ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

日向坂46「アザトカワイイ」がビルボード「国内動画再生回数」で10週連続100位圏内を達成 [29Oct20]

2020-10-29 23:50:00 | 芸能

今日、10月29日木曜の正午に日向坂46・1stアルバムリード曲「アザトカワイイ」のフルMVがYouTube公開70日目(d)を終了、またビルボードHot100「国内動画再生回数」も、MV公開週を1週目(W)と数えた場合の10Wまでの順位が昨日発表されています。

一つの区切りということで、ここまでの動画指標をまとめておきます。


公開70日目(d)終了時点での累計再生回数は954.8万回と1千万に迫っていて、日向坂46歴代表題曲のフルMV4作品と同時期比較すると、2位の「ソンナコトナイヨ」MVより100万回以上多い、断然のトップとなっている。

(表1)


ただ、再生回数増加の日単位速度を見ると、「アザトカワイイ」MVの70日目(d)は積み上げ4.7万回の初日比0.04。

同時期累計2位の「ソンナコトナイヨ」MVが7.0万回の0.07、3位「ドレミソラシド」MVは6.2万回の0.09と、いずれもアルバムリード曲MVを上回っている。

(表2) 日向坂46主要曲フルMVのYouTube公開70日目(d)再生回数
「アザトカワイイ」MVの70d終了 = 2020/10/29(木)正午
凡例
70d累計 : 66→67→68→69→70d積上(初日比70d/1d)曲名_Sg番号
# 累計、積上は万回単位
# 累計の多い順に上から掲載
# 全表題曲MVに1stアルバム収録の「アザトカワイイ」のMVを加えた
5作品が対象。いづれも70dを越えてフル公開されている
954.8 : 5.9→5.4→4.7→4.8→4.7(0.04) アザトカワイイ_1stAb
834.9 : 6.7→6.6→6.7→7.3→7.0(0.07) ソンナコトナイヨ_4
748.0 : 8.1→7.1→8.2→7.0→6.2(0.09) ドレミソラシド_2
571.4 : 4.3→4.5→4.4→4.1→4.0(0.16) キュン_1
540.4 : 3.5→4.1→4.0→3.8→3.7(0.06) こんなに好きになっちゃっていいの?_3
(参考)
=====「青春の馬」MV [68dでフル公開終了]
# 68d累計 : 66→67→68d積上(初日比68d/1d)
591.7 : 3.7→3.2→3.2(0.05) 青春の馬_4C
=====「ひなリハ」MV [50d終了= 2020/10/28(水)18:00]
# 50d累計 : 48→49→50d積上(初日比50d/1d)
324.2 : 1.8→1.8→2.0(0.03) ひなリハ_1stAb関連

再生回数増加速度の日単位(d)推移を見ると、公開直後は最速だった「アザトカワイイ」MVが35dあたりから「ソンナコトナイヨ」や「ドレミソラシド」のMVを下回ることが多くなっている。

(表3)


公開35日目(d)は、5週目(w)の終わりですが、週毎(w)の平均増加速度を見ても、やはり6週目(w)から「アザトカワイイ」が逆転されているのが分かる。

(表3)



坂道で現在YouTube公開されているフルMV全作品の70d累計を比べると、「アザトカワイイ」は9位に位置し、欅坂46表題曲MV全8作品中では7位相当も、15thから25thまでの乃木坂表題曲MV11作品中では20th「シンクロニシティ」、17th「インフルエンサー」に次ぐ3位のレベル。

(表4) 坂道フルMVのYouTube公開70日目(d)再生回数
凡例
70d累計 : 68→69→70d積上(初日比70d/1d)曲名_グループ名 Sg番号
# 累計、積上は万回単位
# 初日比は積み上げ再生回数の比で、少数点以下3桁目を四捨五入
# 乃木坂は15th以降、欅坂日向坂は1stからのMVで70日目(d)を越えてフル公開
された坂道36作品を70d累計再生回数の多い順に並べたTOP20
[01] 1893.9 : 15.5→12.6→13.0(0.07) ガラスを割れ!_欅6
[02] 1476.3 : 09.7→09.1→09.8(0.08) 不協和音_欅4
[03] 1466.0 : 18.3→15.5→13.9(0.59) サイレントマジョリティー_欅1
[04] 1227.2 : 10.5→10.5→08.8(0.07) 風に吹かれても_欅5
[05] 1215.6 : 06.4→06.2→06.2(0.04) アンビバレント_欅7
[06] 1122.5 : 06.2→06.2→06.0(0.05) シンクロニシティ_乃20
[07] 1077.1 : 11.6→10.8→11.8(0.25) 二人セゾン_欅3
[08] 1076.2 : 07.4→08.2→07.6(0.08) インフルエンサー_乃17
[09] 0954.8 : 04.7→04.8→04.7(0.04) アザトカワイイ_日1stAb
[10] 0920.3 : 09.6→08.6→08.7(0.07) 帰り道は遠回りしたくなる_乃22
[11] 0848.6 : 06.0→06.9→06.7(0.09) I see…_乃25C
[12] 0834.9 : 06.7→07.3→07.0(0.07) ソンナコトナイヨ_日4
[13] 0792.8 : 04.2→04.5→04.4(0.04) ジコチューで行こう!_乃21
[14] 0773.9 : 04.9→04.9→05.2(0.05) Sing Out!_乃23
[15] 0758.0 : 04.5→04.4→04.4(0.08) 黒い羊_欅8
[16] 0748.0 : 08.2→07.0→06.2(0.09) ドレミソラシド_日2
[17] 0694.1 : 07.6→04.1→05.3(0.06) いつかできるから今日できる_乃19
[18] 0667.9 : 03.6→03.6→03.5(0.03) しあわせの保護色_乃25
[19] 0664.7 : 04.2→03.7→03.7(0.04) 夜明けまで強がらなくてもいい_乃24
[20] 0664.5 : 04.1→04.1→04.1(0.04) エキセントリック_欅4C

ただ上位曲の中でも「アザトカワイイ」MVの70d積み上げ4.7万回はやや低めの数字で、10位に控えている乃木坂46・22nd「帰り道は遠回りしたくなる」MVの猛追を受けており、累計差はまだ150万回ほどあるものの、速度差が4〜5万回/日なので、今後、逆転される可能性は十分にある。

2019年以降に無期限公開された坂道フルMVの中でも、「アザトカワイイ」MVの再生回数は最も高い累計を維持しながら進んでいるが、現在の速度傾向を考えると、今後もトップを走り続けるかどうかは不透明。

(表5)



日向坂46「アザトカワイイ」のMV再生回数の増え方について、もう少し掘り下げてみます。

次の表6は日毎(D)の増加速度、及び前日との速度差を一つのグラフに書き込んだものです。

(表6)


乃木坂46「I see…」MVの再生回数を扱った下記ブログの(表6)で述べたように、速度差グラフ線のギザギザが盛大であればあるほど、MV再生回数のイベント反応性が良く、より大きなヒットを期待できる。

乃木坂46・4期曲「I see…」MVの人気は何を意味するのか?問われる選抜制のあり方 [21Oct20]

表6のグラフ線が過去作と比べてどのくらいギザギザなのか、プラス方向への加速はどれくらいあったのかを調べたのが、次の表7です。

(表7)


「アザトカワイイ」MV再生回数増加の前日速度差は2.5万回/日^2以上の5.0万回/日^2未満が2nd「ドレミソラシド」MVと並んで1日ありますが、全体としては、プラス方向へ加速する日が他の作品と比べて、やや少ないかなという印象を受ける。

一方、増加速度そのものを調べると、10万回/日以上の増加速度を記録した日が70日間中33日あり、これは歴代表題曲を凌ぐ高速ペースと言えます。

(表8)


つまり、「アザトカワイイ」MV再生回数の増加は公開初期のハイペースを維持しながら、累計を大きく積み上げてきたが、一方、音楽番組出演など各イベントによる加速がやや薄く、速度の反転上昇が少なかったと考えられます。

様々なイベントに敏感に反応し、何度も反転上昇を繰り返しながら増加速度を高く維持してきた乃木坂46「I see…」とは異なる増加パターンで、それ故に、「アザトカワイイ」MVの速度は時間が経つにつれ、「ソンナコトナイヨ」や「ドレミソラシド」のMVの速度を下回ってしまったのだと思います。


ただ、MV再生回数のイベント反応性が過去作に比べやや脆弱だとしても、「アザトカワイイ」は日向坂46の動画人気を一段アップさせたと、個人的に評価しています。

その根拠は、ビルボードHot100「国内動画再生回数(M)」の順位が、これまでの表題曲より明確に高いからです。

(表9a)
(表9b)


表9aと表9bは基本的に同じグラフで、「アザトカワイイ」のM項順位が、MV公開初期10週間(W)において歴代の楽曲より断然高く推移していることを示しています。

昨日発表された10週目の順位は100位と圏内ギリギリでしたが、初期10週目まで100位圏内に踏み止まったのは、グループ史上初めてのことです。

また近年は坂道全体でもM項100位圏内に入るのが大変になっていて、初期10週間の圏内週数は、乃木坂46は23rd「Sing Out!」が8週、24th「夜明けまで強がらなくてもいい」は3週、25th「しあわせの保護色」は2週、「世界中の隣人よ」は0週の完全圏外と厳しい数字が並んでいる。

また、欅坂46のMV付き最新曲「黒い羊」も7週で、日向坂46「アザトカワイイ」は坂道が久しぶりに達成した10週コンプリートです。

(表10a)
(表10b)


そんな状況下での10週連続圏内ランクインはかなり貴重で、日向坂は「アザトカワイイ」で順位という相対的な動画人気を久しぶりに上昇させたと言えます。


ただ「アザトカワイイ」MVの再生回数増加速度は6週目あたりから「ソンナコトナイヨ」や「ドレミソラシド」のMVを下回っていて、なぜビルボードM項の順位が上がったのか、気になるところです(笑)。

(表11a)
(表11b)


その理由は、「アザトカワイイ」MVの公開4週目(W)に、ダンスを定点カメラで撮影した「ひなリハ」MVが公開され、その再生回数が関連動画として合算されたからだと思います。

実際、表11aにおいて、「ひなリハ」MVが公開された4Wに、「アザトカワイイ」の順位は3Wの39位から7位へ反転上昇している。

表11bの「ソンナコトナイイヨ」を見ると、例えば、7Wの再生回数積み上げは63万回で、「アザトカワイイ」の54万回を上回っていますが、前者の順位が100位圏外なのに対し、後者は54位に入っている。

「ひなリハ」MVはこの週に25万回を積み上げていて、これが効いている可能性が高い。

もちろん、関連動画を何作投入しても、視聴数が思うように伸びないのはよくあることで、「アザトカワイイ」の曲やダンス、あるいは日向坂というグループの人気が高いからこそ、「ひなリハ」MVの視聴数が伸びて、ビルボードM項の順位を顕著に押し上げたわけです。


乃木坂も、というより乃木坂こそ、次のシングルで「のぎリハ」をやって欲しい。

M項の順位を上げたいのもあるけど、それ以上に、ごまかしの効かない定点カメラでのフルパフォーマンスは、グループのダンス力をアップする、良い練習になると思う。


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ビルボード「ツイート数」が示す坂道楽曲関心度 〜 乃木坂は漸減、欅坂は転調、日向坂は知名度 [25Oct20]

2020-10-25 01:45:00 | 芸能

Billboard JAPAN Hot100の「ツイート数(T)」ランキングは、ある楽曲のことを呟いたツイート数を週毎にカウントし、その数字を基に順位を付けるものです。

リリース予定の新曲について、曲そのものがお披露目される前に、曲名だけ発表されるのは坂道に限らずよくあることですが、その時点で大きな話題となれば、音楽的な中身はまだ分からないものの、「ツイート数(T)」ランキングの上位に登場する可能性があり、全項目の中で最も早く数字が出てくる指標と言えます。

また楽曲が発売された後は、例えば紅白歌合戦などの大型音楽祭で披露されると、注目が集まり、T項の順位が一気に跳ね上がることがあり、曲に関する出来事と連動しやすい傾向がある。

聴かれた回数や購入された数など、その曲の直接的な「実績」を表すものではないけれど、曲やアーティストに対する人々の関心度や反響度を表す指標で、ハイブリッド指標の「BUZZ」に「ダウンロード数(D)」「動画再生回数(M)」と共に組み込まれるなど、ビルボードではかなり重要視されています。

ただiTunes Storeの順位とも重なるD項や、YouTubeの再生回数を反映するM項といった直接的な購入・視聴人気とは異なるためか、T項の順位が大きな注目を集めることは少ない印象がある。

しかし、坂道主要曲のT項順位を調べてみると、乃木坂、欅坂、日向坂それぞれについて、考えさせられる点が幾つかあったので、この記事で紹介しておきます。


まずは乃木坂46から。

次の(表1)は15th以降の乃木坂46主要曲の「ツイート数(T)」順位の初期30週(W)における推移です。

(表1)


曲名が初めて発表された週を1Wとして、「世界中の隣人よ」は21Wまで、「Route 246」は14Wまでが発表され、それ以外はすべて30W以上の順位が分かっています。

ただ表1のグラフはごちゃごちゃして、ピンク色の「インフルエンサー」や灰色の「サヨナラの意味」は何となく上位を維持しているっぽい一方、黒い小さな四角の「世界中の隣人よ」や点線の「Route 246」は100位圏外に出るのがやや早いかなと、漠然と分かる程度です。

T項順位は各週その都度の出来事が影響するためか、徐々に下落するといった標準的なパターンがなく、他の項目と比べてかなり変動が激しい方で、表1のようなグラフから何かを読み取るのは結構難しい。


そこで1〜100位までを1〜20位、21〜40位、41〜70位、71〜100位の4つの範囲に分け、初期30週間において、それぞれの順位帯に何週入ったかを表すグラフを作ってみました。

(表2)


曲名が発表されてからの30週間(W)は約210日間、つまりほぼ7ヶ月です。

表2で気になるのは、17th「インフルエンサー」を頂点に、18th「逃げ水」から25th「しあわせの保護色」まで、22nd「帰り道は遠回りしたくなる」を唯一の例外として一貫して100位圏内入り週数が「前作割れ」していること。

また赤色とオレンジ色を合わせた40位以内週数を眺めると、15thから20thまでの6曲に比べ、22ndを除く21stから25thまでの4曲は明らかに少なく、2018年の夏以降、乃木坂の楽曲に対する関心度は、何か急にモードが変わったかのように、一気に低下した印象を受ける。

「世界中の隣人よ」と「Route 246」はCD発売なしの配信限定曲であり、とくに前者は新型コロナによる音楽番組の自粛でテレビ披露が少なく、25thまでの表題曲と直接比べるには条件が異なり過ぎている。

ただ「Route 246」の音楽番組におけるテレビ披露は9回を数え、25th「しあわせの保護色」の7回より多いですが、18th以降の100位圏内週数の「右肩下がり」に歯止めを掛けるのは難しい状況になっている。


16th「サヨナラの意味」と22nd「帰り道は遠回りしたくなる」はそれぞれ橋本奈々未と西野七瀬が「卒業」センターを務めた秋曲で、初期30週の間に大晦日の紅白での披露と翌年2月の「卒業」ライブがあり、ツイート数を伸ばしやすいイベントの流れだった。

一方、17th「インフルエンサー」と20th「シンクロニシティ」は春曲で、いずれも年末にレコード大賞を受賞し、前者は紅白の曲目にもなったけど、それらのビッグイベントは30Wの中には入っていない。

ただ50Wまで期間を広げると、レコ大受賞による強烈な追い風が17thと20thのT項順位に反映され、「シンクロニシティ」は「帰り道は遠回りしたくなる」と共に、18th以降の圏内週数の「右肩下がり」を免れていく。

しかしそれ以外の表題曲が示す単調減少モードは、最新2020/10/26付チャートに至っても、保持されています。

(表3a)
(表3b)


つまり、レコード大賞受賞や紅白での披露といった大きな出来事の起こった楽曲は、T項で一定レベルの順位に入り、ある程度人々の注目を集めたが、それ以外の曲は、新作を出す毎に100位圏内週数が減っていき、関心度が時間と共に下がっている可能性がある。

乃木坂の表題曲はバラード系からアップテンポなダンス系まで様々で、曲のテイストを固定し過ぎて、徐々に人気を落としているとは考えられず、むしろ握手会序列主義の選抜や生歌を避ける楽曲パフォーマンスなど、今まで延々と続けてきた乃木坂のあり方そのものが、受けなくなりつつある懸念がある。

歌とダンスの実力を重視する韓流アイドルの日本における人気が、ここ数年で、非常に高まったことも影響しているかもしれない。


乃木坂のT項順位に関しては、最後に、それぞれの曲がどの時期に100位圏内に入ったかを示すグラフを載せておきます。

(表4)




次は欅坂46表題曲のT項順位帯別週数の30W、50W、全期間についてのグラフ。

(表5a)
(表5b)
(表5c)


加えて、どの時期に100位圏内に入ったかを示すグラフを。

(表6)


欅坂46の表題曲T項に関しては、兎にも角にも、1st「サイレントマジョリティー」への関心が高く、かつ長く続いていることが最大の特徴です。


表5cが対象とする1stサイマジョの「全期間」は241週、そしてその中の157週で100位圏内に入ったので、「サイレントマジョリティー」の圏内率は実に65%に及んでいる。

表6が示すように、サイマジョは2016年3月の曲名発表から、2019年の正月まで連続149週、約2年近くに渡り100位圏内から落ちたことがない。

T項が表す話題性の面からも、大ヒット曲であることは間違いないと思います。


一方、表5の3つのグラフから、5th「風に吹かれても」以降の100位圏内週数が4th「不協和音」以前に比べ、明らかに少なくなっていることが分かります。

とくに表5cは、1st「サイレントマジョリティー」を別格として、2ndから3rdへT項の順位成績が向上し、4th「不協和音」でピークを迎えた後、5th以降、急激にランクインが少なくなり、未だそこから抜け出せていないことを示している。

理由がよく見えないまま、人気メンバーが次々とグループを去り、遂には不動のセンター平手友梨奈も脱退に至った一連の流れの出発点が、2017年末に「風に吹かれても」を披露したステージにおけるてちの不調であり、5th以降のT項順位の低調は、その厳しい道のりを反映しているのかもしれない。

改名した櫻坂46がどういった雰囲気のグループにあるのか、まだよく分からないけど、何かを変えることで良い流れを呼び寄せることを期待しています。


最後に日向坂46。

(表7a)
(表7b)



日向坂46のT項に関しては、初期30週(W)において20週以上100位圏内入りした曲がなく、まずはグループとメンバーの知名度を上げて、広く興味を持って貰うことが最優先かと。

火曜日のNHK総合『うたコン』では、平仮名けやき坂からの歴史をVTRで紹介し、出発点となった自前曲「ひらがなけやき」を披露するという特別な演出があった。

日向坂運営も知名度を上げることが重要との認識を持っていて、どんなグループなのかを説明する機会を作りたかったのかもしれない。

1stアルバムのリード曲「アザトカワイイ」は、ビルボードHot100「国内動画再生回数(M)」の順位推移が、過去の表題4曲より明らかに高く、楽曲人気自体はしっかりと積み上げつつある印象で、グループの存在が広く知られるようになれば、各種指標でもう一段階上の数字が出てくるんじゃないかと思う。

「アザトカワイイ」は現在MV公開9週目(W)までのM項順位が判明していて、10週目が出たあたりで、YouTube再生回数を含めて、数字を紹介するつもりです。

 

ところで、T項のカウントですが、乃木坂46「夜明けまで強がらなくてもいい」のように、アーティスト名と曲名の両方がフルでツイート文に書かれていれば数えてくれるのは確かだけど、では「夜明けまで」は大丈夫か、46なしの乃木坂だけはOKか、といった省略の許容範囲はどうやら企業秘密のようで(笑)、結局、T項順位を意識するときはフルネームで書くようにしています。


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欅坂46「二人セゾン」MVが6千万再生を達成、静かに支持され続けた4年間 [23Oct20]

2020-10-23 01:15:00 | 芸能

10月21日(水)の午後6時ごろ、欅坂46・3rdシングル表題曲「二人セゾン」のMV累計再生回数が6千万回に到達しました。

欅坂では1st「サイレントマジョリティー」、4th「不協和音」に次ぐ3番目の6千万再生、坂道全体では乃木坂46・17th「インフルエンサー」を含め4番目となります。

(表1) 坂道MVの6千万再生作品
凡例
[順位] 到達日数 直近速度 [全期間速度] 到達した日付 曲名_グループ名 Sg番号
#「到達日数」は公開日を1Dとしたときの6千万回到達日
#「直近速度」は5千万回から6千万回までの再生回数平均増加速度
#「全期間速度」は公開開始から6千万回までの再生回数平均増加速度
#「順位」は乃木坂15th以降の作品を6千万回到達の速い順に数えたもの
[1] 0430D 13.5万回/日 [14.0] 2017/05/19(金) サイレントマジョリティー_欅1
[2] 0636D 04.8万回/日 [09.4] 2018/12/18(火) 不協和音_欅4
[3] 1125D 03.1万回/日 [05.3] 2020/03/30(月) インフルエンサー_乃17
[4] 1435D 01.9万回/日 [04.2] 2020/10/21(水) 二人セゾン_欅3

「二人セゾン」MVの6千万回再生は、公開日を1日目(D)として数えた1435日目の達成で、坂道4作品の中では最もゆっくりしたペースだった。

(表2)



次の表3は再生回数の週単位(w)平均増加速度の推移ですが、「サイレントマジョリティー」と「不協和音」は公開40〜50週の間に20万回/日を越える大幅加速があり、「インフルエンサー」もその付近で10万回/日を突破している一方、赤色のグラフ線で示される「二人セゾン」にはそういった高速期間がない。

(表3)



「二人セゾン」MVの累計6千万回到達がこれら3作品より遅れたのは、爆発的に増加速度が上昇する時期を持たなかったためですが、この作品は静かに長く支持され、視聴され続けたとも言える。

「サイレントマジョリティー」「不協和音」「インフルエンサー」はすべて紅白披露曲であり、さらに乃木坂の17thはレコード大賞受賞曲でもある。

またこれら三つはすべて春曲であり、40〜50週目は年末から新春に当たる、まさにスポットライトが当たり、社会的に話題となった時期です。

一方、「二人セゾン」は11月後半にリリースされた秋曲で、紅白で披露されたことはなく、レコード大賞にノミネートされたこともない。

しかしファンの間で根強い人気を保ち続け、MV再生回数をじりじり伸ばしていった曲だったと言えます。


ただ表1が示すように「二人セゾン」MVの5千万回から6千万回までの再生回数平均増加速度は1.9万回/日で、2万回/日を割り込んでいる。

もしこのペースで進めば、累計7千万回に到達するのに今から500日以上掛かるわけで、どこかで大幅な加速がなければ、8千万、9千万を突破するのは相当先になります。

さらに、「不協和音」と「インフルエンサー」も直近1千万回の平均速度は3万回/日ほどで、「サイレントマジョリティー」に次ぐ1億再生MVの誕生はかなり先になるかもしれない。

(表4)



最後に、坂道3グループの表題曲フルMVについて、2020年10月22日(木)時点での公開全期間に渡る累計再生回数の週単位(w)推移を載せておきます。

まずは欅坂46。

(表5a) 欅坂46MVの累計再生回数の週単位推移
(表5b) 欅坂46MVの平均増加速度の週単位推移



次は乃木坂46。

(表6a) 乃木坂46MVの累計再生回数の週単位推移
(表6b) 乃木坂46MVの平均増加速度の週単位推移



そして日向坂46。

(表7a) 日向坂46MVの累計再生回数の週単位推移
(表7b) 日向坂46MVの平均増加速度の週単位推移



平均増加速度のグラフは縦軸を揃えているので、3グループで直接比較できます。

日向坂46MVに大幅加速がないのは、グループとメンバーの知名度が乃木坂や欅坂ほど未だ高くないためだと思います。


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乃木坂46・4期曲「I see…」MVの人気は何を意味するのか?問われる選抜制のあり方 [21Oct20]

2020-10-21 19:30:00 | 芸能

乃木坂46の4期曲「I see…」MVは10月14日、つまり先週水曜日の正午に公開210日目(d)が終了し、同日にビルボードHot100の「国内動画再生回数」も30週目(W)までの順位が発表されています。

「I see…」は25枚目シングルのC/W曲で、表題曲「しあわせの保護色」MVの13日後に公開がスタートしたにもかかわらず、YouTubeの累計再生回数で追い越してしまい、ファンの間で話題になりました。

かなりの人気を集めているMV作品であるのは間違いなく、公開30週目まで進んだ今、何が起こったのか、あらためて振り返ってみようと思います。

「I see…」MVの公開210日目(d)終了時点での累計再生回数は1447.6万回で、坂道フルMV全体の中で11位です。

(表1) 坂道フルMVのYouTube公開210日目(d)再生回数
凡例
[順位] 210d累計 : 208→209→210d積上(初日比210d/1d)曲名_グループ名 Sg番号
# 累計、積上は万回単位
# 初日比は積み上げ再生回数の比で、少数点以下3桁目を四捨五入
# 乃木坂15th以降、欅坂・日向坂全期間で210日目(d)以降までフル公開されたMV34作品を対象に
210d累計再生回数の多い順にランキング
# ピンク色の文字は乃木坂TOP3作品
[01] 2972.0 : 6.4→7.2→6.6(0.05) 不協和音_欅4
[02] 2929.2 : 6.2→6.1→5.3(0.03) ガラスを割れ!_欅6
[03] 2871.2 : 8.3→7.9→6.7(0.28) サイレントマジョリティー_欅1
[04] 2303.0 : 4.0→4.0→4.1(0.03) 風に吹かれても_欅5
[05] 2286.5 : 5.8→5.7→6.2(0.13) 二人セゾン_欅3
[06] 2145.5 : 4.7→4.8→4.9(0.03) アンビバレント_欅7
[07] 2116.2 : 5.1→5.4→6.0(0.06) インフルエンサー_乃17
[08] 1881.5 : 3.5→3.6→3.8(0.03) 帰り道は遠回りしたくなる_乃22
[09] 1787.3 : 3.1→3.2→3.2(0.03) シンクロニシティ_乃20
[10] 1463.3 : 3.1→3.2→3.3(0.03) ソンナコトナイヨ_日4
[11] 1447.6 : 2.5→2.3→2.3(0.03) I see…_乃25C
[12] 1346.5 : 4.9→5.1→5.2(0.07) ドレミソラシド_日2
[13] 1345.1 : 4.5→4.1→3.6(0.06) 黒い羊_欅8
[14] 1284.7 : 2.6→2.7→3.0(0.03) Sing Out!_乃23
[15] 1190.4 : 3.7→3.8→4.1(0.04) エキセントリック_欅4C
[16] 1172.8 : 2.4→2.7→2.6(0.03) いつかできるから今日できる_乃19
[17] 1171.9 : 2.2→2.3→2.3(0.04) サヨナラの意味_乃16
[18] 1164.2 : 2.3→2.3→2.2(0.02) ジコチューで行こう!_乃21
[19] 1080.3 : 5.9→5.1→4.1(0.12) 世界には愛しかない_欅2
[20] 1038.9 : 2.1→2.1→2.2(0.03) 夜明けまで強がらなくてもいい_乃24
[21] 0996.2 : 2.3→2.1→2.3(0.09) キュン_日1
[22] 0927.1 : 0.9→0.9→1.0(0.01) しあわせの保護色_乃25
[23] 0913.9 : 1.9→1.8→2.0(0.03) こんなに好きになっちゃっていいの?_日3
[24] 0884.7 : 3.1→2.8→3.5(0.14) 裸足でSummer_乃15
[25] 0824.3 : 0.9→0.8→0.7(0.01) 逃げ水_乃18
[26] 0700.6 : 2.2→1.7→2.4(0.03) 月曜日の朝、スカートを切られた_欅1stAb
[27] 0597.4 : 2.8→2.4→2.5(0.10) 語るなら未来を…_欅2C
[28] 0593.0 : 0.9→0.9→1.0(0.01) 角を曲がる_平手ソロ
[29] 0462.9 : 0.9→1.0→0.9(0.03) 期待していない自分_け1stAb
[30] 0419.6 : 1.3→1.3→1.2(0.02) W-KEYAKIZAKAの詩_4C
[31] 0378.5 : 0.5→0.5→0.5(0.01) アナスターシャ_乃25C
[32] 0370.5 : 1.6→1.6→1.6(0.08) きっかけ_乃2ndAb
[33] 0364.2 : 0.4→0.3→0.4(0.00) じゃあね。_乃25C
[34] 0278.6 : 0.4→0.4→0.4(0.01) 毎日がBrand new day_乃25C

4期曲「I see…」MVの順位は、長期公開されている乃木坂46フルMVの中では、7位の17th「インフルエンサー」、8位の22nd「帰り道は遠回りしたくなる」、9位の20th「シンクロニシティ」に次ぐ4番手であり、10位の日向坂46・4th「ソンナコトナイヨ」と15.7万回の僅差。

乃木坂では15thから25thまでのシングル表題曲フルMV11作品が無期限公開され、欅坂は1stから8thまでの8作品、日向坂は全4作品がそうなので、表題曲に関して坂道は23作品が長期公開されている。

「I see…」MVより上位の10作品はすべて表題曲MVなので、坂道表題MV23作品中の11位であり、210d累計再生回数は表題曲レベルの数字だと言えます。


シングルC/W曲のフルMVが210dより長く公開された例は、乃木坂では2期曲「アナスターシャ 」、3期曲「毎日がBrand new day」、4期曲「I see…」、白石麻衣の「卒業」ソロ曲「じゃあね。」の25th収録全4作品が初めてですが、欅坂では「語るなら未来を…」「エキセントリック」「W-KEYAKIZAKAの詩」と3作品がある。

またアルバムリード曲でフルMVが210d以上公開されているのは、乃木坂46「きっかけ」、欅坂46「月曜日の朝、スカートを切られた」、けやき坂46「期待していない自分」と3作品あり、加えて平手友梨奈ソロ曲「角を曲がる」のフルMVも同様の長期公開。

表題曲MV以外のこれら11作品の中でも、勿論「I see…」がトップで、次の欅坂46「エキセントリック」を257.1万回差でリードしている。

つまりMV公開から約7ヶ月経った210日目(d)における累計再生回数が、坂道の表題曲MV全体では真ん中くらい、C/W曲やリード曲などのMVでは断トツということで、知名度が低く、宣伝も多くなかった新人4期によるMVとは思えない速い積み上げペースです。


次に「I see…」MVの公開210日間の再生回数推移をより詳しく見ていきます。

(表2a)
(表2b)



表2aは15th以降の乃木坂46表題曲のMV累計再生回数推移を公開開始から210dまで示したグラフで、「I see…」MVが49d以降、4番手を維持していることが分かります。

一方、日単位の積み上げ再生回数、つまり増加速度を縦軸にしたのが表2bで、オレンジ色の小さな三角形で示された「I see…」MVが時折、速度を上げながらも、基本的には全作品中の中間くらいで進んでいる。

ただ表2bはごちゃごちゃして見づらいので、増加速度を幾つかの速度帯に分類し、それぞれの速度帯に何日入ったかを示すグラフを表3に載せておきます。

(表3)



公開初日からの210日間(D)において5万回/日以上の増加速度を記録したのは98日で、やはり累計再生回数TOP3である17th、22nd、20thに次ぐ4番目の多さでした。


4期曲「I see…」MVが半年以上に渡って高い積み上げ再生回数を維持できたのはなぜなのか?

答えるのが難しい問いですが、まずは増加速度の推移を振り返っておきます。

表4は公開初日から210Dまでの日毎の増加速度(積み上げ)と加速度(前日と速度差)の推移グラフです。

(表4)



青色のグラフ線は増加速度を示し、通常は時間と共に減衰していく曲線が、楽曲やMVに関連した出来事が起こると、注目が集まって反転上昇しています。

また赤色のグラフ線は対象日の速度から前日の速度を引いた差ですが、速度の上昇が大きければ大きいほど、より大きなプラスの値を取るので、赤色の線がより大きく、より頻繁に正の方向へ振れるほど再生回数の増加速度は高水準を維持することになる。


「I see…」MVの再生回数増加速度が初めて大きな反転上昇を記録したのは、公開40日目(D)に相当する4月26日(日)、累計再生回数が表題曲「しあわせの保護色」MVを同時刻比較で超えた日で、前日からプラス1.5万回/日の加速。

この加速で波に乗り、『'17年乃木坂46東京ドームライブ』の映像配信という、楽曲とは直接関係のないイベントでも再加速、しばらくの間、通常の減衰曲線から外れ、速度の高止まり状態が続く。

さらに公開101Dの6月26日(金)に累計1千万回を突破したとき、プラス2.7万回/日の大きな加速が発生し、こちらも数十日に渡って、単純な関数で予想される減衰曲線から外れた高い速度で進むことになる。

(表5) 乃木坂46・25th収録曲のテレビ披露
凡例
===== 曲種別「曲名」担当メンバー
[順番] 演奏時間 : 日付 [テレビ種別] テレビ局名『番組名』
# 演奏時間は前奏開始から後奏終了までの時間
===== 表題曲「しあわせの保護色」25th選抜
[1] 2分58秒 : 2020/03/06(金) [地デ] テレビ朝日『MUSIC STATION』
[2] 5分00秒 : 2020/03/16(月) [地デ] TBS『CDTVスペシャル!卒業ソング音楽祭2020』
[3] 2分58秒 : 2020/03/25(水) [地デ] 日本テレビ『Premium Music 2020』
[4] 2分58秒 : 2020/03/28(土) [地デ] 日本テレビ『バズリズム02』
[5] 2分58秒 : 2020/03/29(日) [地デ] TBS『CDTVサタデー』
[6] 2分58秒 : 2020/03/30(月) [地デ] TBS『CDTVライブ!ライブ!初回4時間スペシャル』
[7] 2分58秒 : 2020/04/03(金) [地デ] テレビ朝日『MUSIC STATION 3時間SP』
===== C/W・4期曲「I see…」
[1] 2分25秒 : 2020/08/04(火) [地デ] テレビ東京『プレミアMelodix!』
[2] 2分24秒 : 2020/08/10(月) [地デ] TBS『CDTVライブ!ライブ!夏フェス4時間スペシャル』
===== C/W・2期曲「アナスターシャ」
[1] 2分54秒 : 2020/04/13(月) [地デ] テレビ東京『乃木坂工事中』
===== C/W・ユニット曲「ファンタスティック3色パン」梅澤美波・齋藤飛鳥・山下美月
[1] 3分31秒 : 2020/09/21(月) [地デ] TBS『CDTVライブ!ライブ!秋のリクエストフェス・ラブソング4時間SP』


4期曲「I see…」がテレビ披露されたのは8月4日(火)午前2時20分からのテレ東『プレミアMelodix!』と8月10日(月)午後7時からスタートしたTBS『CDTVライブ!ライブ!夏フェス4時間スペシャル』での2回だけかと思います。

プライムタイムでの披露となった8月10日(月)にはプラス2.0万回/日という大きな加速が起こったけど、これらのテレビ出演は「I see…」MVの再生回数が既にC/W曲の通常水準を越え、ファンの間で話題になった為に実現した感があり、再生回数加速の原因と言う以上に、結果と考えた方がいいかもしれない(笑)。

つまり「I see…」MVの再生回数が伸びたのは、テレビ披露などメディア露出の結果ではなく、純粋に音楽や映像作品の魅力で視聴を呼び込み、表題曲との累計逆転や1千万再生の達成など、数字そのもののイベントが宣伝効果となって、さらに数字が伸びていった印象がある。


参考までに、「I see…」MV以外の速度&加速度グラフを幾つか載せておきます。

(表6a) 乃木坂46・25th「しあわせの保護色」
(表6b) 乃木坂46・24th「夜明けまで強がらなくてもいい」
(表6c) 乃木坂46・17th「インフルエンサー」
(表6d) 欅坂46・1st「サイレントマジョリティー」




表6の四つのグラフは縦軸のスケールを揃えているので、相互に直接比較できます。

ヒットの度合いが大きいと感じる楽曲のMVほど、加速度を表す赤線のギザギザ具合が激しく、派手になっているのが分かると思います。

縦軸を敢えて揃えたので、「サイレントマジョリティー」は増加速度がグラフに収まらず、青線が一部見切れてます(笑)。


ところでC/W曲である「I see…」が同じシングルの表題曲「しあわせの保護色」を、MV累計再生回数で追い抜いたのは、乃木坂で初めてC/W曲フルMVがCD発売後も公開され続けたからで、もし同様の長期公開が24th以前でもあれば、既にどこかで起こっていただろうとの指摘があります。

乃木坂の表題曲フルMVはCD発売の3〜4週間前にYouTubeでの公開が始まり、その後、C/W曲フルMVが順次公開されますが、CD発売日にショートバージョンに差し替えられるため、C/W曲で3週間以上公開が続いたフルMVはほとんどなく、30週間公開なんて例はこれまでゼロだった。

そこで「I see…」MVが登場するまで、歴代C/W曲フルMVの中で、最も速い積み上げペースを記録していた20th収録「Against」MVが、表題曲である「シンクロニシティ」MVを累計逆転する可能性があったかどうかを調べてみました。

「Against」は生駒里奈の「卒業」曲であり、また当時の1期メンバーが全員参加した1期曲で、フルMVの公開は12日目(d)に終了しています。

(表7) 乃木坂46C/W曲フルMVのYouTube公開12日目(d)再生回数
凡例
[順位] 12d累計 : 10→11→12d積上(初日比12d/1d) 曲名*_Sg番号
# 累計、積上は万回単位
# 初日比は積み上げ再生回数の比で、少数点以下3桁目を四捨五入
# 曲名に続く「*」はそのシングルC/W中で最初にフルMVが公開された曲
# 乃木坂15th以降に収録されたC/W曲で12日目(d)以降までMVがフル公開された24作品を対象に
12d累計再生回数の多い順にランキングしたTOP10
[01] 288.8 : 13.7→14.3→14.6(0.19) I see…_25
[02] 209.7 : 09.2→08.2→07.9(0.10) Against_20*
[03] 181.2 : 04.3→04.4→04.6(0.05) じゃあね。_25
[04] 178.8 : 05.8→05.2→05.7(0.08) 心のモノローグ_21*
[05] 145.1 : 06.6→05.8→05.7(0.12) トキトキメキメキ_20*
[06] 127.9 : 03.4→04.8→06.6(0.12) アナスターシャ_25*
[07] 123.7 : 03.7→03.9→03.3(0.06) まあいいか?_19*
[08] 112.5 : 03.3→02.9→02.7(0.05) のような存在_23*
[09] 111.7 : 03.9→03.2→02.5(0.09) ないものねだり_16
[10] 105.8 : 03.8→03.7→03.0(0.08) 意外BREAK_17*

次の表8は、20thシングルにおけるC/W曲「Against」と表題曲「シンクロニシティ」のMV累計再生回数推移を示したグラフです。

(表8)



13日目以降の展開はやってみないと分からないですが、12dまでの流れを見ると、「Against」が「シンクロニシティ」のMV累計再生回数を追い越すような雰囲気は感じられない。

「Against」MVはC/W曲として歴代トップの再生回数積み上げを見せた、非常に人気の高い作品です。

ただC/W曲の人気が高ければ、同じ乃木坂46が出している表題曲の人気も高くなり、後者は前者より遥かに分厚いプロモーションを仕掛けるのだから、MV視聴数がより多くなるのは、まあ当然のことです。


また25thシングルのC/W曲「I see…」と表題曲「しあわせの保護色」のMV累計再生回数の逆転は、公開開始を原点にして、一定の時間が経過したときの数字を比べる通常の同時期比較では、公開18日目(d)という早い段階で起こっています。

乃木坂15th以降のC/W曲フルMVで18d以上公開されたのは「I see…」以外に8作品ありますが、勿論、表題曲MVの累計再生回数を超えるような作品はありません。

(表9a)
(表9b)



公開開始からの経過時間を揃えた同時期比較で累計再生回数を上回らなければ、後発のC/W曲MVが表題曲MVを、公開の時間差を無視した今現在の同時刻比較で逆転するのはもちろん不可能。

25thシングルにおいて、同時期比較だけでなく、同時刻比較でも、C/W曲と表題曲の累計逆転が起こったのは、乃木坂のシングル史上、極めて異例な出来事だったと思います。


表2aが示すように、4期曲「I see…」MVの累計再生回数は、公開210dの同時期比較で17th、22nd、20thの表題曲MVに次ぐ4位で、それら3作品以外の表題曲MVを軒並み上回っている。

不思議なのは、この中に遠藤さくらをセンターに大抜擢し、TOP3を賀喜遥香と筒井あやめの4期で固めた24th「夜明けまで強がらなくてもいい」が含まれていること。

4期メンバーの3人を選抜フロントに抜擢し、大々的にフィーチャーした表題曲MVより、C/Wの4期曲「I see…」MVの方が遥かに多くの視聴数を集めているのは、楽曲そのものの訴求力だけでは説明し切れない気がする。

3期以上の先輩メンバーがひしめく選抜の中にポツンと置かれた3人より、4期メンバー全員が和気藹々と絡んでいる映像の方がより多くの視聴者を惹きつけるのかもしれない。

新人を使うなら、少数のメンバーを優先的に前に出すのではなく、全員丸ごとフィーチャーするべし、ということなら(笑)、選抜制の大所帯アイドルという乃木坂の基本方針は見直した方がいいと思う。


4期曲「I see…」MVの再生回数増加が乃木坂46歴代MVの中でもかなり好調であるのは、ここまでの分析から間違いない。

ただ近年、人気MVの再生回数増加が高速化している印象が強く、数年前のヒット作品と同じ数字を出しても、Pops界全体における相対人気は、その当時に及ばない可能性がある。

YouTubeの再生回数ではなく、ビルボードHot100「国内動画再生回数(M)」の順位という相対指標を使って、別の角度から「I see…」MVの人気を考えてみます。


「I see…」のビルボードM項はMV公開30週目(W)まで順位が出ていますが、100位圏内に入ったのは最初の3週のみなので、横軸を10Wにした順位推移グラフを載せます。

(表10)



25th表題曲「しあわせの保護色」も2週(W)しか入らず、フルMVが公開されている最新曲「世界中の隣人よ」は一度も100位圏内がなく、最近の曲は動画の相対人気で苦戦が目立っている。

次の表8は公開初週の1Wから30Wまでの順位を、幾つかの順位帯に分け、それぞれの範囲に何週ランクインしたかを数えたグラフです。

(表11)



30週間ずっと圏内に留まったのは17th「インフルエンサー」で、TOP20やTOP40に入った週数も歴代トップ。

次いで16th「サヨナラの意味」、22nd「帰り道は遠回りしたくなる」、20th「シンクロニシティ」と、MVの210d累計再生回数で上位に位置する楽曲がやはり、ビルボードM項でも高い順位を残している。


一方、「I see…」は210d累計がグループ内で4位ながら、M項順位は大幅に低い水準に止まっている。

海外アクセスの割合が異なっている可能性はあるけど、一番疑いたくなるのは、ネット人口の増加に伴って、YouTubeの動画視聴数が近年、急激に増加して、MVに関しても同じ再生回数が持つ意味が数年前と全然違ってきたこと。

17th「インフルエンサー」は2017年の春にMVが公開されましたが、それから3年経った2020年春にMV公開の「I see…」と比べると、ビルボードM項で上位に入るために必要なYouTubeの週単位積み上げ再生回数が、当時はずっと少ないように見える。

(表12a)
(表12b)



例えば「インフルエンサー」の8週目(W)は69万回の積み上げで16位に入っている一方、「I see…」の6Wは同じ69万回ながら100位圏外を喫している。

ビルボードのM項は「国内」の動画再生回数によるランキングであり、さらに再生回数に比例してポイントを付与しているのか、YouTubeの「急上昇」のように、何か別の情報を加味してポイント化しているのか分からないので、この問題に関して細かい議論は難しい。

ただ近年の坂道曲のM項順位を見る限り、YouTubeのMV再生回数をもっと上げないと、上位進出は厳しいという印象を強く受けます。


現在、MV公開から16週(W)連続でM項TOP4入りを維持しているNiZiU「Make you happy」のグラフを参考に、ならないかもしれないけど(笑)、載せておきます。

(表13)



再生回数の左縦軸はスケールを表12の10倍以上にしています。

韓流アイドルは世界的に人気が高く、各国にファンがいるので、「Make you happy」のYouTube再生回数は海外アクセス分が坂道よりずっと多いのは間違いなく直接比較は無意味ですが、今の坂道曲がM項順位で存在感を見せるには、200万回以上の週積み上げをキープするくらの再生回数が必要かもしれない。


表11に示された25th表題曲と4期C/W曲の順位帯週数分布を見ていると、なぜ「I see…」MVがYouTube再生回数を伸ばしたのかより、なぜ「しあわせの保護色」のMVは伸ばせなかったのかが気になってきます。

20th収録のC/W3期曲「トキトキメキメキ」のMVは、岩本蓮加センターで3期メンバーの華やかで賑やかな雰囲気を映像化し、表7のように、歴代C/W曲MVの中でもトップクラスの再生回数を記録している。

新人メンバーが注目を集め、その期によるMVが再生回数を伸ばすのは、3期が乃木坂に入ったときにも起こっていた現象で、4期曲「I see…」MVの人気も、基本的には同じ作用によるものじゃないかと思います。

そして「I see…」MVの再生回数積み上げ速度がべらぼうに大きいというより、YouTube人口が以前より増加している今、人気を博したC/W曲MVが集めるトップレベルの数字だったのではないかと。

実際、ビルボードHot100「国内動画再生回数」の順位推移は、表題曲には届かないものの、過去のC/W曲と比べるとかなり良好で、決して厳しい成績ではない。


一方、徹底的なメディア露出によって、分厚いプロモーションを仕掛ける表題曲なら、数字が伸びなかったとしても、MVの累計再生回数が同じシングルのC/W曲MVを下回るなんてことは通常考えらないのだけど、それが現実に起こってしまっている。

25th「しあわせの保護色」は白石麻衣の「卒業」シングルで、MVもまいやんの旅立ちをテーマにしているので、4期を応援しているファンの関心を集め切れなかった可能性はある。

しかし4期メンバー3人がフロントを形成した24th選抜による「夜明けまで強がらなくてもいい」のMVですら、累計再生回数が伸び悩み「I see…」のレベルに届いていない。

乃木坂の選抜に対するファンの期待感や注目度が急激に低下し、期別など数あるグループ内ユニットの中で、選抜がとくに人気を集めにくいチームになりつつあるのであれば、早急に選抜のあり方を考え直す必要がある。

乃木坂で楽曲パフォーマンスを重視した音楽選抜は一度も実現していないが、大体決まったメンバーが延々と選ばれ続ける選抜がそもそも必要かどうかを含め、検討するべきだと思う。

とくに新型コロナの問題でシングルを出せず、アンダー曲がないなら、いっそチーム制にするのも一つの案かもしれない。


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