おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
昨日(3月22日)、4月中旬発売予定の『感情を整える アドラーの教え』(仮題、大和書房)のゲラと「はじめに」の原稿等を同社編集部に高橋 千春さんにお渡ししました。
高橋さんは、会社に戻ってすぐお電話をくださいました。
2014年9月発刊の『人間関係が楽になる アドラーの教え』(1,400円+税)が3,000部重版になった旨のご連絡でした。
これで8刷、2万8千部に達します。
今月も重版情報が相次ぎます。
さて、「アドラー心理学豆知識」のシリーズの5回目として「ライフスタイル形成の影響因と決定因」のことに触れます。
アドラー心理学ベーシック・コース では、ライフスタイル形成に影響を与える要因として遺伝や環境のことを無視できないことを伝えています。
しかし、ライフスタイル形成に決定的な影響を与える要因として本人の自己決定を取り上げ、遺伝や環境などの影響因を建設的に生かすか、非建設的か破壊的に生かすかは、本人が決断している、と説いています。
そのことについて『現代アドラー心理学 上』(G・J・マナスター& R・J・コルシーニ、春秋社、絶版)の第3章「パーソナリティの力動」の「遺伝、環境、意欲」の項で納得できる書き方をしてくれています。
この本では、「遺伝も環境も、パーソナリティの上に何らかの影響を与える」と認め、アドラー派が「所有の心理学よりも使用の心理学を提唱するのである」と書いています。
「所有の心理学よりも使用の心理学」という部分は、アドラーの残した有名な言葉である
「重要なことは人が何を持って生まれたかではなく、与えられたものをどう使いこなすかである」
で語られることが多いのですが、このことは元々「器官劣等性」について語ったものです。
ここで、アドラー派の立場から「使用の心理学」として大事なことは、遺伝も環境よりも本人が持つ意欲や意図/意思を重視していることです。
『現代アドラー心理学 上』には、こんなことが書かれています。
「大人たちは子どもに一定程度影響を与えることができるだけである。子どもは自分自身の心 ー 我々が意欲(conation)と称するもの ー を持っているのであるから、その子は、遺伝と環境による諸限界の枠内で、自分の人生についてどうするかを自分で決められるのである」
このことは、子どもの自己決定性をより重視ししていることに他ならず、J.B.ワトソンの「通常の子どもであれば、我々はその子を我々の欲するとおりのものにすることができる」という行動主義の立場に反論するものです。
ここで、アドラー心理学によるライフスタイルの形成に関するまとめをします。
1.アドラー心理学では、ライフスタイルの形成に遺伝や環境などが影響していることを認める(影響因)。
2.しかし、ライフスタイルの形成により決定的な作用をもたらすのは、自分の人生についてどうするかを自分で決める「本人の決断(自己決定)」である(決定因)。
3.遺伝や環境などの影響因を建設的に生かすか、非建設的か破壊的に生かすかは、本人が決断している。
<お目休めコーナー>3月の花(22)

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