広報で市の障害福祉センターで作業療法士さんに相談出来ることを知り、応募してみました。
息子自身が体の動かし方を改善したいという思いがあったようで、私の提案に、
「行きたい!」
と、承諾してくれました。
たった30分という短い時間なので、息子の納得のいく話が聞けるだろうかと心配でしたが、
「作業療法士ってすごいな!」
と、相談の後、息子が言っていました。
作業療法士さんに息子が話をするのを聞いていると、息子の生き辛さが伝わってきました。
「こうやって、こうやるんやって動きを説明されても、どうやって動いたらいいか分からなくて、何でみんながそう聞いただけで出来るのか不思議やった。
周りに聞いても誰も言語化出来んくて、みんな感覚でやってる感じやった。」
「一つの動作が終わると、どっと疲れてしまって、みんなはすぐに次の動きが出来るけど、自分は出来ない。」
「上半身と下半身が連動してない感じで、うまく走れない。」
「サッカーが上手くなるには、どういうトレーニングをしたらいいですか?」
作業療法士さんに「まずは、動きを見せてね」と言われ、息子は、線の上を歩いたり、スキップしたり、後ろ向きに走ったりしていました。
息子は小学生の頃、スキップも後ろ向きに走ることも苦手だったので、
「出来てるやん!」
と、思わず私は言ってしまいました。
きっと、サッカーを続けてきたからだと思います。
鉄棒も、体操も、ボール運動も、恐らくスポーツ全般が苦手な息子が、リフティングなら何十回、何百回と続けることが出来るのです。
その後、椅子に座って、
「右目を指さして~。」
「あご。」
「左耳。」
などと、作業療法士さんの声かけに従って、顔のパーツを指さしていました。
それから、息子が目を瞑ったまま、作業療法士さんが息子の腕を動かして、ある状態で止め、一旦リセットしてから息子が自分で腕をその状態に持っていく、ということを繰り返していました。
その後、作業療法士さんは、こんな風に説明をしてくれました。
「脳と体の動きは連携しているものなのですが、それがちょっと時間がかかり、ちょっとだけずれている感じです。
中高生ぐらいになるとすっと出来る動きなのですが、お母さんも見ていて分かったと思いますが、迷いながら動いていて、ちょっとだけずれていました。
スキップとかバックステップも、僕とかスポーツをしていない人間から見ると『出来てるやん!』って思えるんですけど、サッカーをする上では違和感を感じるんだと思います。」
「それと、『利き手の優位性』というのがあって、一般的に指さすときは利き手を使うのですが、〇〇君は、右側を指すときは右手、左側を指すときは左手を使っていました。
利き手には利き手の役割があり、利き手じゃない手にはバランスをとるとか利き手の補佐をするという重要な役割があります。
左利きっていうのもあるのかもしれませんが、脳が利き手と利き手じゃない方の手を迷って、役割の指令がうまく出来ていないのかもしれません。」
「お家で出来るトレーニングとしては、まずこの動きをしようと決めたら、お手本となる動きをスマホで撮っておいて、その後、ちょっと他の動きをした後でもう一度その動きをして、スマホで撮影し、お手本どおり出来ているかチェックする。
動きが違っていたら微調整していく、ということを何度も繰り返していくと、脳と動作の連携がスムーズになっていくと思います。」
「それと、利き手を使う動きをしてください。」
「けん玉とかしたらいいですか?」
と、息子が聞くと、
「けん玉は中心に向かう動きなのでちょっと違うかな。
大きく動かす方がいいんです。
よく繰ったトランプを『7並べ』みたいに並べていくとか、『神経衰弱』でもいいです。
左手だけを使うように意識してやってみてください。」
「こうしたトレーニングによって、サッカーが上手くなるかどうかは保証できませんが、脳が疲れにくくなって、その分、スポーツに集中出来るようになると思います。」
短い時間でしたが、作業療法士さんが息子に寄り添って、とても分かりやすく教えてくださったので、応募して良かったと思いました。
家に帰ってからトランプを探しましたが、新幹線型(繰りにくい!)とか大型トランプ(場所とり過ぎ!)しかなくて、普通のトランプを購入しました。
トレーニング、頑張ってね!