【滋賀報知新聞・特集:RD問題 真価問われる嘉田知事 (20)】
■電気探査の実績資料は「存在せず」
【写真:平成17年12月にRD処分場から大量のドラム缶が検出された。】
栗東市のRDエンジニアリング社(破産)の産廃処分場問題で、県は周辺七自治会や住民団体の産廃処理問題合同対策委員会に対する第三回目の住民説明会において、処分場内にあるドラム缶などの有害物を、掘削を行わない替わりに、高密度電気探査(電探)やケーシングで調査し、有害物が見つかれば除去することを、処分場をしゃ水壁で囲む県の対策案に新たに追加して、地元合意を迫っている。しかし、専門家の間からは、電気探査より掘削をとの指摘がなされている。 【石川政実】
高密度電気探査は、地盤に電流を流して、地盤内の電気的特性の変化によって発生をする電位の変化を測定し、得られたデータを解析するもので、地下構造を探査する方法の一つである。
九月定例県議会で、共産党の西川仁県議は「平成十三年に県が同処分場で実施した電気探査では(地下五メートル下にあった)ドラム缶すら見つけられなかったではないか」と質した。
これに対し西嶋栄治・県琵琶湖環境部長は「今回、高密度電気探査の調査を予定している業者(K社)は、鉛直および水平方向に感度の良い方法を組み合わせて、ジョイント解析を行うことに長けており、ある程度、固まった有害廃棄物等の位置を推定することについて、産廃特措法を使った他府県の支障除去事例で多数の実績を上げている」と答弁した。
このため住民らは先ごろ、県に高密度電気探査で有害物の種類を特定できた実例と実績の資料を情報公開請求したところ、「資料は存在しない」との回答が返ってきた。
西嶋部長は本紙に「K社の説明では、産廃特措法による支障除去が行われているのが全国で十二か所あるが、このうち同社は五か所で高密度電気探査を行い、高い実績を上げているとのことだった」と弁明した。つまり業者の話だけで、県は高密度電気探査の実績を裏づける資料を持ち合わせていなかったのだ。
ちなみにK社は青森・岩手県境の産廃不法投棄現場で高密度電気探査を行っている。
同現場の対策にかかわっている八戸工業大学工学部の福士憲一教授は本紙取材に対し「青森県現場でもこの夏、コンクリートの固まりが三十八個出たが、高密度電気探査では見逃していた。また、岩手県でも今年、大量のドラム缶が発見されたが、これも高密度電気探査では、わからなかった。電気探査の側線間隔が密でなかったのが原因と見られているが、やはり電気探査やケーシングでなく、実際に掘削してみないと地中の有害物は分からない」と指摘している。
【関連ニュース番号:0811/145、11月21日など】
(11月27日付け滋賀報知新聞・電子版)
http://www.bcap.co.jp/s-hochi/08-11/n081127.html#1