日々の覚書

MFCオーナーのブログ

Somewhere In The Night

2008年06月16日 23時41分07秒 | 与太話

これは出張中の夜の出来事である。

その夜、僕は某地方都市の某全国ビジネスホテルチェーンの一室に泊まっていた。それが起きた時、時刻は23時を少し過ぎた頃だったろうか。僕は既ににシャワーを浴び、寝るばかりの態勢になっていた。普段は、0時前に寝るなんて滅多にないのだが、その日は朝早くから仕事だったので、すっかり疲れていたのだ。そして、さぁ、そろそろ照明を消そうか、という時...

いきなり非常ベルが鳴った。いや、ベルというのは正確ではない。“ジリリリリリー”という、耳をつんざくような音ではなく、“フアフアフア”という、一種気の抜けたような音ではあったが、非常放送には違いない。その“フアフアフア”という緊張感のない音に混じって、「ただ今、13階にて火災が発生しました。落ち着いて避難して下さい」とアナウンスが入る。なんと! 火事だ!

一瞬、火元は自分では?という疑いが脳裏をかすめ、灰皿に目をやると、煙なぞは出ていない。ホッとしたのも束の間、僕はドアへ走り、恐る恐る廊下を覗いてみた。ドアの外は白い煙が充満し、パニックになった宿泊客が走り回って阿鼻叫喚、という光景をつい想像してしまったのだが、廊下には誰もおらず、火も煙もない。あれ、さっきの放送は何だったんだ? と、思った時、ふとそこに人が一人立っているのに気づいた。その人は、ドアから顔を出した僕を見つけると、近寄ってきてこう言った。

「あの~、フロントに電話して、部屋の鍵を開けて貰うように言ってくれませんか?」

は? なんのこっちゃ。よく見れば、ただのおっさんである。ブリーフ一丁で廊下に立っているのを除けば。何してんだこの人、という僕の心の声が聞こえたかのように、ブリーフ一丁のおっさんは続けてこう言った。

「廊下の非常電話でフロントにかけようとしたら、非常ベルが鳴りだしたんです」

なんだ、犯人はあんたか。よくよく見ると、このおっさん、相当酔っているらしい。何故か分からないが、プリーフ一丁で鍵を持たずに廊下に出て閉め出されてしまった、という事のようだ。この階には、自動販売機も何もないんだけど。で、鍵を開けて貰おうにも、ブリーフ一丁でフロントに行くのは憚られたので(酔っ払っていても、こういう理性は働くものなのだ)、非常電話を使って、フロントに連絡を取ろうとしたらしいのだが、これは非常に無理がある。傍迷惑なおっさんだな、しかし。日曜で宿泊客少ないから、大騒ぎにならずに済んだからいいようなものの、平日だったら大パニックである。そんな呑気な顔で、廊下に突っ立ってはいられまいて。

仕方ないので、僕の部屋からフロントに連絡し、鍵を持ってきて貰った。このホテルは従業員は女性しかいないので有名で、フロントで電話に出たのも、鍵を持ってきてくれたのも、やはり女性だった。彼女は、鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしつつも、おっさんの部屋を開けてやると、僕に「一体、何が起こったのですか?」と聞くので、「よく分からないけど、部屋を閉め出されたんで、非常電話でフロントに連絡しようとして、非常ベル鳴らしてしまったようですよ」と正直に答えた。彼女は理解出来ていないようだったが、「ご迷惑おかけしました」と言って、フロントへ下りていった。

結局それだけである。それにしても、人騒がせなおっさんである。つい先程までの眠気は、すっかり冷めてしまった。あの芋洗坂係長みたいな顔(体型も)、当分忘れられそうもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、我が事のように書いてるが、実は僕ではなく、会社の後輩の体験談である(爆) 使わせて頂きました。○川くん、ありがとうm(_ _)m 見てないと思うけど。

ま、旅先では、何が起こるか分からないので、気をつけましょうね、というお話でした(爆)

コメント (12)
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