ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

take a dim view of は「気に入らない」

2009-04-22 02:12:22 | 英語
3月23日付TIMEの表紙。民主党小沢一郎代表が微妙な感じで笑う写真の下に、大きく The Maverick の文字。

「異端児、一匹狼」ですね。

この号には、小沢代表との単独インタビューに関する特集記事が、4ページに渡って掲載されていましたが、気になる表現がありました。

For all Ozawa's support in the polls when compared with Japan's Prime Minister Taro Aso ... the dim view taken of his alleged role in the Nishimatsu scandal illuminates the paradox of Ozawa's place in Japanese politics.

ここで、dim view という言葉が出てきますが、dim は「うす暗い」という意味で、それでは文意が不明です。ところが、LONGMAN辞書の三番目に、そのものずばりの熟語を見つけました。

take a dim view of ~
= to disapprove of something 

つまり「気に入らない、不賛成である、非とする」という意味です。「ほの暗い見方を取る」というニュアンスから、あんまり賛成出来ないといった、比較的弱い反対になるんでしょうか。

例文として、

Miss Watson takes a dim view of Paul's behaviour.

Watson嬢は、Paul君のやることなすこと、何かと気に入らないようです。でも、hate や dislike ではないので、心の底では、案外好きだったりするかもしれません(笑)。

この意味で、TIMEの文章を訳すと

世論調査では、麻生太郎首相に比べ、小沢への支持は大きいが、西松建設事件で彼が果たしたと言われている役割への不支持は、日本政治における小沢の立ち位置が、奇妙な二面性を持っていることを、照らし出した。

というあたりでしょうか。文頭の For が難しいですね。

ところで、小沢代表の二面性ですが、この文のすぐ後に、その一面が紹介されます。

His mentors include both Kakuei Tanaka ... and Shin Kanemaru ... both were eventually mired in corruption scandals.

「腐敗政治の泥沼にはまる」なんて、生々しい表現っす。

時期首相をねらう強力な野党党首である小沢と、自民党の角栄流金権政治から生まれてきた小沢。記事の筆者 (Michael Elliott and Coco Masters) は、そういう二面性を指摘したいようです。

いずれにしても、この記事は、小沢代表のことのみならず、今の日本について、かなり詳しい分析、しかも批判的分析を加えていて、読み応えがあります。

ちなみに記事のタイトルは

The man who wants to save Japan

本当に、日本を救って欲しいです。

メモ
an exclusive interview  単独会見
mentor  良き指導者
DPJ  民主党 (Democratic Party of Japan)
LDP  自民党 (Liberal Democratic Party)
the Tokyo District (Public) Prosecutor's office  東京地検

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自動詞 pay off は「よい結果をもたらす」

2009-04-19 01:03:49 | 英語
英語の勉強がてら、気になった単語や言い回しを、ブログに書きとめたいと思います。

最近、北朝鮮のロケット発射に関して、国連安全保障理事会で、議長声明が出されました。今月13日のことですが、少し前の8日、Texas Insider というネットニュースの記事の中に、次のような文を見つけました。

But supporters say her persistence and willingness to engage in direct diplomacy with countries like China and Russia will pay off eventually, and that historically it has taken weeks ― sometimes months ― for viable resolutions to be drafted.

最初の her というのは、アメリカ国連大使の Susan Rice さんです。彼女が、中国やロシアをなんとか説得して、北朝鮮非難の新たな決議を安保理に提出したいと、奔走しているときの話です。

この文章で気になったのは、pay off という語句。

辞書を引くと、pay off は、借金なんかを「清算する、完済する」という意味が最初に出てきます。

ところが、この意味では、上の文章は訳せません。

そこで、LONGMANの英英辞書を引いてみると、二番目の意味として、

if something you do pays off, it is successful or has a good result

と書いていて、例文として

Teamwork paid off.

とありました。

つまり、pay off は「うまくいく、良い結果をもたらす、成功する」といった意味のようです。用法としては、自動詞ですね。

結局、上の文章の訳は、

「しかし、ライス国連大使を支持するひとたちは、中国やロシアのような国を相手に、粘り強く、積極的に直接交渉を続けていこうとする彼女の姿勢は、最後には実を結ぶだろう、と言います。そして、過去の例を見ると、意義のある決議を起草するまでには、数週間ないし数ヶ月はかかるそうです」

こんな感じでしょうか。

ところで、前の英語カテゴリーブログ (Jan 31, 2008) にも書いたのですが、pay と off をくっつけた payoff という名詞があって、LONGMANによると、

an advantage or profit that you get as a result of doing something

と出ています。

つまり、「利点」という意味で、自動詞 pay off と通じるものがありますね。

やはり、借金を完済するのは、とっても良いことだから、こういった前向きな意味が派生してくるんでしょうか。

ただ、pay off には「残りの給料を全部払って、解雇する」とか「口止め料を払う」という意味もあるみたいで、お金にまつわる単語は、ダークサイドもついて回りますね(笑)。

メモ
U.S. Ambassador to the United Nations
アメリカ国連大使
UN Security Council Presidential Statement
国連安保理議長声明

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「payoff」の意味は「advantage」 ~ 十年で語義が変わった?

2008-01-31 12:12:02 | 英語
英語の辞書は、改訂版が出たら、出来るだけ買い換えた方がいい。

以下は、それを実感した話です。

2008年1月28日付の国際誌TIMEに、アフガニスタンの女子教育に関する記事が載っていました。その中で、教育を受けた女性の割合が高い国ほど、健康、経済、民主主義の水準が高い、という主旨の文章があり、

There's another payoff that is especially importnat to Afghanistan: educated women are a strong bulwark against the extremism that still plagues Afghanistan, ・・・

と続きます。

読解の鍵は、「payoff」という言葉ですが、いつも使っている1991年版のLONGMAN英英辞書で、「payoff」を引くと、第1項目が「給料、借金、カードのローンなどを払う」、第2項目が「物語の結末」という意味で、この文章での使われ方と違う気がする。

それで、本屋に行って、2005年版を引いてみました。

ありました、ぴったりの意味が。しかも第1項目で。

an advantage or profit that you get as a result of doing something

91年版には、この「利点」という語義は、影も形もないので、ここ十数年の間に、主流になった使用法ということですね。

思っている以上の速さで、言葉の意味が変化していたので、驚きました。

結局、上に挙げた英文の訳は、

女子教育には、アフガニスタンにとって、とくに重要なメリットが、もう一つある。この国は、今なお、イスラム過激派に蝕まれているが、教育を受けた女性は、それに対する、強力な防波堤になるという点である。

という感じでしょうか。

ちなみに、最新版では、第2項目は「裏金、賄賂」、第3項目は「解雇時に支払われる金」で、これも、91年版と、かなり違う。

長年使っている辞書は、慣れているし、愛着もあって、手放し難い部分はあるんですが、こうも意味が違うなら、新しいのに切り換えた方がいいですね。

この2005年版は、そのまま買って帰りました。「payoff」の問題だけじゃなく、図や語義説明などが、91年版に比べて、さらに工夫されていて、使い易そうだったので。

ところで、私は、LONGMANの回し者ではないです。単なる辞書の愛用者で、何の関係もありません(笑)。

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