■稲枝地区から新たな支援活動
=カンボジアこどもの家の栗本さん=
何の罪もない子どもたちが大人たちに売られていく悲惨なカンボジア社会の歪みを訴え、一人でも多くの子どもたちが大人社会の闇の犠牲にならないよう現地で支援を続けていた近江八幡市出身の栗本英世さん(57)が、このほど彦根市田原町に住居を移して日本からできる支援活動をスタートした。
栗本さんは、近江八幡市立西中学校卒業後、上京。働きながら勉学をめざしたが、学生運動最中で、その機会を失い、海外に出た。
1974年に台湾の大学を卒業後、神学校に進み、キリスト教宣教師となってアジア各国を巡る中で、識字教育の大切さを痛感。86年からタイに入り、教育支援NGOを設立して子どもたちの支援活動を開始した。
96年からはカンボジアに移り、東北部の農村地で孤児を預かる「カンボジアこどもの家」を設立し、貧困で生活苦の子どもたちの世話をしながら教育支援を続けてきた。
三年後には、タイとの国境の町ポイペットに近い農村に初めて「寺小屋」を建設。貧困や身よりのない子どもたちのための学校を開設し、現地人の指導者の育成にも力を入れた。それから十年が経ち、八千人の子どもたちが卒業した。
長年の支援活動が、日本でも知られるようになり、たびだび帰国して大学や全国各地で講演し、日本からできる支援を求めてきた。旧八日市市民大学や市内の学校での講演にも足を運んでいる。現在は、神戸学院大学客員教授、福岡医療大学通信教授、花園大学講師を務める。
05年には、日本での滞在を増やし彦根市にNPO法人・NGOモニティを設立したが、まもなくして病に倒れ、活動の一時休止に追い込まれた。
治療の結果、最近になって病の進行が止まり、元気を取り戻したが、以前のように頻繁にカンボジアに帰ることにドクターストップがかかった。
このため、日本に居ながらできる支援を模索しているなかで、まだまだ使えるのに廃棄される家電品に着目。使えるものをカンボジアに送るリサイクル活動を始めた。
また、引っ越しの手伝いや掃除、買い物、草刈り、倉庫の整理などの作業(一時間二千円)も請負い、それで得た収入を家電品の輸送料に充てている。
回収している家電品は、テレビ、給湯器(ガス、灯油、電気)、パソコンなどのほか、ミシン、編み機、バイクなど。ただし、冷蔵庫、テレビ等リサイクル法の対象製品は有料の引き取りとなる(小型二千円、中型三千円、大型五千円)。
不用家電品の提供や作業の申込みは、カンボジアこどもの家リサイクルセンター代表・栗本英世さん(携帯・080―3110―7745、自宅・0749―43―7756)へ。
(11月11日付け滋賀報知新聞・電子版)
http://www.bcap.co.jp/s-hochi/08-11/n081111.html#3