滋賀市民運動ニュース&ダイジェスト

編集:市民運動ネットワーク滋賀・事務局(TEL:FAX077-522-5415)

【0811/92:淀川水系ダム問題】大戸川ダム、4知事凍結見解:治水政策見直し迫る

2008-11-12 23:53:21 | Weblog

 ◇県内関係者からは賛否

 大戸川ダム(大津市)の建設凍結を求め、滋賀、京都、大阪、三重の4知事が11日、和歌山市で発表した共同見解。国から地方主導に河川政策を変える「地方分権の試金石」(橋下徹・大阪府知事)となる動きで、国に自治体の意向を尊重するよう、治水政策の見直しを迫った。県内の関係者からは賛成、反対双方の意見が上がった。【服部正法、稲生陽、近藤希実】

 ◇現実的な整備を--知事

 嘉田由紀子、橋下両知事のほか、京都・山田啓二、三重・野呂昭彦の4知事が同ダムについて「河川整備計画に位置づける必要はない」と凍結で合意。同日、近畿ブロック知事会議の前に記者会見し、共同見解を発表した(野呂知事は欠席)。

 嘉田知事は会見後、「安全安全と言って、大きな(治水)施設に傾いてきたが、施設だけでは守れない」と話した。そのうえで「現実的に段階的に、できることから整備することが大事だ」と、ダムのような長期間かかる事業ではなく、短期間で着実に治水効果が上がる政策や財政負担も考慮すべきだとの認識を示した。

 ◇反応二つに割れる--県議会

 県議会の反応は二つに割れた。先月の本会議で、近畿地方整備局に淀川水系河川整備計画案を見直すよう求める意見書を24対22の賛成多数で可決。賛成した民主党・県民ネットワークの江畑弥八郎議員は「知事の共同の意見は歴史的な事。いい流れだ」と歓迎。「長期間かかる計画は途中で見直しも必要。道路整備や防災を含め、後処理のシステム作りが課題」と語った。

 一方、意見書に反対した自民党・湖翔クラブの佐野高典議員は「プラスは何一つない。道路や下水道の整備は遅れ、財政難の中で(ダムの代替の)河川改修ができるかも疑問」と反発。滋賀では知事意見に県議会の議決が必要と県条例で定められているが、「12月議会で厳しく追及する」と話した。

 ◇意見に敬意を表す--流域委員長

 国の諮問機関「淀川水系流域委員会」の中村正久委員長(滋賀大環境総合研究センター長)は県庁で「連携して意見を出したことに深く敬意を表したい。(ダム建設を不適切とした)委員会の意見書の趣旨を十分くみ取ってもらった」と評価。4知事が大戸川ダムを凍結とした点は「歓迎する。整備局は委員会、府県と共同で前向きに課題に取り組んでほしい」と求め、他の3ダムに関しては「意見書に挙げた項目に十分配慮してほしい」と注文した。

 ◇地域に説明できず--大津市長

 4知事が共同見解を発表後、目片信・大津市長が市役所で記者会見。「知事に伝えたいのは『聞く耳を持ってほしい』ということ」と批判。「知事の強い意向に押し切られた。他のダムに言及せず、大戸川だけに絞って他の知事に話をしたと受け止めている。自分の言いたい事は言っても、他の話は聞かないのでは、我々は地域に説明ができない」と語った。

 また、近畿地方整備局がダムが中止なら周辺道路に予算をつけないとした点について、「ダムあっての整備で、切り離すことはできない。県道なので、当然県がやるべき仕事」と県をけん制した。

(11月12日付け毎日新聞・電子版:同日付け朝日・京都・読売の電子版なども報道)

http://mainichi.jp/area/shiga/news/20081112ddlk25010473000c.html

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20081111-OYT8T00782.htm

http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000000811120003




【0811/91:ダム問題】「各府県の立場」配慮、川上ダム、4知事合意:知事「大戸川」言葉濁す

2008-11-12 23:35:05 | Weblog

 「建設に基本的に合意する」――。三重、大阪、京都、滋賀の4府県知事は11月11日、川上ダム(伊賀市)計画にゴーサインを出した。計画が動き出してから40年以上が経過し、治水対策としてのダム建設に疑問も投げかけられる中、総事業費約1230億円の大型事業が、着工に向けて一歩を踏み出した。(小泉浩樹、前田智)

 4府県知事の共同意見を発表した和歌山市のホテルに、野呂昭彦(三重県)知事の姿はなかった。

 会見では、ほおを紅潮させた3知事の横で、代理出席の江畑賢治副知事が「川上ダムは、必要性をご理解頂いたことを非常に喜ばしく思います」と知事コメントを読み上げただけだった。

 野呂知事は津市にいた。

 会見の2時間後、自身の肝いりの事業「美し国おこし・三重」の実行委員会会議に出席していた。今回、4府県知事が川上ダム建設で同意したことについて、会議後、朝日新聞の取材に「(川上ダムの)下流域の京都府と大阪府のご理解を得られたのはよかった」とほっとした表情を見せた。

 だが、野呂知事も同意したはずの大戸川ダム(大津市)の建設反対については、言葉を濁した。「自らの県域に入っていない滋賀のことを個別具体的にどうのこうの言う立場にはない」

 もともと、8月に「共同意見をまとめよう」という話になった時、三重県には声はかからなかった。共同意見を提唱した滋賀県の嘉田由紀子知事は大戸川ダムの建設に消極的とみられていて、積極的に川上ダムの必要性を主張してきた野呂知事の考え方とは隔たりがあった。

 三重県が今回、急きょ加わることになったのは、10月下旬、京都府の山田啓二知事から誘いの電話があったためだ。三重県河川・砂防室は「どのような話があったか知らないが、川上ダムに否定的な意見を出すようだったら県としては乗れるわけがない」

 合意内容は、川上ダムの流域ではない滋賀県が建設に賛成した代わりに、同じく大戸川ダムの流域ではない三重県が建設反対をした形だ。野呂知事は「各府県の立場をみんなで考え合意した。あるべき広域連携の姿だと思う」と強調した。

◆地元・伊賀には賛否◆

 地元の伊賀市では、今回の共同意見への賛否が分かれた。

 川上ダム建設促進期成同盟会の西山甲平会長は「ちょっと明かりが見えたかなと感じる。できるだけ早く正式な計画を策定し、早期着工、早期完成をお願いしたい」と歓迎した。

 一方、環境破壊につながり、治水や利水などにも不要と、ダム建設に反対しているNPO法人「伊賀・水と緑の会」の畑中尚理事は「4府県知事が大戸川ダム建設に反対したのは大きな前進と評価しているが、川上ダムもそうならなかったのは残念。今後もダム建設中止を目指して運動を続ける」と話した。

 10月に発表された淀川水系流域委員会の最終意見書で、川上ダムは「建設は不適切」とされている。ダムよりも弱い部分がある堤防の強化を優先実施するべきだと指摘してきた同委員会の宮本博司前委員長は「治水、利水、環境などで流域委員会が言ってきたことは課題として残っている。今日が見直しのスタートであり、今後の具体的な作業を注視したい」と話した。

◆本体工事完成15年度見込む 近畿地方整備局◆

 近畿地方整備局は、できるだけ早い時期に4府県知事と奈良、兵庫両県知事の意見を聴いたうえで、河川整備計画を策定する方針だ。

 計画ができれば、水資源機構が、計画に合わなくなっている古い事業実施計画を整備計画に沿った形に変更し、本体工事に取りかかる。完成は15年度を見込んでいる。

 ただ、大戸川ダムが建設反対とされたため、同整備局は「河川整備計画策定がいつできるかわからない」。国と県で巨額の費用負担をどう分担するかも不透明だ。

●川上ダム建設までの今後のスケジュール

近畿地方整備局が4府県知事に加えて奈良、兵庫の知事の意見を聴取
           ↓              
近畿地方整備局が淀川水系河川整備計画を策定
           ↓              
水資源機構が事業実施計画を整備計画に合わせた形に変更           
           ↓              
川上ダム本体工事に着工。完成は15年度の見込み

【関連ニュース番号:0811/87、11月11日など】

(11月12日付け朝日新聞・三重県版・電子版)

http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000000811120003


【0811/90:労災事故】「TOTO工場の労働実態教えて」、労災事故遺族がチラシ

2008-11-12 00:18:15 | Weblog

 大手衛生陶器メーカー「TOTO」滋賀工場(湖南市朝国)で07年5月、西野尾茂信さん(当時39)が機械に挟まれ死亡した労災事故をめぐり、同社に損害賠償を求める訴訟を起こした両親が11月10日、工場での労働実態について情報を求め、工場近くのJR三雲駅前でチラシを配った。

 両親らによると、茂信さんは93年4月から滋賀工場で働いていたが、TOTOとの直接の雇用関係はなかった。事故を調査した東近江労働基準監督署は、茂信さんの労働実態について、TOTOが指揮する「偽装請負」だっだとする見解を出した。だが、TOTOは訴訟で「指揮していない」と争う姿勢を示している。

 父親の末吉さん(73)は「真実を知りたい。話しにくいと思うが、工場で働く人たちに協力してもらえたら」と話す。労働組合に入っていない非正規雇用の労働者は、労災事故に発生状況を知ろうとしても協力を得にくい事情があるという。訴訟の第1回口頭弁論は、13日午後1時10分から大津地裁である。

(11月11日付け朝日新聞)