これは出張中の夜の出来事である。
その夜、僕は某地方都市の某全国ビジネスホテルチェーンの一室に泊まっていた。それが起きた時、時刻は23時を少し過ぎた頃だったろうか。僕は既ににシャワーを浴び、寝るばかりの態勢になっていた。普段は、0時前に寝るなんて滅多にないのだが、その日は朝早くから仕事だったので、すっかり疲れていたのだ。そして、さぁ、そろそろ照明を消そうか、という時...
いきなり非常ベルが鳴った。いや、ベルというのは正確ではない。“ジリリリリリー”という、耳をつんざくような音ではなく、“フアフアフア”という、一種気の抜けたような音ではあったが、非常放送には違いない。その“フアフアフア”という緊張感のない音に混じって、「ただ今、13階にて火災が発生しました。落ち着いて避難して下さい」とアナウンスが入る。なんと! 火事だ!
一瞬、火元は自分では?という疑いが脳裏をかすめ、灰皿に目をやると、煙なぞは出ていない。ホッとしたのも束の間、僕はドアへ走り、恐る恐る廊下を覗いてみた。ドアの外は白い煙が充満し、パニックになった宿泊客が走り回って阿鼻叫喚、という光景をつい想像してしまったのだが、廊下には誰もおらず、火も煙もない。あれ、さっきの放送は何だったんだ? と、思った時、ふとそこに人が一人立っているのに気づいた。その人は、ドアから顔を出した僕を見つけると、近寄ってきてこう言った。
「あの~、フロントに電話して、部屋の鍵を開けて貰うように言ってくれませんか?」
は? なんのこっちゃ。よく見れば、ただのおっさんである。ブリーフ一丁で廊下に立っているのを除けば。何してんだこの人、という僕の心の声が聞こえたかのように、ブリーフ一丁のおっさんは続けてこう言った。
「廊下の非常電話でフロントにかけようとしたら、非常ベルが鳴りだしたんです」
なんだ、犯人はあんたか。よくよく見ると、このおっさん、相当酔っているらしい。何故か分からないが、プリーフ一丁で鍵を持たずに廊下に出て閉め出されてしまった、という事のようだ。この階には、自動販売機も何もないんだけど。で、鍵を開けて貰おうにも、ブリーフ一丁でフロントに行くのは憚られたので(酔っ払っていても、こういう理性は働くものなのだ)、非常電話を使って、フロントに連絡を取ろうとしたらしいのだが、これは非常に無理がある。傍迷惑なおっさんだな、しかし。日曜で宿泊客少ないから、大騒ぎにならずに済んだからいいようなものの、平日だったら大パニックである。そんな呑気な顔で、廊下に突っ立ってはいられまいて。
仕方ないので、僕の部屋からフロントに連絡し、鍵を持ってきて貰った。このホテルは従業員は女性しかいないので有名で、フロントで電話に出たのも、鍵を持ってきてくれたのも、やはり女性だった。彼女は、鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしつつも、おっさんの部屋を開けてやると、僕に「一体、何が起こったのですか?」と聞くので、「よく分からないけど、部屋を閉め出されたんで、非常電話でフロントに連絡しようとして、非常ベル鳴らしてしまったようですよ」と正直に答えた。彼女は理解出来ていないようだったが、「ご迷惑おかけしました」と言って、フロントへ下りていった。
結局それだけである。それにしても、人騒がせなおっさんである。つい先程までの眠気は、すっかり冷めてしまった。あの芋洗坂係長みたいな顔(体型も)、当分忘れられそうもない。
と、我が事のように書いてるが、実は僕ではなく、会社の後輩の体験談である(爆) 使わせて頂きました。○川くん、ありがとうm(_ _)m 見てないと思うけど。
ま、旅先では、何が起こるか分からないので、気をつけましょうね、というお話でした(爆)
外に立っていたのが、この世のものとは思えない美女で・・・
とロマンス話か怪談話に続くのかと期待して読みました。
小学校の頃、よく、非常ボタンが鳴ったのを思い出しました。
押した子も、悪気があって押したと言うより、ふざけてた当たって押さわった、と言うことが多かったのですが、人騒がせです。
一応、何が起こったか把握して館内放送くらいするやろ!?ってここで云ってもしょうがないが、、、(笑)さすが、手抜きのアパホテルですな(爆)。
>災難でしたね
確かに。後輩は災難でした(笑)
>ロマンス話か怪談話に続くのかと期待して読みました
いや、こちらもそういう展開を期待したんですが(笑)
>悪気があって押したと言うより、ふざけてた当たって押さわった、と言うことが多かったのですが
小学生の頃、当時住んでいたアパートにやってきた友人が、何気に非常ベルを押して、大騒ぎになった事があります。いじるとどうなってしまうのか想像できないものに触れる、という感覚が、未だに理解出来ません。
♪陰陽師さま
>非常ベルが鳴ってるのにホテルの従業員のその反応はナンなんだ
このホテルの非常ベルは、当該以上階にしか流れないらしいです。12階にいた別の後輩には、ベルは聞こえなかったとか。火災の程度によるのでしょうか?
>さすが、手抜きのアパホテルですな
いえ、東○イ○でした(笑) 手抜きでは同じですが^^;
あ、そうでした、スタッフが女性だけって
○横○ンでした、失礼しました、アパホテルさま(爆)。
と思った所で陰陽師さまが、書かれておられましたね。失礼しました。^^;
ホテル・ニュー・ジャパンから学んでないんですね。
>失礼しました、アパホテルさま
ここ泊まったことないんですよね^^; 結構いい値段しますけど、良いホテルなんですか?
♪おみつさん
>陰陽師さまが、書かれておられましたね
皆さん、考えることは同じなんですね^^
>ホテル・ニュー・ジャパンから学んでないんですね
もしかして、ニュージャパンなんて、忘却の彼方だったりして...^^; 各部屋の煙探知機などは完備されてるみたいですけど。フロントが何が起こったのか把握してない、というのは問題ですね。って、伝聞なんですけど(笑)
今回のお話みたいな事も良くあって色々悪戯がありました(苦笑)
その一
1.酔い潰れた仲間♂を本人の部屋に連れて行ってあげる
2.パンツ一つにして浴衣の紐で手をベッドに縛り付ける
3.モーニングコールを朝の4時頃にセットする
4.武士の情けでドアは開いたままにしておく
5.「ぢゃオヤスミ」と声をかける
6.オプションで「優良(有料)画像」掛けっぱなしも良し
その二
1.明らかに××な販売員♀と社員♂の現在(具体的に)居る部屋番号確認(大概♂部屋)
2.「真っ最中」を見計らいルーム直コールで、フロントのふりして呼び出す
3.「只今フロントに会社の○○様(上司の名前)がお見えで、至急の書類(商品)をお持ちされましたので直接お部屋へ届けて頂きます」
4.全員で「廊下で走って部屋に戻る♀(♂)」をドアの隙間越しに眺める(浴衣姿はおっただけ)
その三
朝早い人の部屋に、自分の「どんとでぃすたぁぶ」の札をかけてあげる
その四
女性の部屋のドアノブに(以下、自粛…)
まぁ色々やったよなぁ…サラリーマン時代…(^^;)
>今回のお話みたいな事も良くあって色々悪戯がありました
なんか、これ見てると、高校の修学旅行を思い出すんですけど^^;
>まぁ色々やったよなぁ…サラリーマン時代…(^^;)
どういうサラリーマンだったのでしょうか? 一部上場企業だというのに...^^;
ご存知の通りです…でも決して勤務中に会社のPCで「しりとり」をする様な人間ではありません(爆)
>勤務中に会社のPCで「しりとり」をする様な人間ではありません
株のインサイダー取引でもしてる方が、却って男らしいかも(なんのこっちゃ)