【写真:出発式で記念のテープカットに臨む関係者=余呉町のやまなみセンターで】
余呉町で「おらが村のバス」のあり方が模索されている。住民が設立した「余呉バス」が11月1日、町の委託で民間会社が運行してきた3路線を引き継いだ。今後、住民と町、同社が話し合いながら運行形態を見直していく。
「住民が主体となり、住民が応援していくバスという画期的な取り組み」。同日朝、町やまなみセンターで開かれた出発式で、二矢秀雄町長が満足げな表情を浮かべた。
バスの再編問題が動き始めたのは昨秋。町が委託してきた湖国バスへの事業費負担は、利用客の低迷で年間2000万円以上に上っていた。厳しい財政状況の中、町は運行の見直しに向けて住民と会合を重ね、有識者も含めた研究会を設置した。
当初は路線廃止も選択肢にあったという。が、住民からは「バスがなくなったら町を出て行くしかない」との切実な声が相次いだ。
行き着いたのが余呉バスの設立だった。バス会社に長く勤め、必要な免許を持つ木下重樹さん(56)=同町上丹生=が社長に就任。資本金のほぼ全額を出資し、乗務員を含む社員6人を町内から集めた。
路線やダイヤは当面そのまま。運賃は最大で40円増加するが、中高生は一律200円で乗れるなどの新サービスも実施。町の負担額は、年間500万円程度削減できる見込みだ。
住民50人による「余呉のバスを育てる会」や町と意見を出し合い、半年ごとに運行形態を見直していく。
木下社長は「来年4月にも地区によっては予約制のデマンド方式の導入や、乗り放題をはじめとする割引サービスを検討している」と話している。 (多園尚樹)
【関連ニュース番号:0810/190、10月29日】
(11月2日付け中日新聞・電子版)
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20081102/CK2008110202000008.html