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福岡市にロープウエーは必要なのか(12月25日更新)

2018-12-22 21:20:40 | ロープウエー問題

福岡市にロープウエーは必要なのか。高島市長が自分の夢だと言って、突然、公約に掲げた「ロープウエー構想」に波紋が広がっている。12月議会最終日に、箱崎ふ頭の埋め立てとロープウエー導入に対し、共産党などから慎重な検討を求める決議案が出された。決議案は、自民、公明、みらい、維新、自民新(高島市長親衛隊)などの反対により否決されたが、ロープウエーに関しては、与党自民党からも疑問の声が上がっている。

ロープウエー構想が表面化したのは、昨年12月5日の高島市長政治資金パーティーでのこと。高島市長は海外での実例を交え、博多駅から大博通り、ウォーターフロント(WF)地区を経由し、北天神の須崎公園付近までを結ぶ「福岡スカイウェイ構想」を提示した。しかし、この構想。実は、福岡市が15年にWF地区の再整備案を民間事業者から公募した際、JR九州から提案されたものである。そこのところは封印し、さも自分が考案したように「自分の夢」だと言うところに、この人の浅はかさがある。

それはさておき、自民党は、箱崎ふ頭の埋め立ては必要だとする一方で、ロープウエーについては苦言を呈した。どうやら自民党の所属議員のところにも多くの市民から反対意見が届いているようで、中でも問題になっているのが、高島市長が自ら立ち上げた有識者研究会で、WF地区の交通手段について検討している最中に、いきなりロープウエー導入を公約に掲げたこと。さすがにこれには、自民党からも苦言が出た。決議案には反対したが、導入に100%賛成しているわけではないと言いたかったのだろう。一方、野党会派である市民クラブなどは、必要性や採算性などの情報があまりに少なく、議論はこれからというスタンスで、慎重な検討を求める決議案に賛成している。

そもそも、なぜ新交通システムが必要なのか。ここが一番大事なところだが、市は、クルーズ船外国人観光客などの増加を見込み、今月、1000億円とも言われるWF地区の再整備計画を発表した。市の試算によると、将来的には1日約16万人の観光客がWF周辺を行き来する。そのため1時間当たり片道最大2000人~1400人を運べる新交通システムが必要になるという。しかし、それを裏付ける資料は出していない。そこで、観光庁が先月、公表した訪日外国人消費動向調査の結果を見てみた。すると博多港から入国した観光客はすべて中国人。内訳は個人5%、団体ツアー客95%、交通手段は100%貸し切りバスとなっている。目的は第1位が買い物、第2位が飲食。行先は第1位がコスモス薬品などのドラッグストアー、第2位がコンビニとなっている。さて、ドラッグストアーで買い物をするために、ロープーウエーに乗る外国人観光客がどれほどいるだろうか。

というわけで、今後、議会でどのような議論がなされるのか、しっかり見ていかないといけない。議会で反対されたら、また再議ということになるかもしれない。(高島市長ならやりかねない)ちなみに、先の市長選出口調査では、63%の市民がロープーウエーは必要ないと答えている。福岡市は、良識ある市民の意見を聞くことを忘れてはならないだろう。市民生活に直結する問題は置き去りにして、不要不急のものに400億円もの血税を使おうとしているのだから。

 

 

 

大博通りは風の通り道 ここにロープウエー、、(写真手前が博多駅、中央が大博通り 写真:西日本新聞より)

 

 

 

 

 

大博通り(紫色)に平行して走る警固断層南東部(赤表示) 地震が起きたら、、(国土地理院活断層地図より)

 

 

 

 

地盤は軟弱な砂地(ルーペ印) ちなみに陥没事故現場はすぐそば(産総研地質図より)

 

 

 

 

自民党と高島市長との微妙な関係が見え隠れする (12月20日西日本新聞朝刊より)

 

 

 

《関連記事》

3期目の置き土産となるか?実現に向けて進む高島市長の夢・ロープウエー(前) (NETIB-NEWS 2018.12.15)

3期目の置き土産となるか?実現に向けて進む高島市長の夢・ロープウエー(後) (NETIB-NEWS 2018.12.16)

 

《関連資料》

箱崎ふ頭地区の埋立てについて慎重を期すことを求める決議案 

ロープウェイなどのウォーターフロント地区の公共交通アクセス強化の検討に関する決議案

観光庁。訪日外国人消費動向調査(2018.11.16)

 

 


高島市長3期目、暴走スタート~12月議会

2018-12-19 11:38:18 | 福岡市政

過去最低の投票率で3選を果たした高島市長の3期目がスタートした。今月11日から12月議会がはじまり、与党会派やお友達議員からは激励と期待の声が上がる一方で、自民党元会長光安議員からは二元代表制の意味を心にとめ、議会の意見を尊重するよう釘をさされた。さらに、対立候補を擁立した共産党からは、市長選をめぐる高島市長の言動を問題視する意見が相次いだ。

 

公開討論会無視も謝罪せず

12日の一般質問。福岡市長選で神谷候補や市民からの公開討論会要請を無視したことについて、中山議員が理由を尋ねると、高島市長はスケジュールが合わなかったの一点張りで、反省する様子もなく、責任を秘書に押しつけていた。私も当事者なので言わせていただくと、高島市長は公開討論会の要請書を市民から直接受け取り、書類を見ていた。この点を中山議員も指摘していたが、素知らぬふり。さらに、中山議員が返事もしなかったことを謝罪したらどうかと求めたが、高島市長はお答えすればよかったかなとかわしただけで、謝罪の言葉もなかった。それにしても、これほど頭を下げない首長もいないだろう。呆れて言葉にならない。

高島市長、初著書「福岡市を経営する」で言いたい放題

どうしてこれほど強気でいられるのか。それは今月、出版された高島市長初著書「福岡市を経営する」を読むとわかる。ダイヤモンド社が、WEBでこの本の特集を組んでいるので読んでみたが、途中、何度か血管が切れそうになった。まわりの事情は無視して、自画自賛のオンパレード。福岡市が成長したのは自分のお陰だと言わんばかりで、事実誤認も甚だしい。この錯覚に満ちた自信が強気の原点になっているのは間違いないが、事実確認もせず煽てるメディアにも問題があるだろう。よって、この本の検証はまたきちんとしたい。

博多湾、ふたたび埋め立て

強気の現れか。先週末、突然、箱崎ふ頭の大規模埋め立て計画が公表された。報道によると、場所は箱崎ふ頭の西側約65ヘクタールで、ヤフオクドーム9個分の広さだという。博多湾でこれほど大規模な埋め立ては、1994年に着手した人工島(アイランドシティ)以来で、経費は600億円ともいわれている。人工島といえば、売れない土地を売るために福岡市が最大30億円の交付金付きで企業に分譲しているのは有名な話だが、赤字は400億円を超える。人工島事業の借金はいくら残っているのかさえわからない状態なのだ。

箱崎ふ頭の埋め立ては既成路線。どうやらこの件については、福岡市とみらい会派(自民党でないところに注目)との間で事前のすり合わせがあったようで、13日の一般質問で、笠議員が港湾物流の発展のために新たな空間が必要だと述べると、待ち構えていたように、中村港湾空港局長が土地不足に対応するためには埋め立てが必要で、箱崎ふ頭で検討していきたいと答えている。子供でもわかる猿芝居だが、市民にとっては寝耳に水。議会での議論をすっ飛ばし、執行権を乱用する高島市政に歯止めがかからない。

ロープウェー、10年以内に導入!?

報道によると、福岡市は17日、市議会でウオーターフロント地区の再整備に向けた事業計画を報告。10年以内にロープウェーを導入し、クルーズ船ターミナル、大型コンベンション(MICE)機能を持つ新ホールを新設し、高級ホテルを誘致するという。これらの費用は総額1000億円とも言われている。ロープウェーの運営主体がどこになるのかも決まっていない状態で、しかも市民の意見も聞かないうちに導入を決めるとは何たる暴挙。そもそも研究会で調査をしている最中に公約にかかげるなど、言語道断。こうした動きに、市民からは住民投票をすべきという声が上がりはじめている。

福岡市は18日、箱崎ふ頭の埋め立て計画について、国と協議を始めたことを市議会に事後報告。2019年度にも公有水面の埋め立てに必要な免許取得などの手続きに入るという。この報道には驚いたが、議会でほとんど議論されることなく事が進むことに危機感を感じる。こうなると議員(というか市民)のレベルアップは必須。来年4月の市議選は、福岡市の将来を左右する重要な選挙になるだろう。


12月議会、一般質問に答える高島市長(写真:西日本新聞より) 

 

 

 

 

ウオーターフロント地区再整備イメージ図 すでに大博通りにロープウェーらしきものが、、(西日本新聞より)

 

 

 

 

 

 箱崎ふ頭埋め立て計画図 博多湾がどんどん消えていく(西日本新聞より)

 

 

 

《関連記事》

「リーダーシップを」「説明丁寧に」 3期目市長に期待、注文 福岡市議会一般質問(西日本新聞 2018.12.13)

箱崎ふ頭を大規模埋め立て 65ヘクタール、ヤフオクドーム9個分 福岡市検討(西日本新聞2018.12.14) 

ロープウエー構想に疑問噴出 福岡市・博多港WF再整備 「検証不足」「導入ありきだ」(西日本新聞2018.12.18)

福岡市の箱崎ふ頭西側埋め立て計画、国交省と協議始まる 新年度にも手続き(西日本新聞2018.12.19)

 

《関連資料》

福岡市議会HP

福岡市を経営する(ダイヤモンド・オンライン)




脊振山枯葉剤(245T剤)埋設問題~12月5日衆議院農水委員会

2018-12-06 19:02:10 | 245T剤埋設問題

脊振山など全国46ヵ所(うち九州19ヵ所)に埋設されている枯葉剤原料(245T剤)問題について、昨日(5日)、衆議院農水委員会で田村議員(共産党)が林野庁などに質問を行った。それにより、脊振山中の埋設状況が明かされた。ただ事実かどうかはわからない。

質問に先駆け、田村議員は枯葉剤の研究をされている北九州市立大学の原田和明氏とともに脊振山の埋設地を視察している。それで先日、原田氏から埋設地で2ヵ所の陥没痕跡が確認できたとの連絡があった。落葉のため地面が見えやすくなっていたようで、これで同じ場所に2つに分けて埋められていることが明らかになった。実は、21年前の福岡県議会本会議の議事録に、245T剤が2ヵ所埋設されているような記述があったため、今年10月、原田氏と2ヵ所目を探してみたが、それらしき所は見つからなかったのである。

5日農林水産委員会。田村議員は埋設地の写真を示し、もし掘って取り出されたらどうするのかと問い正した。それに対し、林野庁長官は、現地調査の内容を説明し、適切な管理をしていると惚けた。そこで、再度、田村議員が問い正したところ、2立法㍍のコンクリート塊にして埋められているので、簡単に持ち去ることはできないと答えた。しかし、それを証明するものはない。林野庁によると、埋設方法については、昭和59年、埋設に従事した職員から聞き取り調査をして確認したもので、写真などはないという。つまり、コンクリート塊の状態で埋設されていることを証明するものは何もないのである。もしかすると、245T剤はコンクリートで固められてないのではないか。だから、埋設場所は陥没しているのではないか。この点について、田村議員の追及はなかった。

周辺自治体(福岡市・那珂川市・春日那珂川水道事業団)は、毎年、林野庁に245T剤撤去の要望書を提出している。田村議員によると、要望書には「数十年に一度という記録的な豪雨が全国各地で多発している状況であり、当該埋設箇所においても想定外の事象が予想されます。水源汚染に対する不安を払拭するために埋設物の安全対策を徹底し、245T剤の移設或いは無害化処理をして頂くことを要望します」と書かれているという。切実さが伝わってくるが、それもそのはず、埋設地からわずか1キロ程のところには、われわれ福岡市民の水道用水となる五ヶ山ダムがあり、水源汚染はいつ起きてもおかしくない状況なのだ。

なぜ、40年も放置しているのか。この問いに対し、林野庁は245T剤を掘削して処理をしようとすると、コンクリートの破損によって245T剤やダイオキシン等が飛散するリスクがあるので、地中で安定的に保全管理をしたほうがよいと答えた。これはいかがなものか。コンクリート塊を掘り出すのにリスクがあるというが、その気になれば破損させないで取り出す方法はある。する気がないだけだろう。掘ったらまずいことでもあるのか、と勘繰りたくなる。

田村議員は今後もこの問題を追及していく、245T剤を撤去して無害化処理を求めていくと述べている。あとは当事者(利水者)である福岡市民の関心(世論)が高まってくれれば、、

 

 脊振山中の245T剤埋設地(今年10月撮影) 冬のうちに陥没痕跡を確認しに行こうと思う

 

 

 

《関連資料》

【録画】枯葉剤245Tの埋設、投棄について 田村衆議院議員20181205農水委 

田村議員オフィシャルサイト

《関連記事》

ベトナム戦争後、行き場を失った枯葉剤が日本に埋められている――全国54か所の国有林リスト(日刊SPA 2017.11.27)

九州20ヵ所に猛毒埋設 ベトナム戦争の枯れ葉剤成分 専門家「漏出の恐れも」 地元に不安(西日本新聞 2018.8.23)