やっぱり幸せ♪

日常の色んなこと、特に発達障害を持つ息子との素晴らしき日々を綴っていきたいと思います。

父のそれから・・・8

2015年06月10日 | 高次脳機能障害の父と・・・

父が自宅で生活するようになって、一番困ったことは、お酒を飲むようになったことです。

 

父が飲んでいた脳の薬は、お酒を飲むと効果が出すぎるので、原則的にお酒は飲まないよう注意書きがされています。

でも、父は大好きなお酒を飲みたがり、医者の許可を得て、1日コップ1杯だけ飲むようになりました。

高齢者住宅では、夕方に、コップに入れたお酒を部屋に持ってきてくださり、父は、お風呂上がりの楽しみにしていました。

 

自宅に帰ってからも、私が、曜日を記したコップに父のお酒を準備をしていました。

それが、高齢者住宅との契約が切れた4月頃から、父は、自分でお酒を買いに行き、約束のコップ1杯以上のお酒を飲むようになってしまいました。

 

決められた以上のお酒を飲むと、父はわけが解らなくなってしまいます。

物に当たったのか、父が倒れたのか分かりませんが、大きな音がして、弟から連絡が来ます。

私が駆けつけると、グラスが割れ、ぐちゃぐちゃになった部屋の中に、父が失禁したまま倒れています。

そればかりか、ストーマ(人工肛門)を外そうとしたのか、汚れた手で部屋のあちこちを触っていて、部屋中がうんちだらけになっています。

 

父は、お風呂上がりにお酒を飲むので、そんな時は、夜中に実家に駆けつけ、父を着替えさせ寝かせた後、弟と二人で部屋を片付け、私は、夜明け前、息子が目を覚ます前にやっと自宅に戻ることが出来るのでした。

 

お酒を飲みすぎた次の日、父は、一日中調子が悪そうにボーっとしています。

「コップ1杯以上、お酒を飲んだやろ!」と言っても、父は、「そんなはずない」と首を横に振ります。

「お父さんが買ってきたお酒やろ!」と、証拠のお酒のパックを見せると、父はきょとんとしています。



どうやら、父には記憶がないようです。

それでも、父は、買い物に行っては衝動的にお酒を買ってしまい、私が気付かなければ、それを飲んで、また倒れるの繰り返しになるので、私は、毎日、実家を家探しし、お酒を見つけては処分していました。

そこまでしても、父は、いつの間にかお酒を買ってきて飲んでしまうのです。

 

「もう、お酒自体をやめよう」と、何度も説得しました。

でも、父は、「お酒を飲まんな、眠られへんのや」と、断固として拒否します。

過去も未来も繋がらない「今」しかない父の、不安でやってられない気持ちが、お酒を欲するのでしょうか。

 

「でも、お父さんの体が心配やから、絶対に、お酒はコップ1杯だけ! これ以上、勝手にお酒買って飲むんやったら、家での生活は無理やで。ケアマネージャーさんに、施設で生活するよう、探してもらうよ」

 

私が父に言い聞かせたことは、父の脳に、いや、父の心に残っているのでしょうか。

お酒をやめられないのは、高次脳機能障害のせい?



父は、無茶苦茶お酒を飲むわけではありません。

ただ、ほんの少し飲む量が多かっただけでも、脳が異変を起こしてしまうのです。

そういう脳になってしまったことを理解できない病識の欠如。約束を覚えられない記憶障害。

それとも、衝動の抑制がきかないせい? 

 

冷蔵庫や玄関のドアに張り紙をしたり、父の顔を見るたびに、「お父さんの体のためやで! お酒はコップ1杯まで!」と、念を押したりするのですが、それでもなお、父は、お酒を買って飲んでしまうのです。

 

息子が書いてくれた張り紙

 

私は、ケアマネージャーさんに、父が入れる施設を紹介してくださるようお願いしました。