Inoueinterior Room Blog

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博多駅前陥没事故~再掘削から1ヵ月、現地は今

2019-08-19 18:30:20 | 博多陥没

博多駅前陥没事故から11月で3年、現場は大詰めを迎えている。今年1月からトンネル内の水抜きがはじまり、その後、土砂撤去が行われていたが7月上旬に無事終了。7月12日から再掘削がはじまり、1ヵ月が過ぎた。今、現地はどうなっているのか。昨日(18日)、博多駅に所用があったので、ちょっと立ち寄ってみることにした。

現地に行くと、車道に設置されていた占用帯が撤去され、通常の状態に戻っていた。陥没したところはアスファルトの色が違うのでわかるが、地上からだと中の様子はわからない。坑内入り口は明治公園横にあるが、当然のことながら中に入ることはできない。福岡市が公表している最新の工事進捗状況(7月31日発表分)をみると、大断面トンネル部の写真が1枚だけ、説明資料はほとんどない。これでは状況はわからない。一歩間違えれば大惨事になっていたような事故を起こしているのだから、再掘削の状況はもっと丁寧に報告すべきだろう。

陥没事故は大断面トンネル部分をナトム工法で掘削している時に起きた。ちょうど横断歩道あたりになるが(下写真)、よく見ると中央部分が凹んでいるのがわかる。何とも不安な気分になるが、大成JVが毎日行っている路面のモニタリング数値に大きな変化はない。ただ、先週あたりから少し沈下量が増えているのが気になる。

今のところ掘削工は問題なく進んでいるようだが、予定では掘削完了まであと2ヵ月程かかる。油断はできない。そういえば、今月9日、天神ビッグバンで福ビル解体中に地下水が天神地下街に流れ込む事故が起きた。原因は調査中でまだ公表されていないが、地下水の脅威は見えないところに潜んでいる証だろう。人工岩盤をつくり補助工法を増強したとはいえ、相手は自然。何が起きるかわからない。

 

撮影日:2019.8.18

陥没現場(写真左が博多駅)

 

 

 

 

 

横断歩道の中央部分が凹(色の変わっているところ) 

 

 

 

 

大断面トンネルのところを掘削中に陥没、横断歩道あたり(福岡市資料より)

 

 

 

 

最新の報告はこれだけ、、(福岡市資料より) 

 

 

 

《関連記事》

博多陥没現場、トンネル掘削がついに再開(日経コンストラクション 2019.7.8)※有料記事

福岡・天神地下街で浸水 ビル解体現場付近から流入か(西日本新聞 2019.8.9) 

 

《関連資料》

福岡市交通局。七隈線延伸事業(随時更新)

福岡市地下鉄七隈線建設工事 博多駅工区(ナトム・人工岩盤掘削区間)に関する情報(毎日更新)

 ・福岡市交通局ナトム区間大断面トンネル部の再掘削着手について(2019.7.11)

福岡地下街開発株式会社。天神地下街東3b階段からの漏水につきまして(2019.8.9) 

 

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博多駅前陥没事故から2年2ヵ月、難関工事はじまる~水抜きのリスクとは

2019-01-29 09:58:08 | 博多陥没

衝撃的な陥没事故から2年2ヵ月、今月18日から事故現場では、最大の難関である水抜き工事がはじまった。工事開始から10日余り、今はまだ準備段階のようだが、もうすぐ試験水抜きが行われる。トンネル坑内には1万4,000㎥(1400万リットル)もの水が溜まっており、さらに6,200㎥の土砂が詰まっている。地盤改良されているとはいえ、これらを上手く取り除くのは容易ではないだろう。

先日、福岡市建設技術専門委員会のメンバーでもある、九大三谷教授は「今からはじめる水抜きが一番の肝、ここが上手く進むかどうかによって、今後の計画も変更になる可能性がある。これは本当に慎重にやらなくてはならない作業だ」とコメントされている。さらに、水抜き後の再掘削(ナトム工法)についても「中の状況が以前掘った時とほぼ同じような健全な状況であれば、それなりの工法(ナトム工法)でいけるが、もし、変状が起こっていると工法は変えなければいけない」と工法変更の可能性を示唆されている。福岡市は、ナトム工法にかなりの自信を持っている(というか懲りていない)が、リスクは潜んでいる。そこを三谷教授も指摘されている。

水抜きが上手くいくかどうかは、地盤改良がいかに確実にできているかによる。というのも、地盤改良範囲には、地下約11mに直径約2.5mの雨水幹線が通っており、陥没時に一緒に落ちた信号機や管路なども埋まっている。こうした箇所は、固化材の噴射や撹拌の度合いを適切に設定できず、改良不足になる恐れがあるといわれている。また、岩盤層と改良部の境界部分、いわゆる難透水性風化岩層の改良が上手くいっているかどうか。高圧噴射撹拌工法は、難透水性風化岩層のような比較的固い地盤では効果を発揮しにくいといわれている。これらの改良が上手くいっていなければ、トンネル内の水位と一緒に周辺の地下水位も下がり、上からの水の流れを止められなくなる。そうなると(ここで手を打たなければ)、ふたたび陥没する恐れもある。こうしたリスクは、市民には知らされていない。

高島市長は著書「福岡市を経営する」の中で、陥没事故の対応を安倍首相や世界から称賛されたことを得意げに語っているが、そもそもの原因は福岡市にある。にもかかわらず、その振り返りも、市民への説明も未だになされていない。あり得ない話だが、これが今の福岡市。そんな中で、水抜き工事がはじまる。工期は約2ヵ月。ポンプを使い、溜まった水を下水管に流す。その後、約4ヵ月かけて土砂を撤去、夏頃から再掘削がはじまる。大成JVも威信をかけて臨むだろうが、油断はできない。



立坑の長さは28m、ここからポンプを使って排水する(写真:RKBニュースより 以下同じ)





このイメージ図には書かれていないが、岩盤層と改良部の境に難透水性風化岩層がある





九大三谷教授、御用学者揃いの委員会の中で貴重な存在

 

 

 

 

トンネルの状態はいかに、、(ナトム工法がよくわかる写真)




 

地盤改良、果たして上手くいっているか、、


 

 

 

現在は準備中、来週5日ごろから試験水抜きがはじまる予定(福岡市資料より)





福岡市交通局がウエブで発信している「工事だより」、市民への説明はこれだけ(1月25日)



 

《関連記事》

博多駅前陥没現場で水抜き工事開始 再掘削に向け、福岡市(西日本新聞 2019.1.18)

《関連資料》

福岡市交通局HP。七隈線延伸事業。

大成JV。福岡市地下鉄七隈線建設工事 博多駅工区(ナトム・人工岩盤掘削区間)に関する情報

 

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博多駅前陥没事故から2年、掘削に向けた課題

2018-11-09 21:59:29 | 博多陥没

博多陥没事故から2年、市民の関心が薄れる中、昨日、あの衝撃映像が流れていた。それで思い出した方も多かったのではないだろうか。現在、陥没現場では地盤改良工事が行われているが、今のところ工事は順調に進んでいるようで、地盤に大きな変化は見られない。だが、問題はこれから。いろいろ難関が待ち受けている。(報道はされていないが)

福岡市交通局の資料によると、先月末、陥没箇所の地盤改良工事、⾼圧噴射撹拌⼯(地下水の流入を防止する工事)と薬液注⼊⼯(地盤の強度を上げる工事)が完了。現在、その部分のチェックボーリングが行われている。今後はトンネル坑内の地盤改良工事が行われる。 それが終わると、いよいよ水抜き作業がはじまる。報道によると、水抜き作業は年明けからおよそ2か月半かけて慎重に行われるらしい。

ここが難関のひとつ。地下鉄のトンネル内は事故で流れ込んだ地下水で満たされている。その水抜きを行うわけだが、安全に水を抜くためには、地盤改良がどれだけ確実にできるかがポイントになる。というのも、トンネル内の水位と一緒に周辺の地下水位も下がれば、上からの水の流れを止められず、ふたたび陥没する恐れがあるからだ。地盤改良部分の地下約11mのところには、直径約2.5mの雨水幹線が通っている。さらにトンネル崩落時に一緒に落ちた信号機や管路なども埋まっている。こうしたところは固化材の噴射や撹拌の度合いを適切に設定できず、改良不足になる恐れがあると言われている。(だからチェックボーリングを行っているのだろうが)果たして、上手くいくか。

無事に水抜き作業が終われば、トンネルの再掘削(ナトム)工事となる。再掘削は地盤改良が行われているところ(人工岩盤)を掘るわけだが、ここにもリスクはある。岩盤層と改良部の境界、いわゆる難透水性風化岩層がどうなっているかだ。高圧噴射撹拌工法は、難透水性風化岩層のような比較的固い地盤では効果を発揮しにくいと言われている。もしも難透水性風化岩に亀裂が生じればそこが水みちとなり、ふたたびトンネル内に水を引き込む恐れがある。しかも、掘削工法は前回と同じナトム。福岡市は工法に問題はないと自信たっぷりだが、地質が複雑なところだけに油断はできない。順調にいけば、再掘削は来年夏頃からはじまる。ロープウエーどころではない。

 

写真:NHK福岡ニュースより(11月8日放送)

事故当時の様子 

 

 

 

 

 

現在の様子

 

 

 

 

10月31日現在の工事状況(福岡市資料より)

 

 

 

 

再掘削前に説明会をすべきだと思うが (福岡市資料より)

 

 

 

《関連記事》

博多駅前大規模陥没事故から2年(NHK福岡 2018.11.8)

博多陥没2年、トンネル掘削へ準備進む 福岡市長選、当時の対応も争点(西日本新聞2018.11.8)

 

 《関連資料》

福岡市交通局。地下鉄七隈線延伸建設工事における地盤改良工事の状況について(2018.11.1更新)

大成JV。福岡市地下鉄七隈線建設工事 博多駅工区(ナトム・人工岩盤掘削区間)に関する情報



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博多区で連続道路陥没~博多駅前陥没事故との関係は?

2018-08-31 17:46:47 | 博多陥没

29日、博多区で道路が陥没した。一瞬、またかと思ったが、現場は、キャナルシティ博多の近くで、博多駅前陥没場所とは違っていた。穴の大きさは、縦45センチ、横55センチ、深さ2メートル20センチ、かなり深い。と次の日、そこからわずか100mのところで、ふたたび陥没。穴の大きさは、直径10センチ、深さ8センチ、今度は小さいが、博多区で2日連続、道路が陥没する事態となっている。現場は、いずれも博多駅前の陥没事故現場からそう遠くない。(下地図参照)

これは陥没事故と何か関係があるのではないか。そこで、福岡市交通局の資料を見てみると、本日(31日)、地盤改良工事の進捗状況が更新されていた。見ると、陥没箇所への地下水の流入を防ぐために行われていた、高圧噴射撹拌工(陥没範囲の四方を壁で囲む工事)が、今月18日に終了していた。現在は、その機能を確認するためのボーリング調査が行われている。来月中旬からは、薬剤注入がはじまる。このあと、遮水壁で囲んだ範囲の地下水をくみ出して水位を下げ、土砂で積もったトンネル内に改良材を充填して固める。そこをナトム工法で掘削する。まだまだ先は長い。(下図参照)

報道によると、福岡市は、地下にある土砂が地下水の水位の変化などによって固まり、地下に空洞ができたことが原因の1つとしているが、陥没事故現場との関連性は否定している。果たして、そうだろうか。もしかすると、遮水壁が出来たことで地下水の流れが変わったのではないか。地下水は博多湾へ向かって流れていると思われるが、陥没したところで遮蔽され、新たな”水みち”ができているのではないか。

福岡市は今回の陥没について、何一つコメントを出していない。現場の近くには、キャナルシティ博多があり、交通量も多い。ましてや、大陥没の近くで起きているので、多くの市民が不安に思っている。市は、ホームページに掲載するなど、陥没状況や原因についてきちんと説明すべきだろう。今回は偶々、市道で工事をしていた人が穴に気付き事故にはならなかったが、発見が遅れていたらどうなっていたか。博多駅前陥没事故の教訓はどこに? 

 

 

陥没場所 大陥没の近くで起きている

 

 

 

 

 

 現在、陥没個所は遮水壁で囲まれている

 

 

 

《関連記事》

博多区で道路陥没一時通行止め(NHK福岡 2018.8.29)

JR博多駅近く 2日連続で道路陥没(西日本新聞 2018.8.30)

 

《関連資料》

福岡市交通局。地下鉄七隈線延伸建設工事における地盤改良工事の状況について(8.31更新)

 

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陥没事故現場 路面沈下?

2018-02-15 17:25:00 | 博多陥没

陥没事故から早いもので1年3か月が過ぎた。最近は殆ど報道されることもなくなったが、現在、現場では再掘削に必要とされる地盤改良のための準備工事が行われている。道路工事などでよく見かける覆工板を設置する工事で、2月末まで行われる予定となっている。

そこで、大成建設が毎日更新している「路面沈下計測状況」を見てみると、今月に入ってから路面沈下量が大きくなっていた。そもそも、このモニタリングは、陥没事故から2週間後、埋め戻した場所がふたたび沈下したことから、路面状況の変化を把握するために始められたもので、薬液注入による地盤改良が終了した後(2016年12月28日)は、平均1~2ミリ程度の沈下量で推移していた。ところが、覆工板設置工事が始まった先月末以降、沈下量に変化が現れた。

沈下量は最大9ミリ、これはこれまでで最高の数値。(建築的には致命的な数値)気になって、昨日、大成建設に確認をしてみたところ、覆工板の下にあるゴムが、このところの寒さで収縮したことによって起きている現象であり、心配することはない(気にしていない)とのことだった。調べてみると、覆工板下部のゴムパットの厚みは10ミリある。これまでも気温の変動によって、1~2ミリ程度の沈下はあったので、それを考慮するとゴム自体の収縮は8ミリ程度ということになる。果たして、これほど縮むものだろうか。

昨日は気温が一気に上昇し(最高気温14度)、春一番が吹いた。そんな中、今日(15日)の沈下量は平均3ミリ、最大9ミリと平均沈下量が微増。大成建設は「心配ない」と言い切っていたが、誰も陥没個所を見ていないのだから、そこで何が起きているかはわからない。それゆえ、今後も路面の状況を注視していきたい。

 

 

 

覆工板設置作業の様子(2018年1月31日現在 福岡市交通局資料より)  

 

  

 

 

 

覆工板詳細図(縮んだのは赤丸印のところ)

 

 

 

 

《関連資料》

福岡市交通局。地下鉄七隈線延伸建設工事における地盤改良工事の状況について(2018.2.1)

 

 

 

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