新年早々、この1~2月にシーカヤックでスリランカを
ぐるっと周る海旅の準備に明けくれています。
写真は五分割のシーカヤックです。このカヤックをバラして飛行機で運び、
現地でカヤックの荷室にテントその他野営道具一式積み、
北海道の五分の四の面積、外周1200キロの海岸線を旅します。
スリランカの面白いのはまず、
動植物たちの生命の息吹が濃密なところですね。
野生のクジャクやイグアナ、リス、ナマケモノなど、普通は動物園でしか見ないような鳥獣がそこらの村の中でほっつき歩いていたりします。さらに動物保護区に行くとヒョウやゾウ、クマ、バッファローなどが闊歩しています。またヨーロッパ、東アジア両方向からやってくる渡り鳥の越冬・営巣地であり、あちこちで鳥の編隊が大空を彩っているのが目につきます。
それらを支えるのが水辺の豊かさで、島内には数千個の湖が点在し、海岸線には複雑なラグーンが内陸まで入り込んでいる、まさに水の国です。 水に育まれた植生も豊かで、何千種類もの植物が、アーユルヴェーダの薬草として利用されています。
海は、クジラ、イルカ、ジュゴンなど海洋生物のホットスポットとして知られています。
で、この国の、人間と動植物との共生のバランス感覚がぼくは好きというか、直感的にめちゃピンとくるものがあるんですね。「生命」という意味において、人間と動植物との分け隔て、壁、ボーダーが限りなく薄い、というかグラデーションでつながっている感覚。スリランカは敬虔な仏教徒が大半を占める国でもあるんですが、「生きとし生けるもの、生命を尊ぶ」というブッダの教えの最も核心的な部分がここには今でも生きているなと、昨年訪問して思ったんですね。
この21世紀、そしてポスト3.11時代の現在において、最も置き去りにされているけれど最も大切な価値観とは結局人間のみならず地球環境全体の「生命を尊ぶ」ってことですから、そのエッセンスに触れてみてハッとした、ビビビンと来たというわけです。リグ・ヴェーダとか、東洋の自然観の最も古いところに繋がりつつ、テクノロジーとも共存しうる最も新しい未来を感じさせる空気感、触発、ヒントみたいなものをスリランカで感じました。で、ならば生命や自然の鼓動に最も近い乗り物「シーカヤック」で旅しようと思うに至ったわけです。というか、シーカヤックで海旅することって、自分も新種の海洋生物の一員になるみたいなものだから。
溶け込むんだよな。
自分にとっても、またアイランドストリームの今後にとっても、シーカヤックやアウトドアの可能性を探求する意味でも、いい転機になる旅にしたいと思う。いずれスリランカにエコツーリズムの店を出したいし、また紀行をまとめた本を刊行したいと思う。
シーカヤック海旅とは、スポーツでも探検でも制覇的冒険でもなく、「本物の生命の鼓動」とダンスするアートなのである。