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博多駅前陥没事故

2016-11-14 11:32:36 | 博多駅前陥没

それは衝撃的な映像だった。今月8日、山口で母の介護をしていたところ、お昼の全国ニュースで博多駅前道路陥没事故を知った。ついに起きたかという感じだった。というのも、福岡市営地下鉄七隈線工事では、過去2度も陥没事故が起きていたからだ。最初は、2000年6月20日、現在の薬院駅近くで陥没した。この時は、立て坑防壁の鋼材が設計より傾斜して埋め込まれる施工ミスによって穴が開いた。2度目は2014年10月27日、今回の陥没場所のすぐそばで、幅4m、長さ5m、深さ4mにわたり陥没した。地下鉄延伸工事に伴う雨水管の移設作業中、立て坑内に土砂が流入した。地下に空洞ができたことによる陥没だと言われているが、構造物を壊さなければならないとの理由で、空洞ができた原因は究明されていない。そして、今回の大規模陥没。起こるべくして起きた事故といえるのではないか。

市営地下鉄七隈線の延伸工事は福岡市が設計し、事故現場は大成建設を頭としたJVが施工していた。事故原因の究明はこれから行われることになるだろうが、当然、工事の最高責任者は高島市長である。ところが、事故直後の記者会見を見ると、市民への謝罪の言葉はなく、開口一番「前代未聞だ」と他人ごとのような発言。しかも、責任は交通局にあると言わんばかりの発言もあった。その上、「はらわたが煮えくり返っている」と怒りを露わにするなど、とても当事者とは思えない違和感のある会見だった。事故が起きた”はかた駅前どおり”は、高島市長肝いりの『天神ビッグバン』の延長線上にあり、国家戦略特区に指定されている。今年7月、市は国からの補助金を基に、ここを「人が主役の通りにリニューアルする」と発表した。事故はそこで起きた。安倍政権に追随する高島市長としては、顔をつぶされた形だ。余程、悔しかったのだろうが、当事者が口にする言葉ではないだろう。市長としての資質に問題があるのは言うまでもない。

作業員の迅速な対応で大惨事にはならなかったが、現場は紙一重の状態。死傷者が出なかったことは不幸中の幸いだった。今の段階では何とも言えないが、人災の可能性も否定できない。そもそも、福岡市の地下鉄事業は当初から疑問の声が上がっていた。事業を断行するためには、職員に「嘘をつかせてまでも推し進める高島市政。こども病院移転の時のようにならなければよいが。

報道によれば、今夜にも通行が再開されるという。2年前の陥没事故では、調査後に埋め戻しているため、復旧まで2ヶ月かかっているが、今回は仮復旧までわずか6日。埋め戻しに流動化処理土を使用したこと、24時間体制だったことで仮復旧が早まったようだが、陥没部分がどう固まったのか、周辺の地盤への影響はどうなのか不明だ。そのため専門家は地質調査が必要だと警告している。

先日、産総研地質調査総合センターは『博多駅前陥没事故現場付近の地質について』を発表した。事故があった現場の地質は、それ以西の第四紀層中の工事区間より相対的に良い地盤だという。一方、かつて田んぼだったこともあり(下図参照)、地下水は比較的浅いところにあって上層部の地盤は軟らかいと、西南大学の磯教授は述べている。今後、事故原因が究明されるだろうが、安全性が確保できない場合、工事を見直す必要もあるのではないか。陥没事故は”警告”に違いないだろうから。 

 

 

博多駅前陥没事故現場(11月8日NHKニュースより)

   

介護中、衝撃的な映像が飛び込んできた

 

 

 

陥没事故場所を地図に記入(今昔マップ使用)90年前(左)と現在(右) 

 

 

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博多駅前で道路陥没-タイムライン(西日本新聞)※削除されています

博多陥没事故、50分前にトンネル天端が「肌落ち」(日経コンストラクション 2016.11.9)

 

《関連資料》

福岡市・博多駅前2丁目交差点付近における道路陥没事故に関するお知らせ(随時更新)※削除されています

福岡市交通局・七隈延伸事業

 

 

 



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