やっぱり幸せ♪

日常の色んなこと、特に発達障害を持つ息子との素晴らしき日々を綴っていきたいと思います。

「青い鳥」

2017年02月20日 | 読書・読み聞かせ

重松清さんの「青い鳥」を読みました。

 

中学の非常勤講師、村内先生は、吃音で言葉がつっかえ、うまく話すことが出来ません。

そんな先生が国語の臨時教員として赴任してきたことに、生徒達は驚き呆れてしまいます。

村内先生が、言葉につっかえながら一生懸命伝える「たいせつなこと」とは・・・。

 

中学生という揺れる年代。

場面緘黙症の少女、教師を衝動的に刺してしまった少年、いじめの加害者になってしまった生徒達、父親の自殺に苦しむ少年、等、合計7編の、悩んでもがいて苦しんでいる中学生に「たいせつなこと」を伝えるお話と、最後の1編は、教え子である生徒が大人になって恩師に再会するお話でした。

 

読んでいて切ないくらい苦しい思いをしている子ども達。

村内先生は、吃音ゆえ、思いを伝えられない苦しさを誰よりも分かっています。

 

話したくなくて口を閉ざしているのではない。

声を出したいのに、口が動かない。口が動いても息が出ない。息を出しても声にならない。

吃音でなくても、どう話せばいいのか、どうすればいいのか分からなくて、孤独のままただ思いを殺して生きている子ども達がいます。

 

村内先生は、そんな子ども達の前に臨時教員として現れて、彼らに寄り添い、本当の気持ちを理解しようとし、「そばにいること」「ひとりぼっちじゃないこと」を伝えようとします。

「先生は、ひとりぼっちの。子の。そばにいる、もう1人の、ひとりぼっちになりたいんだ。だから、先生は、先生をやってるんだ」

吃音で教師には向いていないと思われる村内先生が、教師を続ける理由です。

 

「たいせつなことと、正しいことって、違うんですか?」

生徒がそう問いかける場面があります。

 

村内先生は、「よく分からないけど・・・」とした上で、

「たいせつじゃないけど、正しいこと、あるよな。

しょうがなくても正しいこと、やっぱりあるし、ほんとうは間違っているのに正しいことも、あるよな。

正しくなくてもたいせつなことだって、あるんだ。

でも、たいせつじゃない、たいせつなことは、絶対にないんだ。」

恐らく何度もつっかえながらだと思いますが、そう答えました。

 

村内先生が子ども達に伝えてきた「たいせつなこと」

その言葉の奥に脈打っているのは、

「誰もが、そして、あなた自身が大切な存在なんだよ」ということだと思います。

 

そのことを伝えて、また次の学校へと去っていく、村内先生こそが「青い鳥」だったのでした。