こんな時によくも出来たものだと感心する。太陽光発電協会が「PV OUTLOOK 2050」の改訂版を公表した。サブタイトルは、感染症の危機を乗り越え、新しい社会へ「太陽光発電の主力電源化への道筋」である。こんな時とういのは従来のように部会などで専門家を集めて喧々諤々審議するのではなくTV会議などを通じてリモートワークで纏め上げたことである。担当された方々の熱意には頭が下がる。直接自社に利益を齎すものでもなく業界全般のための作業だから場合によってはお前らは何処から給料を貰っているのだと上司に叱られることもあっただろう。
改定内容で新しいものは、従来ビジョンでは2050年の稼働設備容量が200GWAC(250GWDC)であったがこれを標準ケースとし、今回は最大ケースとして300GWAC(420GWDC)としている。これは「主力電源化」という御用学者の美辞麗句に騙されていたものを業界が具体的に定量的に示したともいえる。もう一つは従来FITの賦課金の高騰が国民負担になっていると一方的に批判されてきた事に対し、定量的分析で買取費用を便益が上回ることを示していることである。協会は、長期的に考えれば国民負担を何れ便益が上回ると再三主張していたが今回さらに定量的に詳細に時期までシミュレーションして示した意義は大きい。2012年以降の全設備を対象としても2035年から費用≦便益となり2056年からは累積でも便益が費用を上回る。散々太陽光発電は国民負担を増大させるとネガティブキャンペーンをやってきた一部マスコミ諸氏にはこのビジョンを読んで反論願いたいものである。太陽光発電についてはシンクタンクなど多くの機関が将来見通しや予測を公表しているが、産業に立脚したビジョンを示しているのは太陽光発電協会だけ(EUと米国にもあったがどうしているか)であり独自性と存在感を存分に発揮しているところは面目躍如と言ったところである。
ちょっと違和感があったのは2050年という執筆の方々の多くは亡くなっているか存命でも書いたことすら忘れているであろう長期目標の副題に感染症の危機を乗り越えという旬の瞬のタイトルがついていることであった。それでも深読みすれば働き方改革、いや革命と言うべきリモートワークとか外出自粛で大幅に生活様式に変化が起こっている中、長期目標も同じように従来の考え方を変えなければ実現しないと言いたかったのかと思われる。「国だけにまかせるのではなく、⼀⼈⼀⼈の活動や、ビジネスモデ ルを変えていくこと」という一文にそれが凝縮している。コロナ感染拡大がそれを教えてくれたのだろう。改めて、在宅にありながらビジョンを纏められた方々に敬意を表します。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます