、ヤクルト 6.4 [12]、阪神 1.4 [11]、横浜 -1.6 [9] (M 36, 0.75)
4 |
ヤクルト |
0.488 |
0.5 |
51 |
0.1 |
46.4 |
巨人 13.4 [13]、中日 8.1 [7]、広島 5.7 [12]、阪神 1 [11]、横浜 -2.5 [8] (M 39, 0.765)
5 |
阪神 |
0.402 |
7.5 |
47 |
0.05* |
1.7 |
巨人 14.4 [6]、中日 14 [10]、広島 9.7 [11]、ヤクルト 10.1 [11]、横浜 2.7 [9]
巨人 18.8 [11]、中日 17.4 [13]、広島 10.6 [9]、ヤクルト 10.5 [8]、阪神 6.4 [9]
パリーグ
1 |
日本ハム |
0.551 |
--- |
47 |
49.0 |
89.2 |
ロッテ 4.9 [10]、西武 4.7 [11]、ソフトバンク 1.5 [8]、楽天 2.4 [9]、オリックス -0.5 [9] (M 38, 0.809)
2 |
ロッテ |
0.53 |
2 |
49 |
26.7 |
74.9 |
日本ハム 5.2 [10]、西武 3.9 [9]、ソフトバンク 2.2 [9]、楽天 3.6 [11]、オリックス 0.3 [10]
3 |
西武 |
0.512 |
1.5 |
51 |
13.6 |
58.9 |
日本ハム 6.4 [11]、ロッテ 5.2 [9]、ソフトバンク 2.9 [9]、楽天 4.2 [11]、オリックス 1.4 [11]
4 |
ソフトバンク |
0.494 |
1.5 |
47 |
6.2 |
40.4 |
日本ハム 6.5 [8]、ロッテ 6.9 [9]、西武 6.2 [9]、楽天 6.4 [12]、オリックス 2 [9]
日本ハム 6.7 [9]、ロッテ 7.5 [11]、西武 6.9 [11]、ソフトバンク 5.7 [12]、オリックス 1.2 [8]
6 |
オリックス |
0.438 |
4 |
47 |
0.3 |
5.3 |
日本ハム 9.5 [9]、ロッテ 9.8 [10]、西武 9.7 [11]、ソフトバンク 7 [9]、楽天 6.9 [8]
<表の見方>
1行目 (色枠) 左から
順位、チーム名、勝率、ゲーム差、残り試合数、優勝確率 (%)、クライマックスシリーズ出場確率 (%)
「99.95*」は 99.95 % 以上でかつ 100 % より小さい
「100x」は 100 % を表し、2千万回の試行で2千万回起こったことを示す
「0.05*」 は 0.05 % 未満かつ 0 % より大きい
「0x」 は 0 % を表し、2千万回の試行で0回だったことを示す
青の数字は、残り試合を全敗する条件での優勝(CS出場)確率 (%)
赤の数字は、残り試合を全勝する条件での優勝(CS出場)確率 (%)
2行目以降 各チームごとに
相手チーム名、上位マジック点灯指標、[残りの直接対決試合数]、(M 上位マジック, 上位確定に必要なこれからの最高勝率)
赤色 そのチームへ上位マジックを点灯した
青色 そのチームから上位マジックを点灯された
ピンク色 そのチームへ上位マジックを点灯しかけている
ライム色 そのチームから上位マジックを点灯されかけている
「上位マジック点灯指標」と「優勝確率」「CS出場確率」については、このページに詳しい説明があります。
<試合結果>
3 勝 |
18 回戦 |
12 勝 |
阪神 |
1 - 4 |
巨人 |
8 勝 |
16 回戦 |
7 勝 |
横浜 |
0 - 1 |
ヤクルト |
4 勝 |
17 回戦 |
11 勝 |
広島 |
1 - 2 |
中日 |
5 勝 |
16 回戦 |
9 勝 |
オリックス |
4 - 7 |
楽天 |
5 勝 |
15 回戦 |
8 勝 |
西武 |
4 - 5 |
ロッテ |
勝ち数は今日の試合結果を含む
リーグ内の同一カードは24回戦まで