息子の通う通信制高校に幼なじみのY君が転校してきました。
Y君のお母さんとは、息子達が赤ちゃんだった頃に「もぐもぐ(離乳食)教室」で知り合い、それ以来のお付き合いです。
幼稚園こそ違いましたが、時々親子で遊びに来てくれ、ずっと親しくしていただいています。
Y君も、息子と同じく中学1年生の2学期から学校へ通うのが難しくなりました。
中学2年生のときに、先生方の配慮もあって、息子とY君は二人一緒に鉄道会社の職業体験に一日だけ参加することが出来ました。
Y君は別室登校をするようになりましたが、息子は、ときどきサッカー部か通級教室に顔を出すのがやっとでした。
だんだん息子達は連絡を取ることがなくなりましたが、母親どうしは時々連絡を取り合い、私は何度も彼女に励まされてきました。
Y君は全日制の公立高校に進学し、演劇部に入り、たまに休みながらも頑張って登校していると聞いていました。
けれど、随分無理をしていたのかもしれません。
うつ状態になり、自傷行為があったそうです。
お医者さんには、
「若い人のこういう症状を診断することは難しいけれど、『双極性障害』の可能性がある。」
と、言われたそうです。
Y君自身はまだ全日制で頑張りたい気持ちもあったようですが、親子で何度も話し合って、2年生の6月から息子の通う通信制高校に転校してくることになりました。
「生きていてこそやで。
元気でいてくれることが一番!
5月に上島竜兵さんが自死されたこともあり、母親どうし何度もそういう話をしていました。
転校直前に親子で遊びに来てくれましたが、話が弾む私達とは違って、2階でYouTubeを観ていたY君と息子はあまり会話もなく、お互いに気を遣って疲れているようでした。
校外学習や進路活動などの特別活動に、よく知っているY君がいれば息子も参加しやすいんじゃないか?
Y君がいれば、電車通学も不安じゃなくなるかも?
他愛ない会話をしたり、学校の帰りにどこかに立ち寄ったり・・・。
楽しいと思える時間やお互いの辛さも共有できたらいいなと、私はそんな願いを抱いていました。
けれど、本人達にとって、それは簡単なことではありません。
Y君が、もし、全日制高校をやめると決めたときの息子と同じであれば、心も体も疲弊しきっていたと思います。
そんなときに、息子でなくてもどんな言葉をかければいいか分からないし、息子自身も、
「自分やったら、どんな言葉をかけられても辛いだけで、逆に相手を傷つけるようなことを言って返すかもしれない。」
と、言っていました。
「Yが望めば、昔みたいに何も考えずにゲームとか出来たらいいのに…。」
とも言っていました。
あれから息子とY君は会っていません。
Y君は2年生なので、1年生として通信制高校に転校した息子とは受講する科目が違い、その上、息子はあまり登校していないので、未だに学校で顔を合わせることがないようです。
「(特別活動の)映画を一緒に観に行けたらいいな~。」
と、親どうしでは話をしていましたが、結局、息子は映画を観に行くことはなく、Y君は学校帰りに一人で観に行ったようです。
Y君が転校してきて感じる心強さと切なさ。
息子の人生は息子のもの。
Y君の人生はY君のもの。
親は道を指し示すことしか出来なくて、歩いていくのは子ども達自身です。
その道がどこかで希望へと繋がっていくことを願っています。