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ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

ちょっと野球の話 ~ 藤川球児登板のタイミング

2011-10-12 07:10:46 | 事件
10月11日、東京ドームで行われた阪神・巨人戦は、追いつ追われつの稀にみる好ゲームだった。

クライマックス出場を目指して争っている両チームだが、前日、阪神が巨人を破ったために、その差が二ゲームにまで縮まって、いよいよデッドヒートの様相を呈してきた。その状況を反映して、試合も隙のない緊迫した展開となった。

結局、3対3の同点で迎えた9回裏、ランナーを二塁において巨人の藤村がメッセンジャーから代わった藤川球児のストレートを外野にはじき返し、巨人のサヨナラ勝ちで終わった。

この試合に関しては、阪神、巨人ともにベンチワークで気になる点はほとんどなかったが、9回裏の最初から藤川を投入しなかったことには、少し驚いた。

先発のメッセンジャーが好投を続けていた上に、時間がまだ早く、延長に入った場合11回まで行く可能性もあったので、難しい判断なのは間違いない。ただ、藤村に打たれたストレートは藤川がマウンドに上がってから二球目のストレートで、しかもストライクゾーンに投げ込んだ初めてのストレートだった。もし、ノーアウト走者なしから投げることが出来れば、シングルヒットは覚悟の上で、今日はストレートが走っているのか、変化球の切れはどうか、探りながらピッチングをして、絶対に抑えるべき場面で、もっと効果的な配球を組めたかもしれない。

一方で、藤川投手は10月8日の対横浜戦でも、9回裏に捕手の細山田にサヨナラタイムリーを打たれている。この試合では8回二死からマウンドに上がっていて、その日の球の調子は承知していたはずである。しかも、細山田は、バッティングの弱い選手で、タイムリーは勿論そもそもヒットを打った場面を、あまり見たことがない。その選手にサヨナラタイムリーを打たれるというのは、やはり、シーズン終盤に入って疲れから、球威が落ちているのだろうか。

細山田のサヨナラタイムリーに関しては、イニングをまたいで投げたことが悪い結果につながったという声も多い。阪神の場合は、最後は藤川に任せるしかないという部分もあるので、3点以内のリードもしくは同点であれば、9回の頭から球児が出てくるというシーズン中盤までの「真弓ドクトリン(笑)」を、これからも守るのが結局はベストなのかもしれない。

これで3位巨人と4位阪神のゲーム差は再び3となった。阪神は直接対決後シーズン終了まで11試合残っていて巨人より7試合多く、しかもそのほとんどが広島戦と横浜戦である。まだ期待の持てる状況ではあるが、これ以上離されると逆転するのは「奇跡」の領域に入ってくる。逆に、もしゲーム差が2に縮まれば、残り試合数が4で、最後の三連戦の相手が優勝を目前にした中日という巨人が心理的に追い詰められていく。

そういう意味で、今日の阪神・巨人最終戦は今季セリーグの中でもとくに重要な試合の一つである。そして、もし阪神がリードしていれば、最後に藤川球児が出てくる可能性が高いわけで、彼の登板タイミングとピッチング内容が大きな見所となるだろう。


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ちょっと野球の話 ~ 「セイフティ・スクイズ」で火がついた

2011-10-11 03:56:21 | 野球
10月10日、東京ドームでの阪神・巨人戦。

両チーム無得点で迎えた五回裏、1アウト走者一塁三塁。

打者はここまで好投を続けているピッチャーの西村。ヒッティング、もしくは、送りバントで、二塁三塁にして次の坂本に託すのが常識的な攻め方である。

ところが・・・驚いた。

西村の一塁線ギリギリの絶妙なバントに三塁ランナーの谷が反応。本塁突入で巨人が一点を先制。打者のバントを見てから三塁ランナーが動き始める「セイフティ・スクイズ」である。

これは、前進する気配のなかった一塁ブラゼルの動きをみたファインプレーだとも言える。しかし、普通に考えれば、打球の勢いをあれほど殺して、かつラインギリギリに球を転がすのは一種の偶然で、ごくまれでラッキーなことが起ったと考えるべきなのかもしれない。

この作戦の成功確率はともかく、これを命じた巨人ベンチの采配には強い危惧を感じた。

三塁ランナーは絶対に憤死させたくはない。一方で、バッターは西村だが、どうしても先制点が欲しい。「スクイズ」は憤死のリスクが伴う、ゆえに「セイフティ・スクイズ」ならどうだろう?

この発想には、リスクを背負って勝負を仕掛け、運も含めて相手を圧倒して何としても勝つのだという気迫が感じられない。

腹をくくった最終決戦においてすら、巨人ベンチは「セイフティ」という意識を捨てられないのだという雰囲気が、阪神の選手とベンチをして「こんなジャイアンツなら粉砕できる」という気持ちにさせてしまった、と思わざるを得ない。

事実、阪神は次の6回に2点を取ってすぐに逆転。さらに7回に2点、8回に2点。結局、圧倒的な阪神の攻撃に押されて、その後、巨人は一度も試合の主導権を取ることなく敗れた。

ペナントレース終盤、ましてやクライマックスシリーズへの出場権が掛かってくる試合。格下であってもバッターはデッドボールすら狙って喰らい付いてくるし、ピッチャーは強打者にギリギリのコースに投げ込んでくるだろう。

こういった心理戦争が始まっているときに、ベンチがあまりに「セイフティ」を気にして、「失敗を怖れている」という後ろ向きな態度を露呈するのは、相手に弱みを見せるのに等しい行為で、勝敗の行方には、計り知れないマイナスとなる可能性が高い。

あのとき「セイフティ・スクイズ」ではなく、憤死のリスクを取る普通の「スクイズ」が成功していたら、その後の展開が変わっていたかもしれない。

西村に「セイフティ・スクイズ」を決められて1点を失った後、すぐ次の回の阪神の先頭バッターはピッチャーの能見だったが、いきなりセイフティバントを試みたのが印象的だった。

凡退に終わってベンチに帰る能見から「こんな奴らには絶対に負けない」という強い意志を感じた。おそらく、その気持ちは阪神の選手や、巨人の選手にすら伝わっただろうと思う。

セリーグ3位争いの行方はまだまだ不透明だが、どちらが勝負に対して腰が据わっているのか、そして本気なのか、最終的にはそういった気持ちの部分で雌雄が決するのだろう。

コメント (2)
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