太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

釣り場の親子

2016-11-27 10:09:41 | 日記

先日晴れた暖かい日に釣りに出掛けた。何時もの河口に二人連れの先客が居る。見ると岸の石垣の間でハゼを釣っている(地元では穴釣りと呼んでいる)。こちらは投げ釣りなので傍に行って「ここで沖に投げて良いですか」と聞くと「勿論ですよ」と明るい返事が返ってくる。置き竿をして暫く彼らの釣りを見ていると大型のハゼを次々と釣り上げる。「上手ですねえ」と声を掛けると見ますかと言うのでクーラーBOXを見せて貰う。裕に20㎝を超える大型のハゼ(この河口は大型ハゼで知る人ぞ知る)が30尾近く泳いでいる。ハゼの修正も良く知っており針にハリスを自分で結んでいる。「器用なもんですね」と言うと「いやもう48になって見え難くなっているんですよ」と。通りが掛る地元の釣り人が彼に次々と声を掛ける。地元の言葉でしかも年寄りが多くこちらには殆ど分からない。それでも彼は丁寧に敬語を使いながら答える。それでも話しぶりから季節と場所を変えながら相当色んな釣りをやっている人のようで物凄く釣りに詳しい。「地元ですか」と聞くと「いや少し離れているんだけど、今日は高校2年の息子を連れてきました」と言う。兄弟のような親子である。息子は180㎝を超える大柄で肩幅もガッシリしている。小さな竿でモクモクと釣っている。父親の方も色は浅黒く、真一文字の口元と気の強そうなアゴ、ハッキリした眼鼻立ちは如何にも正義感に溢れた、それでも若い頃はやんちゃだったろうなと思わせる顔立ちである。「お父さん、釣り上手だねえ」と息子に声を掛けると、すかさず父親の方が「いや半分くらいは息子が釣ったんですよ」とフォローする。息子は「そんなには釣っていないんですけど」と恥ずかしそうに竿先を眺めたまま答える。暫く横目で見ていると時々短い会話を交わしている。彼らが先に帰る時、父親は「お先に失礼します」と挨拶し、釣り道具を一杯抱えた息子が続き、私の方をちらっと見ながら「頑張って下さい」と声を掛けてきた。彼らが去った後には勿論ゴミ一つ落ちていなかった。

二人の後姿を見送りながら、きっとあの父親は高校時分は相当やんちゃで先生や親や周りの人に相当迷惑を掛けたであろう。高校を出てから建設関係の仕事に就いたからあんなに浅黒い顔なんだろう。しかし、社会人になってからは人が変わったように真面目に働き、周りからも信頼され、きっと近所の年寄りにも好かれているに違いない。息子の方も遊びたい盛りに親父に連れられて地味なハゼ釣りに素直にやってきていることから、厳しいが頼りになる父親を尊敬しているの違いない。父親の方も時分が周りに迷惑を掛けて来たようなことは息子にはやらせてはいかんという責任感があるのだろう。優秀な大学の学生がとんでもない事件を起こすこの頃、親子のピークは息子が入学した時だったのだろう。どちらが見習うべき親子か、長く続く幸せか、それは偏差値で手に入れる事ができないものなのだと勝手に想像してしまう。残念ながらこの事に気づくのは大概不幸になってからである。おっと竿先が動く。暴れまくる魚を何とか釣り上げたら44㎝のフッコ(すずきの子ども)である。私の小さな幸福と満足感が一瞬だが過ぎってくれた。