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245T剤埋設状況が明らかに~林野庁報告書より

2022-05-14 21:40:00 | 245T剤埋設問題

林野庁は昨年11月から245T剤撤去に向けた調査を国土防災技術株式会社(東京)に委託し、佐賀吉野ヶ里町、熊本宇土市、高知四万十市、岐阜下呂市の4ヵ所で実施していた。その報告書が林野庁のホームページに公開されていた。と言っても、簡単に確認できたわけではない。この度、北九大の原田氏から資料(pdf)を送って頂いたのでわかったが、そうでなければ絶対に辿り着けないようなところに置いてある。この期に及んでという感じだが、林野庁の体質は相変わらずのようだ。

報告書から脊振山中・吉野ヶ里町の埋設状況が明らかになった。佐賀森林管理署からの聞き取りによるもので、埋設時期は昭和46年12月。埋設状況は縦2m、横2.5m、深さ2mの穴を2m間隔で2ヶ所堀り、ビニールを敷いた上にコンクリート塊にした245T剤945kgを置き、その上に約1mの覆土が敷設されている。また、地上に設置されたフェンス沿いに難透水層(深さ3m)のところまで鋼矢板が差し込まれている。さらに、フェンス内の深さ50㎝のところに、一面アルミ板が敷かれ、覆土が敷設されている。それなりに保管されているように思えるが、埋設量は規定(埋設地1ヵ所300kg)の3倍以上だから恐ろしい。

また、平成29年度と令和2年度に土壌調査と水質調査が実施されていた。土壌はフェンスから1m離れた2地点(九州自然道側と作業道側)で深さ5mの部分。水質は西約134m、北東約220m、北北東約302mの沢3地点。いずれもダイオキシンを含む245T剤は検出されておらず、土壌や水質への影響はないと佐賀森林管理署は結論付けている。しかし、深さ3mのところまで鋼矢板が差し込まれているにもかかわらず、それより深い5mのところで調査をしているのはどういう理由なのか?これで安心しろと言われても難しい。

報告書には試料採取や掘削処理方法も記されていた。埋設物の成分を把握するため、それぞれ埋設物の中心部からボーリングにより試料を採取して分析する。また、掘削対象範囲を確定するための土壌調査も実施される。場所は埋設箇所の周囲4方向で埋設物の中心深度及び底部より深さ50㎝~1mのところ。この時、はじめて本当の汚染状況がわかるのではないだろうか。なお、鋼矢板壁は地中に残置される。

着手時期は今のところ不明だが、試料採取から掘削工に伴う仮設テント設置まで1ヵ月以上要するとあるので、一連の作業が終了するまでには2~3ヵ月はかかるのではないだろうか。ということで、また新たな動きがあれば報告したい。

(下に資料を置いていますので、詳細はそちらでご確認下さい)

 

 

吉野ヶ里町の埋設状況想定図(以下、林野庁報告書より)

かつて、この2ヶ所が大きく陥没していた

 

 

 

掘削処理計画

フェンス内の全てが処理物となるが、鋼矢板壁のみ地中に残置される(図の右側に九州自然歩道がある)

 

 

 

試料採取および掘削処理フロー

着手はいつになるか、、 

 

 

 

報告書が公開されたからか、地元放送局が連日、245T剤埋設問題を取り上げている。RKBは4月7日放送の「山中に埋まる枯れ葉剤~福岡と佐賀の県境で取材」の続きを5月12日に放送した。佐賀森林営林署の点検に同行し、営林署の言い分を伝えていた。また、TNCは5月13日、「豪雨崩壊なら流出も…山林に埋設された猛毒除草剤」と題し、土砂崩れで245T剤が流出する恐れがあると伝えていた。取材に同行された原田氏は、埋設から13年間調査が行われず、コンクリートも劣化していることから、すでに流出している可能性もあると指摘されていた。いずれの番組も上記の埋設状況を説明していたが、調査が5mの深さで行われていたことは触れていない。

 

 

《参考資料》

令和3年度埋設農薬の管理に関する調査委託事業報告書(1)

令和3年度埋設農薬の管理に関する調査委託事業報告書(2)

 

《関連記事》

流出の危険は? 猛毒「ダイオキシン」含む除草剤 全国54カ所 ダム上流にも埋設 福岡県(TNCテレビ西日本 2022.5.13)

 

 

 


埋設枯葉剤、半世紀の時を経て撤去へ(5月12日更新)

2022-04-21 21:50:30 | 245T剤埋設問題

ようやく国が動き出した。3月末、政府は全国46ヵ所の山林に埋設されている245T剤(枯葉剤の原料)を撤去する方針を固めた。この春、林野庁は自治体に撤去方針を伝える。(もしかすると、すでに伝えているかもしれない)

林野庁は昨年11月、4ヵ所の埋設地(佐賀吉野ヶ里町・熊本宇土市・高知四万十市・岐阜下呂市)をモデルケースに245T剤撤去に向けた調査を開始していた。ただ、昨年度は調査方法を提示するところまでと北九大原田氏からお聞きしていたので、今年度早々、自治体に撤去方法を伝えるというのは意外だった。(なにせ半世紀動いていないので、こちらも悠長に構えていた)

報道によれば、調査の結果、技術的に安全な撤去が可能との結論が出たという。撤去作業については、周囲を汚染しないよう環境省の助言を受けて作業を進め、まず調査した4ヵ所を先行して撤去し、全国に広げるという。林野庁が想定する撤去方法は、埋設地をボーリングし、地中の245T剤の状態やダイオキシン含有量を調べる。その後、245T剤が飛散しないよう覆いを掛け、245T剤を含むコンクリートの塊を取り出す。塊は破断してドラム缶に保管し、無害化処理の専用施設に運ぶ。(この作業にどうして50年もかかるのか)

 

ところで、今月7日、RKB放送が枯葉剤埋設問題を取り上げていた。脊振山中の埋設地(吉野ヶ里町)の取材で、原田氏が同行されている。埋設地が福岡市民の水がめである五ケ山ダムの近くにあることを空からレポート。また、飲み水への影響はないのか、水質調査をしている福岡市水道局水道水質センターを取材している。さらに、25年前の県議会で発覚した埋設地の陥没ついても触れていた。(おそらく原田氏が情報提供されたのだろう)番組は続き、次回後編は埋設地を管理する佐賀森林管理署を取材する。(放送日は不明)

 

※本日(5月12日)午後6時半から後編が放送されました。詳しくは別項で報告します。(2022.5.12更新)

 

 

【RKB・山中に埋まる「枯れ葉剤」~福岡と佐賀の県境で取材】※画像は動画をキャプチャー(動画はまだ見れます)

五ケ山ダム上空 埋設地はおそらく一番左の鉄塔あたり(五ケ山ダムの向こうに南畑ダム、水は那珂川へ)

 

 

 

 

五ケ山ダムから約1km

 

 

 

 

そばに那珂川の番托井堰があり、井堰で溜められた水は浄化されて福岡市民の水道用水に

 

 

 

 

検査場所は、五ヶ山ダム入り口、南畑ダム入り口、南畑取水口の3ヵ所 

※3年前、福岡市に水質検査の情報公開請求をした際の資料など掲載しています。詳しくはこちら

 

 

《関連記事》

山林に埋設半世紀…猛毒除草剤撤去へ 46カ所、本紙報道機に方針転換(西日本新聞 2022.3.31)

 

  


245T剤撤去に向けた調査地4ヵ所決定

2022-02-07 16:37:00 | 245T剤埋設問題

(245T剤に関する最新情報です)

1月21日に放送されたNHKザ・ライフ「誰も知らない日本の枯れ葉剤」で、林野庁の担当者は、245T剤の撤去を念頭に無害化処理するための調査を今年度からはじめると言っていた。記者が「どこか一つ(決まっているのか)」と質問すると「いやまだ先は長い」とはぐらかしていた。が、実はすでに調査地は決まっていた。調査地は4ヵ所、そのうちの1つに脊振山中の埋設地である吉野ヶ里町が入っていた。

先月末、枯葉剤の研究を長年されている北九州市立大学の原田氏からメールがあり、この情報をいただいた。原田氏によれば、林野庁は、全国埋設地のうち4ヵ所をモデルケースとして撤去に向けた調査を開始したとのこと。調査地は、佐賀県吉野ケ里町、熊本県宇土市、高知県四万十市、岐阜県下呂市の4ヵ所となっている。脊振山中埋設地の吉野ヶ里町については、田村貴昭参議院議員から強い要請があったため、林野庁が候補地に入れたとのことだった。(ブログ掲載は田村議員に了承済み)

と言っても、まだ喜ぶのは早い。今年度は調査方法を提示するところまでらしい。何とも悠長な話だが、245T剤埋設から50年動かなかったことを考えると驚く話でもない。林野庁国有林野部業務課の長崎屋課長の発言どおり、まだまだ先は長い。 

 

 

全国の埋設状況(雑誌Fielder「美しい国のAgent Orange」地図引用 のところが調査決定地)

岐阜県下呂市は乳剤と粒剤と2ヵ所埋設されている

 

 

 

 

熊本県宇土市の埋設地も市民の水源地に近い(写真:雑誌Fielderより)

 

 

 

 

脊振山中の埋設地(吉野ヶ里町)は福岡市民の水源地である五ケ山ダムのすぐ上(国土地理院地図に記入)

 

 

 

 

五ケ山ダムから埋設地を見る(埋設地は写真中央右の鉄塔あたり 2021年10月29日撮影)

 

 

 


NHKザ・ライフ「誰も知らない 日本の“枯れ葉剤」

2022-01-23 08:30:20 | 245T剤埋設問題

NHK九州エリア番組「ザ・ライフ」が、枯葉剤の原料である245T剤の埋設問題を取り上げた。昨年末のおはよう日本では、全国46ヵ所(うち九州19ヵ所)の国有林に245T剤が埋設されている事実を伝えていたが、ザ・ライフでは、なぜ245T剤が全国の国有林に埋められているのか、その経緯を様々な証言をもとに伝えていた。取材は、三井化学大牟田工場(旧・三井東圧化学)や元社員、アメリカに及んでいた。制作者の本気度が伝わるものだったが、そもそもの発端は、(福岡市民の)水源地近くに245T剤が埋設されているという情報が寄せられたことが取材のはじまりだったという。

番組は、19年7月に開催された北九大原田和明氏による「枯葉剤シンポジウム」で教わった内容に沿っていた。245T剤は1964年に除草剤として登録され、1967年から福岡県大牟田市の三井東圧化学で生産がはじまった。ところが、245T剤は、通常のステップを踏まずにつくられ、殆どが輸出用だったと元社員が明かしている。この証言が全てを物語っている。NHKは今回の取材で、アメリカ企業が枯葉剤の責任を問われた裁判の記録を入手しているが、そこには調達先の一つとして三井物産の名が記されていた。ベトナム戦争で使用された枯葉剤は三井化学大牟田工場でつくられていたことが明らかになったが、同社はコメントできる情報を持ち合わせていないとしている。

1970年、アメリカは枯葉剤(245T剤)の使用を禁止。それに伴い、翌1971年、日本も使用を中止した。そこで、国は余った245T剤を全国の国有林に1区画300Kgを上限にコンクリート塊にして埋めるよう指示を出した。のちに29ヵ所で規定を超える245T剤が埋設されていることが判明したが、国が掘り起こして調査したのは9ヵ所のみだった。そのほかは50年経った今も土の中に埋まっている。コンクリートの寿命はおよそ50年といわれており、昨年がちょうどその年だった。

近年の大災害で汚染リスクは高まっている。2年前の熊本豪雨では熊本県芦北町が水害に見舞われた。その山中にある埋設現場近くで土砂災害が起きていた。脊振山中(吉野ヶ里町)の埋設現場も例外ではない。19年8月の豪雨では埋設付近の登山道で土砂崩れが発生していた。国(林野庁)の担当者は、撤去を念頭に無害化処理するための調査を今年度からはじめると言っているが、「どこからか」との記者の質問に「まだまだ…先は長い」と言葉を濁していた。自然災害は毎年発生しており、猶予はないのだが。

 

 

1月21日放送NHKザ・ライフ「誰も知らない 日本の“枯れ葉剤”」より(見逃し配信:2月4日午後7時55分まで)

今、245T剤はどうなっているのか、、誰も知らない  番組は脊振山中(上画像)の埋設現場で終わっていた 

 

 

 

 

埋設場所のすぐ近くに五ケ山ダムが このダムの水は福岡市へ流れている

 

 

 

 

大事なところをきちんとコメントして下さった

 

 

 

 

三井化学元社員の証言 

 

 

 

 

長年、枯葉剤の研究をされているウェスタン・ミシガン大学エドウィン・マティー二教授「日本企業も供給網の一部だった」と証言

 

 

 

 

三井化学も取材に応じてコメント

 

 

 

 

国の通達から事がはじまる  

 

 

 

 

九州営林署の元署員 毒性の強さを危険視、埋設に反対だったが阻止できなかったと証言

 

 

 

 

国の元検討委員会の委員(環境放射能除染学会理事長)。今のまま隔離するやり方でよいと一つのコンセンサスになっていたという。記者が問題の先送りになるのではというと、長いこと保管している間に分解して壊れてくれないかという希望があると、驚きの発言。

 

 

 

林野庁国有林野部業務課 長崎屋圭太課長  最初、歯切れは良かったけれど、、

 

 

 


脊振山中245T剤、撤去に向けた動き~NHKおはよう日本・特集(22年1月20日更新)

2021-12-28 15:36:30 | 245T剤埋設問題

枯葉剤の原料である「245T剤」が全国の山中に埋設されたままになっていることを、NHKおはよう日本・特集「枯葉剤原料  全国の地中に今も」で取り上げていた。もしやと思って見ていると、五ケ山ダムで那珂川市の職員が取材に応じていた。那珂川市や福岡市の水源となっている五ケ山ダムの近く、脊振山中に245T剤が埋設されていることを説明していた。同市の職員は、豪雨によって245剤が漏れ出し、ダムの水が汚染されることに危機感を募らせていた。(この映像は貴重だ)那珂川市は2年前からダムの水質調査を行っているとあったが、福岡市では五ケ山ダム事業が採択された後(平成4年)から周辺の水質調査を行っている。

放送によれば、先月、脊振山中の埋設現場に国(林野庁)が調査に入ったという。これは初耳だった。掘削・撤去を想定し、成分分析など技術的な検討に入ったという。毎年、那珂川市や福岡市などは、国に245T剤の撤去または無害化処理の要望書を提出しているが、これまで国は動かなかった。それが突如、動きはじめた。もしかして、静岡の土石流災害が引き金になったのだろうか?

それにしても、放送終了直後からブログへのアクセス数がすごいことになっている。(全国ニュースの影響力は凄まじい)おそらく枯葉剤埋設問題をNHKが全国放送するのは初めてではないだろうか。そういえば、2年前、NHK国際放送局のディレクターの方から脊振山中に245T剤が埋設されていることについて、取材の申し入れがあったが、ゴーン事件でドタキャンになった。その際、地上波でこの問題を取り上げるのは難しいだろうと言われていたのだが、、

※一番下に「ザ・ライフ(The Life)で放送」を更新しました(2022.1.20)

※ザ・ライフの放送はこちらで確認できます。(2022.1.23)

 

 

12月28日放送、NHKおはよう日本・特集「枯葉剤原料 全国の地中に今も」(見逃し配信:1月4日7時45分まで)

埋設量は全国およそ26トン

(このあと熊本県芦北町の埋設現場近くで土砂災害があったことを伝えている)

全国の埋設場所はこちらで確認できます。

 

 

もう一つの事例として紹介されたのが脊振山中の埋設現場

五ケ山ダムサイトから埋設場所を説明する那珂川市職員

 

 

 

 

撤去していただきたい、、

 

 

 

 

脊振山中の埋設現場に入る佐賀森林管理署の担当者

(ここでNHKは、年2回定期検査をして安全な状況を維持してきたと国の言い分を伝えているが、実際には目視のみ

 

 

 

 

柵の中に入って検査はされていないような、、

(ここでNHKは、自治体の要望を受け、先月、国は動き出したと伝えているが、自治体からの要望書は数十年前から出し続けられている。ちなみに、那珂川市(旧那珂川町)は30年間、福岡市は24年間)

 

 

 

お、遅い、、 (今後の動きを注視しよう)

 

 

 

《The Lifeで放送 2022.1.20更新》

1月21日、NHKThe Life(九州限定)で「おはよう日本・特集」の長尺版が放送されます。ベトナム戦争と日本企業の関係についても取り上げられるようです。

NHKThe Life「誰も知らない 日本の“枯れ葉剤”」2022年1月21日(金)午後7時30分から 

 

1月20日、この「NHKおはよう日本・特集 ~枯葉剤原料  全国の地中に今も」(21年12月28日放送)がNHKWEB特集に掲載されました。しばらくの間、閲覧できそうです。

枯れ葉剤の原料 漏れ出す懸念も 負の遺産をどうする?