S2000奮闘記

スポーツカー偏愛録。
S2000のメンテナンスノート。

自動車の税金について思うこと 2018.3.21

2018年03月21日 | 雑記
2018年 3月21日(水)
ベストカーWebを見てたら、正にその通り!と思える素晴らしい記事が書かれていたので転載してみた。
自動車にかかる税金には、この国の矛盾が沢山詰まっている。
そろそろ自動車税の徴収の時期も近づいてくる。
そんな時だからこそ知っておきたい、国と自動車業界の癒着の話。
題して「税金天国が出来るまで」とでも付けておこう。



以下。

「古いクルマの持ち主を苦しめるイジメ重課税はおかしい!!【旧車を大事に】」 2018.3.21

古いクルマに乗り続けると、税金が高くなる。
ただでさえ高くて問題のある日本の自動車関連税は、古いクルマを大事に乗っているユーザーに対して不当に厳しい。
「旧車」といっても新車登録からわずか13年で重課税は始まる。
今年から見ると2005年式のクルマがもう重課税対象となるわけだ。


「2005年って、ついこの前じゃないですか!」
こうした旧車への重課税に対して、「道徳のカケラもない」と怒っているのが自動車ジャーナリストの渡辺陽一郎氏。

まずは新車登録13年超のクルマがどれくらい多く税金を払っているかを紹介し、国がなぜ古いクルマに重税を課すのかを検証してゆきたい。


「ただでさえ高くて問題もある日本の自動車関連税!」
自動車の税金には、購入時に納める「自動車取得税」、購入時と車検を受ける時に納める「自動車重量税」、毎年納める「自動車税(あるいは軽自動車)」の3種類がある。

このほか燃料にも税金が含まれ、ガソリン1Lに付き「揮発油税」が48.6円、「地方揮発油税」が5.2円、合計すれば53.8円も納める。
ガソリン価格が1L当たり140円とすれば、正味価格は86.2円に収まるわけだ。

ディーゼルの軽油にも「軽油取引税」が32.1円含まれ、1L当たり115円なら正味価格は82.9円だ。
つまりディーゼルは低燃費で軽油も安いから経済的といわれるが、正確には軽油の価格ではなく税金が安いのだ。

このように、自動車関連の税金は多岐にわたり、車両や燃料には消費税も加わるから二重の課税が行われている(税金に税金が掛かっている、ということ)。

しかも古い車両には、エコカー減税とは逆に税金を増やす「重課」が実施されている。
自家用の乗用車と軽乗用車は、初度登録(軽自動車は初度届け出)から13年(自動車税)/18年(重量税)をそれぞれ超えた車両が対象だ。


「自動車税、重量税ともに「古いクルマ」からたくさん取る!」
小型/普通乗用車は、初度登録から13年を経過すると自動車税が115%に高まる。
1.6~2Lエンジン車の「自動車税」は、13年以内ならば年額3万9500円だが、13年を超えると年額4万5400円になり、新しい2.5L車の税額を上まわる。

「軽乗用車税」は、初度届け出から13年以内であれば年額1万800円(登録時期が2015年3月末までなら年額7200円)だが、13年を超えると1万2900円に跳ね上がる。
毎年7200円を納めていたユーザーは、軽自動車額が一気に180%まで増えるのだ。

さらに「自動車重量税」にも重課が行われる。
小型/普通乗用車の場合、初度登録から13年を経過すると139%、18年を経過すると154%に増える。

継続車検を受ける時には2年分の「自動車重量税」を納めるが、車両重量が1001~1500kgの場合、一般的な税率(車両重量が500kg当たり年額4100円)で2万4600円だ。
計算式は「4100円(暫定税率)×3(単位が500kgごとで車両重量が1000kgを超えるため)×2年分=2万4600円」になる。
これが13年を超えると2年分で3万4200円、18年を超えると3万7800円だ。

ちなみに購入当初に「エコカー減税」の基準に該当していれば、計算式が変わって「2500円(本則税率)×3×2年分=1万5000円」で済む。
つまり新車を買った直後は2年分の自動車重量税が1万5000円、これが18年乗り続けると、3万7800円に増えるのだ。

同様のことが軽自動車にも当てはまり、多くの車両が納める「自動車重量税」は、継続車検時の2年分なら6600円だが、初度届け出から13年を超えると124%に増えて8200円になる。
18年を超えると133%になって8800円だ。


「ただ古いというだけで税額が約1.4倍に!」
「自動車税(軽自動車税)」と「自動車重量税」が両方ともに増税されると、当然ながら税負担が大きい。
継続車検を受ける時に納める2年分の自動車重量税+2年分の自動車税(軽自動車税)、つまり2年分の維持費を整理すると以下のようになる。

◆普通車の場合
【条件】小型/普通車(排気量:1.6~2L/車両重量:1001~1500kgの車両)

・エコカー減税車
2年分の自動車税(7万9000円)+2年分の自動車重量税(1万5000円)=9万4000円

・通常の税額
2年分の自動車税(7万9000円)+2年分の自動車重量税(2万4600円)=10万3600円

・13年オーバー
2年分の自動車税(9万800円)+2年分の自動車重量税(3万4200円)=12万5000円

・18年オーバー
2年分の自動車税(9万800円)+2年分の自動車重量税(3万7800円)=12万8600円


◆軽自動車の場合
・エコカー減税車
2年分の自動車税(2万1600円)+2年分の自動車重量税(5000円)=2万6600円

・通常の税額
2年分の自動車税(2万1600円)+2年分の自動車重量税(6600円)=2万8200円

・13年オーバー
2年分の自動車税(2万5800円)+2年分の自動車重量税(8200万円)=3万4000円

・18年オーバー
2年分の自動車税(2万5800円)+2年分の自動車重量税(8800円)=3万4600円


上のリストからも分かるように、初度登録(届け出)から13年以上を経過した車両を所有すると、最大で1.4倍もの税金を負担させられる。
この制度は数多くの問題を抱えるので、即刻廃止すべきだ。
理由は以下のようになる。

(1)社会福祉の逆行
軽自動車を中心にして、老朽化した車両は、退職した高齢者によって使われることが多い。
鳥取県/山形県/長野県などでは、10世帯に10台以上の軽自動車が保有され、人口に占める65歳以上の高齢者比率も30%を上まわる。
つまりこれらの地域では公共の交通機関が未発達だから、高齢者が初度届け出から13年を超えた軽自動車を使って、日常の通院や買い物をしている現実がある。
このような人達に重税を課して苦しめるのが今の自動車税制だ。
高齢者にとって自動車の増税はライフラインの切断を意味する。
生存権にも影響を与え、もちろん社会福祉にも逆行する。
ちなみに東京都は軽自動車の普及率が全国で最下位だ。
10世帯で1台少々にとどまり、65歳以上の高齢者比率も23%と低い。
したがって東京の霞ケ関や永田町から、日本の切実な自動車事情と、高齢化社会の現実はまったく見えない。
自動車行政は、自動車がライフラインとして機能する地域で考えるべきだ。
政治も常に現場で仕事をしないと判断と行動を誤る。

(2)課税根拠の崩壊-1
「もはやクルマは贅沢品ではない!」
自動車税はもともと「財産税」、あるいは「贅沢税」として設けられた。
高額な財産で、所有すれば行動半径も広がるため、多額の利益を生み出せる。
そこで自動車税の徴税が開始された。
ちなみに「軽自動車税」は、1958年に廃止された「自転車荷車税」の後継として整備された経緯があり、昔は自転車や荷車も課税の対象だった。
この趣旨に沿って考えれば、退職した高齢者の移動手段として使われる古い軽自動車は、もはや財産税とか贅沢税の対象にはなり得ない。
そして、もし自動車が贅沢な財産だと仮定するのであれば、自動車税の税額を経年劣化に応じて下げないと理屈が通らない。
時間の経過に伴って車両の財産(資産)価値も減るからだ。
要は「減価償却」の考え方が必要になる。
初度登録から13年を経過した車両は、中古車価格が10万円以下になったりするが、そこに年額4万5400円(1.6~2L)の重税を課すのは、自動車税の趣旨に真っ向から反する。
まったく理屈が通らない。
また、そもそも「自動車重量税」は、自動車が道路を傷つけ、道路の建設や整備費用は自動車ユーザーが負担すべきという趣旨で設けられた。
そのために車両重量に応じて課税している。
しかし車両が古くなっても車両重量が増えたり、道路の損傷を拡大させることはないから、これも増税の根拠がない。

(3)課税根拠の崩壊-2
「道路特定財源は廃止されたのに!」
自動車取得税、自動車重量税、揮発油税などは、もともと道路建設や整備をするための税金(目的税)として1950~1970年代に設けられた。
この背景には、先に述べた道路建設や整備費用は自動車ユーザーが負担すべきという、受益者負担の考え方があった。
ところがこの道路特定財源制度は2008年に廃止され、今では課税根拠を失っている。
それなのに一般財源化されて存続している。
「自動車を走らせる道路を造るから、自動車ユーザーの皆さん、お金をください」といって徴収を開始したのに、ちゃっかり別の目的に使っているのだ。
しかも、古い自動車ユーザーから多額の搾取をしている。

(4)モノを大切に使う道徳の欠如
我々は「モノを大切に使わないといけませんよ」と言われながら育った。
昨今のエコロジーを踏まえても、とても大切な道徳だ。
ところが今の自動車税制は、古い自動車に重税を課して廃棄をうながす。
モノを大切にする道徳に反する。
古い自動車を増税して廃棄に導く根拠は「環境性能の向上だ」というが、これにも矛盾がある。
自動車は開発/製造/流通/使用/廃棄のすべてにおいて、環境に負担を与えて二酸化炭素も排出するからだ。
13年を超えた自動車に重税を課して、多くの人達を悲しませながら廃棄処分にさせ、無理に高額な新型車を買わせることがエコとは限らない。


結論をいえば、今の自動車税制は、国と自動車業界が癒着した結果の稚拙な産物だ。
道理の通らない「元・道路特定財源」の税金を今でも徴収しながら(これは自動車販売の妨げになる)、その代わりにエコカー減税と13年を超えた車両の増税で販売促進にも加担する。
いわゆる「アメとムチ」だろう。
この犠牲になるのが古いクルマのユーザーだ。
道徳のカケラもない。
そして最も残酷な軽自動車増税については、13年を超えた古い車両に向けた増税分が、新車の減税分の4.5倍に達した。
高齢者のライフラインに重税を課して苦しめ、しっかり税収太りする構図が出来上がっている。
やっていることは、もはや犯罪に近い。

改めていう。
13年を経た車両の増税は即刻廃止して、新たな税金の仕組みを再構築すべきだ。



以上。





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