To be continued.

                   
アイリスの気ままに紡ぐダイアリー

鎖 /乃南アサ著(上・下) : 突入までが、、もどかしかった。

2005-11-22 23:58:58 | 読書
マクドナルドで読了しました。涙をコソッと拭きながらね。
家で読むよりも外の方が集中できて良いのですが、こういう時は困りものです。

最初に事件性があるのかも分からないエピソードが提示されます。
どこかで繋がるのは間違いないところですが、唐突な感じがして戸惑いました。
でも、それはそれとして前へ読み進まないと・・・

次いで、凄惨な殺人事件が発生。
「武蔵村山市における占い師一家皆殺し事件」と命名され、機動捜査隊の音道貴子巡査長も特別捜査員として派遣されます。

貴子の相方は星野警部補、警視庁捜査一課所属で、年齢は貴子より下でも階級は上。
貴子の彼に対する第一印象は・・・「悪くない」
だが、この星野って野郎(失礼!)は男の風上にも置けない酷い奴で、
コイツのせいで貴子は最悪の状況に陥ります。
「さっさと刑事を辞めろ!この税金泥棒!!」が人物評ですかね。

凶器も無い、目撃者もいない、動機さえも分からない事件でしたが、
捜査が少しづつ進み出して、貴子と星野は聞き込み捜査に向かいます。

だが星野が子供じみた感情を爆発させて、彼の指示で別々に聞き込みに回ることに。
その結果として、貴子は拉致監禁されてしまいます。

ここはちょっと簡単に騙されてしまいましたよね。
いろいろあって疲れはピークに達し、判断力が落ちていたとはいえ、油断し過ぎていたように思います。
中田加恵子には、捜査中の立川競輪場で2回も会っているうえに、また関係者が住んでいる街で出会ったのですから、少しは不審に思うのが刑事の勘ではないでしょうか。

部屋の第一印象や室内の様子に違和感を覚えたのに、優しい言葉につい気を許してしまったのが命取りになってしまいました。

彼女を救出すべく必死に捜査にあたる刑事たち、
新たな犯罪に着手しようとしている犯人たちと鎖でつながれ身動きの取れない貴子。
交互に双方の話が展開していきます。
それにしても、捜査陣はなかなか犯人に辿り着けません。

音道刑事が心理的に追い込まれていく様子に不安が募るものの、先へ先へとのめり込みます。

中田加恵子の身の上話は哀しすぎますね。
貴子もすでに極限状況にあり、刑事としての誇りも使命感も失いかけています。
ふたりとも女であることで、どうしてこうも理不尽な目に遭わなければならないのでしょうか。

犯人の居る場所が特定できても、なかなか突入できない警察に苛立ちを覚えます。
もちろん刑事たちも同じ気持ちでいてくれます。
その中でも、前作の「凍える牙」で貴子の相棒だった滝沢刑事には救われる思いがします。
正義感あふれる古いタイプの熱血おやじデカ。
貴子の身を案じ励まし勇気づけ、そして信じて、重大な役目を託す。

「俺らを信じろ。俺らも、お前を信じてる」

貴子にも熱い思いが伝わって、刑事である本来の自分を取り戻します。

強行突入
うおぉぉぉ~~~ イッキに緊張から解放へ・・・長かったー

助けられた後の二人の会話にも、泣き笑いで楽しめました。

エピローグも感動モノですね。
貴子の加恵子への感謝の気持ちと、信じられる人間がいることを加恵子にも分かって欲しいという想いがあっての行動でしょう。
これで中田加恵子も生き直せるかもしれない。

傷ついた貴子にも「正義の味方が好きだ」「お前、警察、やめるな」と言ってくれる包容力のある恋人がいて、安堵しました。

これほどの修羅場を潜り抜けてきた音道貴子のこれからを見てみたいものです。