米国疾病予防管理センター(CDC)が、マスク着用に関する勧告を出している。新型インフル(豚インフル)の感染予防において、マスクはどう使われるべきなのか、CDCが現在の見解を発表したものである。
この勧告では、現在健康な人を、(A)感染しても重症化する危険性の少ない人と、(B)感染すると重症化する危険性の高い人 (もともと疾患を持つ人、妊婦、幼児・高齢者など)の二つに分けている。
さらに、新型インフル発生の有無などで区分された、8個の状況について考えている。
以下が、その中心部分の翻訳である。
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[1] 新型インフルが発生していない地域社会
(A) マスク(= フェイスマスク/レスピレーター)着用を推奨せず
(B) マスク着用を推奨せず
[2] 新型インフルが発生している地域社会で、人がまばらな状況
(A) マスク着用を推奨せず
(B) マスク着用を推奨せず
[3] 新型インフルが発生している地域社会で、混雑している状況
(A) マスク着用を推奨せず
(B) 人混みを避けるように。避けられない場合は、マスクの使用を考慮せよ
[4] 家にインフルエンザ様症状の家族がいて、介抱する状況
(A) マスク着用を推奨せず
(B) 介抱しないように。仕方がない場合は、マスクを使用せよ
[5] 家にインフルエンザ様症状の家族はいるが、介抱しない状況
(A) マスク着用を推奨せず
(B) マスク着用を推奨せず
[6] 新型インフルが発生していない地域社会で、医療関係者ではないが、職業上の理由から、インフルエンザ様症状の人と接触する状況
(A) マスク着用を推奨せず
(B) マスク着用を推奨せず
[7] 新型インフルが発生している地域社会で、医療関係者ではないが、職業上の理由から、インフルエンザ様症状の人と接触する状況
(A) マスク着用を推奨せず。但し、付き添い、面談、補助などの場合は、まず、距離を保つ、時間を短くする、咳エチケットやマスク着用を頼むべき。その上で、濃厚接触が避けられないときに、マスクの使用を考えてもよい。
(B) 職場の一時的な配置換えなどで、接触を避けるべき。避けられない場合は、マスクの使用を考えてもよい。
[8] 医療関係者が、医療現場で、新型インフル感染者、感染疑い者、インフルエンザ様症状の人を治療や看護する状況
(A) N95などのレスピレーターを推奨
(B) 職場の一時的な配置換えなどで、治療や看護を回避するべき。避けられない場合は、N95などのレスピレーターを推奨
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「新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの感染を減らすためのフェイスマスクとレスピレーターの使用に対する暫定勧告(5月27日)」より
健康な普通の人は、医療関係者でもなければ、ほとんどマスクは必要ないという趣旨である。
また、糖尿病など基礎疾患を持っている人には、マスク云々の前に、まず発症者に近づかないよう呼びかけている。当たり前のことだが、インフル患者の看病などは、もってのほかということだ。
CDCは、世界の感染症対策を牽引する機関だが、「まずは、マスクをして下さい」と叫んだ日本の担当大臣と違って、マスクを勧める気はないようだ。
これは、日常のシチュエーションにおいて、マスクが、飛沫感染を予防するという科学的根拠がないからである。
ちょっと待て、N95のようなレスピレーターを、治療に当たる医療関係者には勧めているのだから、マスクには、やはり効果があるのではないか、という声もあるだろう。
N95は、ウイルス大程度の空気中に漂う微粒子を、95%以上カット出来るフィルターを持つマスクであるが、顔とマスクの間に隙間がないように、正しく装着しなければ意味がない。
しかし、これには顔に合ったマスクの選別や装着の訓練などが必要で、その上、すごく息苦しい。息苦しいので、マスクの位置をあれこれ直してしまうと、手で口元や目元を触ることになって、かえって危険である。
N95は、訓練された医療関係者が、SARSや新型インフルの治療などにおいて、万全の注意を払って装着した場合に、初めて効果があるだろう、という次元の話である。
さらに、日本の厚労省が勧める不織布のフェイスマスクも、正しく装着すると、かなり息苦しい。
そして、N95に比べると、はるかに予防効果は低いと考えられているので、息苦しさを我慢しても、どれだけ意味があるか不明である。
もちろん、全然息苦しくなければ、間違いなく、全然意味がない(笑)。
つまり、こういった高機能マスクは、感染危険度が極めて高い状況で、かつ、どうしても感染したくない場合に、短時間、覚悟して使うものであって、普通の健康人が、通勤通学中に付けるものではない。
むしろ、マスクが気になって、電車のつり革や手すりを触った手で、マスクをいじったり、眼鏡を触ったりすると、かえって感染機会を増やしてしまう。
ところで、CDCの勧告では、新型インフルに感染した人、あるいは感染疑いの人については、以下のようになっている。
**************************************
[1] 家で家族と一緒に過ごしているとき
フェイスマスクをした方が良いが、マスクが手元になかったり、装着が苦しい場合は、ティッシュで咳やくしゃみをするように
[2] 医療機関で、病室の外に居るとき
装着が苦しくなければ、フェイスマスクを推奨
[3] 職場で
フェイスマスクをした方が良いが、マスクが手元になかったり、装着が苦しい場合は、ティッシュで咳やくしゃみをするように
[4] 授乳中
フェイスマスクをした方が良いが、マスクが手元になかったり、装着が苦しい場合は、ティッシュで咳やくしゃみをするように
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どうやら、アメリカでは、日本と違って、感染者はずっと人間的に扱われているようだ。
羨ましい限りである。
この勧告では、現在健康な人を、(A)感染しても重症化する危険性の少ない人と、(B)感染すると重症化する危険性の高い人 (もともと疾患を持つ人、妊婦、幼児・高齢者など)の二つに分けている。
さらに、新型インフル発生の有無などで区分された、8個の状況について考えている。
以下が、その中心部分の翻訳である。
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[1] 新型インフルが発生していない地域社会
(A) マスク(= フェイスマスク/レスピレーター)着用を推奨せず
(B) マスク着用を推奨せず
[2] 新型インフルが発生している地域社会で、人がまばらな状況
(A) マスク着用を推奨せず
(B) マスク着用を推奨せず
[3] 新型インフルが発生している地域社会で、混雑している状況
(A) マスク着用を推奨せず
(B) 人混みを避けるように。避けられない場合は、マスクの使用を考慮せよ
[4] 家にインフルエンザ様症状の家族がいて、介抱する状況
(A) マスク着用を推奨せず
(B) 介抱しないように。仕方がない場合は、マスクを使用せよ
[5] 家にインフルエンザ様症状の家族はいるが、介抱しない状況
(A) マスク着用を推奨せず
(B) マスク着用を推奨せず
[6] 新型インフルが発生していない地域社会で、医療関係者ではないが、職業上の理由から、インフルエンザ様症状の人と接触する状況
(A) マスク着用を推奨せず
(B) マスク着用を推奨せず
[7] 新型インフルが発生している地域社会で、医療関係者ではないが、職業上の理由から、インフルエンザ様症状の人と接触する状況
(A) マスク着用を推奨せず。但し、付き添い、面談、補助などの場合は、まず、距離を保つ、時間を短くする、咳エチケットやマスク着用を頼むべき。その上で、濃厚接触が避けられないときに、マスクの使用を考えてもよい。
(B) 職場の一時的な配置換えなどで、接触を避けるべき。避けられない場合は、マスクの使用を考えてもよい。
[8] 医療関係者が、医療現場で、新型インフル感染者、感染疑い者、インフルエンザ様症状の人を治療や看護する状況
(A) N95などのレスピレーターを推奨
(B) 職場の一時的な配置換えなどで、治療や看護を回避するべき。避けられない場合は、N95などのレスピレーターを推奨
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「新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの感染を減らすためのフェイスマスクとレスピレーターの使用に対する暫定勧告(5月27日)」より
健康な普通の人は、医療関係者でもなければ、ほとんどマスクは必要ないという趣旨である。
また、糖尿病など基礎疾患を持っている人には、マスク云々の前に、まず発症者に近づかないよう呼びかけている。当たり前のことだが、インフル患者の看病などは、もってのほかということだ。
CDCは、世界の感染症対策を牽引する機関だが、「まずは、マスクをして下さい」と叫んだ日本の担当大臣と違って、マスクを勧める気はないようだ。
これは、日常のシチュエーションにおいて、マスクが、飛沫感染を予防するという科学的根拠がないからである。
ちょっと待て、N95のようなレスピレーターを、治療に当たる医療関係者には勧めているのだから、マスクには、やはり効果があるのではないか、という声もあるだろう。
N95は、ウイルス大程度の空気中に漂う微粒子を、95%以上カット出来るフィルターを持つマスクであるが、顔とマスクの間に隙間がないように、正しく装着しなければ意味がない。
しかし、これには顔に合ったマスクの選別や装着の訓練などが必要で、その上、すごく息苦しい。息苦しいので、マスクの位置をあれこれ直してしまうと、手で口元や目元を触ることになって、かえって危険である。
N95は、訓練された医療関係者が、SARSや新型インフルの治療などにおいて、万全の注意を払って装着した場合に、初めて効果があるだろう、という次元の話である。
さらに、日本の厚労省が勧める不織布のフェイスマスクも、正しく装着すると、かなり息苦しい。
そして、N95に比べると、はるかに予防効果は低いと考えられているので、息苦しさを我慢しても、どれだけ意味があるか不明である。
もちろん、全然息苦しくなければ、間違いなく、全然意味がない(笑)。
つまり、こういった高機能マスクは、感染危険度が極めて高い状況で、かつ、どうしても感染したくない場合に、短時間、覚悟して使うものであって、普通の健康人が、通勤通学中に付けるものではない。
むしろ、マスクが気になって、電車のつり革や手すりを触った手で、マスクをいじったり、眼鏡を触ったりすると、かえって感染機会を増やしてしまう。
ところで、CDCの勧告では、新型インフルに感染した人、あるいは感染疑いの人については、以下のようになっている。
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[1] 家で家族と一緒に過ごしているとき
フェイスマスクをした方が良いが、マスクが手元になかったり、装着が苦しい場合は、ティッシュで咳やくしゃみをするように
[2] 医療機関で、病室の外に居るとき
装着が苦しくなければ、フェイスマスクを推奨
[3] 職場で
フェイスマスクをした方が良いが、マスクが手元になかったり、装着が苦しい場合は、ティッシュで咳やくしゃみをするように
[4] 授乳中
フェイスマスクをした方が良いが、マスクが手元になかったり、装着が苦しい場合は、ティッシュで咳やくしゃみをするように
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どうやら、アメリカでは、日本と違って、感染者はずっと人間的に扱われているようだ。
羨ましい限りである。