太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

原発輸出に想う

2016-11-06 08:51:36 | 社会観察

日印原子力協定が締結される。原発の資機材や技術を輸出し、日本の成長戦略の柱となる、とあるが?当然政府が協定を結ぶとなると、それを実践する(したい)民間事業者が背後に居る訳だが、果たして何処までを民間事業者が担保する(できる)のだろう。問題は事故が起こった場合の補償である。太陽光発電のような相当単純なシステムでも事故や故障の場合の責任の所在は相当揉める。瑕疵の判定は容易ではない。多分違うのは太陽光発電は維持管理が容易過ぎてビジネスにはならないが、原発は相当長期間メンテナンスがビジネスになることである。ここが魅力である。多分日本で廃炉の技術が確立されれば何れこれも大きなビジネスに成り得る。

心配するのは事故の補償と機器の保証の関係である。もし、民間事業者が耐えきれないような要求を受けた場合、民間のビジネスだからと切り捨てることができるのだろうか。政府保証の輸出保険はつけられるのだろうが一体どこまでカバーできるか。ビジネスの契約書は想像を絶する難しさがある。民間が勝手に政府の裏書きを書き込むことはできないだろうし、相手は「日本」の責任を突いてくることは間違いない。国内において福島事故の補償や廃炉費用捻出に困難を極めているところに輸出分まで賄うことは不可能だろう。輸出に関して補償条項と保証条項に国の関与があるとしたら明らかにすることが重要である。民間の責任においてビジネスとして輸出し、成長戦略に寄与するのであれば協定下では止めることは出来ないだろう。しかし、もし国の責任が盛られるならそれは国民(税金)の責任として負わなければならないことは確かである。ああ、どうして新幹線が売れないのだろう。誇れる技術だと思うのだが。

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藤木が砥粒事業部長に送った手紙は、

「御社の社員が度々Y商店の社長に娘さんと会っている。これが若い人同士の付き合いなら他人がとやかく言う筋合いではないが、この社員は外資系のライバル会社から引き抜きの噂があり、その手土産にY商店を新規顧客とする目論見である。そのためにこの娘を通じてY商店の社長に近づく計画であるが、既にY商店の社長は二人の仲を知っており必ずしもその関係を由としてはいない。それは男の方に問題がありこれ以上進んで娘が結婚などと言い出すことを心配している。従来通りY商店と良好な関係を続けたいなら何れ会社を去ろうとしている社員を厳しく罰することも必要ではないか。心配しているOB」と書いた。砥粒事業部長はOBが誰であるかというより娘さんに近づいている社員が一体誰なのかを探す方が先決で事実を確かめたかった。最初に思いつくのは企画の吉沢である。来春の新作発表会の件で三原ひとみに会ったことはアクセサリー事業部の課長からは聞いていた。しかし、砥粒事業部の販売店会と合同で主催しようという件は一旦保留になった筈である。度々会う事情などあるのだろうか、吉沢は来年秋に結婚する相手も居ることは狭い社内では知れ渡っている。男にある問題とはこれだろか。兎に角それとなく吉沢と話してみる必要があった。藤木の思惑は砥粒工業と販売店の関係を崩すことにあった。そうなればシェアを奪えるチャンスもある。関東販売店会の会長でもあるY商店の三原社長を攻めることが効果的と思っていた。そのためにはこれまで辣腕を奮ってきた古田常務との関係を悪くするのが一番だ。偶然50%の供給の話があり、吉沢が三原ひとみと紅葉見物に行くと言う話を斎藤から聞いていた。斎藤には厚遇を条件に移籍の話を持ち掛けていた。会社を移るまでは社内の様子を何でも良いから細かく教えて欲しいと伝えていた。藤木が斎藤に期待していたのは仕事ではなく情報屋としての役割である。斎藤は展示会の関係で吉沢が三原社長に会うことや、偶然電話の声を耳にした吉沢と三原ひとみが紅葉見物に行くことまで藤木に伝えていた。吉沢は古田常務が目を掛け可愛がっている男であることも藤木にとっては好都合である。50%アップの供給提案と吉沢が三原の娘と休日に出掛けるという話は三原社長への密告の筋書きを作り上げるネタとして充分であった。