美容形成外科の売り

美容形成の番組が放送されていました。顔や体型を気にしている方が悩みを打ち明けて、司会者の理解を得たら、医療スタッフが治療計画を練ります。その後、別人になって再登場して、聴衆を驚かすパターンです。参加者に関しては、年齢と未婚・既婚以外の情報は公開されません。恐らく、全て自費診療ですが、手術総額の説明はありません。治療費は本人が負担していないのでしょう。他に髪型や化粧の費用も掛かるでしょう。

今回の放送で、ある事に気がつきました。ある叢生を伴う上顎前突の方の歯並びを治療する際です。恐らく便宜抜歯をして、矯正治療をして、上下顎同時移動手術を実施している症例に関してです。上顎の幅径を拡大して歯を動かしているにも係わらず、何故か矯正治療という言葉を使って説明しません。ワイヤーを使って咬み合わせを直すとしかコメントしないのです。当然のことながら、ブラケットを装着している画像も放送しません。

治療期間は著しく長期間で2年9ヶ月も掛かったと説明し、さも特殊で例外的な長期間と言います。顎変形症の患者さんの外科矯正治療であれば、この程度の治療期間は普通ですし、矯正治療費も外科手術費用も保険適用になります。

美容形成外科では確かに大半の症例では矯正治療をせずに、外科手術と補綴治療だけで対応しているのでしょう。さらに、目も鼻なども手術します。短期間に手術で変貌することこそ、美容形成外科の売りです。矯正治療を併用することも、長期間を要することも、例外的な方針になるのでしょう。