一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

4時から男(後編)

2017-02-18 00:52:02 | 新・大野教室
Shin氏とはいつも拮抗した内容になるが、最近は私の勝利が多い。Shin氏もそこを気にしているが、あまり気にし過ぎても勝利の女神から見放される。

第1図までの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△2二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△8六歩▲同歩△同飛▲9六歩△7六飛▲7七桂△7四飛▲6五桂△8八角成▲同銀(第1図)

Shin氏は何でも指すが、今回採用したのは相がかり。私も追随したが、12手目△2三歩が私流。▲3四飛なら角を換わって△2五角の予定だ。
▲6五桂はこう指すだろうと思った。

第1図以下の指し手。△3三桂▲8六角△7五角▲同角△同飛▲5三桂成△7八飛成▲同飛△8六角▲4八玉△5三角(第2図)

私は△3三桂と跳んだが、これは考え過ぎた。▲5三桂成は△8六角があるが、ふつうに△4二銀だったかもしれない。
というのは、Shin氏に▲8六角と先着され、桂を成られてしまったから。
私は飛車を切って△8六角だが、この二枚換えは後手が得していない。見ようによっては、指し切りにも見える。

第2図以下の指し手。▲8二歩△同銀▲8三歩△7一銀▲8二角△9二金▲9一角成△同金▲5六香△5二歩▲5三香成△同歩▲7四歩△同歩▲同飛(第3図)

Shin氏は▲8二歩から反撃する。▲8二角には△9二金と受けて続かないだろうと思ったら、香を入手して▲5六香があった。これは角と香が私の駒台に乗るから私のほうが得をしたようだが、大事な金が9一に取り残されたのが痛い。

第3図以下の指し手。△4四香▲3八銀△7三歩▲7九飛△4五桂▲4六歩△6八角▲4五歩△同香▲4七歩△7九角成▲同銀△8九飛▲6八銀△9九飛成▲2一飛△4四香(第4図)

先手は▲3四飛を狙っていると思ったので、それを防いで△4四香。これでやや差が詰まったと思った。
△7三歩▲7九飛にはスキありと感じて△4五桂と跳ねた。▲4六歩には△6八角が狙いの手。以下桂損はしたものの先手を歩切れにし、飛車を入手したところでは、互角に戻したと思った。
▲2一飛には2度目の△4四香。とにかく泥臭く攻める。

第4図以下の指し手。▲5九桂△6九竜▲8六角△6二玉▲1一飛成△8五歩▲7七角△6五桂▲9五角△9四歩▲8七角△8九竜▲6五角△9五歩(第5図)

△6九竜の銀取りにShin氏は角を打って守りにくるが、私はその角を責める。なんとなく流れはこちらに来たようだ。
その角を取りきって、よくなったと思った。

第5図以下の指し手。▲5六桂△6九竜▲5八金△3九角▲4九玉△2八角成▲4四桂△3八馬▲同玉△5八竜▲4八香△4九銀▲2七玉△4八竜▲4六歩△2四香(投了図)
まで、96手で一公の勝ち。

▲5六桂はほかに手があったと思うが、ここではもう先手がわるい。
私は再度の△6九竜から△3九角。これには▲同玉△5八竜▲4九香を考えていたが、それでも私が優勢だろう。
以下△2四香まで私の勝ちとなった。

感想戦はOg氏を交えて行われた。私は中盤まで形勢を悲観していたのだが、Og氏の見立てではそうでもなかったようだ。
私が形勢を挽回したのはShin氏が53手目7九に飛車を引いたからで、これ以外の位置だったら私が負けていただろう。またその次の▲4六歩も、黙って▲5八金と上がられたら、後手の攻めは切れていた。
指し手進んで71手目にShin氏は▲1一飛成としたが、ここは▲4一角(参考図)と打ったほうが綾があったようだ。

しかしこれも検討の結果、後手が残している、の結論が出た。が、これは感想戦でさんざんつついて絞り出したもので、実戦ではどう転んだか分からない。

大野八一雄七段とW氏も戻り、これで今日の将棋は終了。3時50分から8局指して3勝5敗はまずまずか。勝ち負けはともかく、8局も指せたことが驚きだった。
食事は大野七段、W氏、Og氏、Hon氏、Tod氏、Shin氏、Hat氏、私の8人。駅近くのインドカレー屋に行った。私は精神的にアレなので食欲はないが、カレーだったら流し込める。
もっともここのカレー屋はライスとナンがおかわり自由で、ついおかわりしてしまった。
食後の話題は、翌週に迫った埼玉県支部対抗戦のことなど。私はそのころ北海道にいるので関係ないが、出場する選手は頑張ってもらいたい。
「ここ3日間の教室で私が負けたのはHonさんだけだよ」
と大野七段。先日の当ブログに大野七段が発奮したわけでもないだろうが、すさまじい戦績である。
考えてみたら私もこのところ、大野七段に全然勝てていない。次は何とかしたい。
コメント (3)
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4時から男(中編)

2017-02-17 12:55:36 | 新・大野教室

傍らではU君のお母さんが、さりげなく戦況を見守っていた。
第1図から私は△4五同銀と取った。が、これがとんだスッポ抜けだった。
以下▲同桂△5七歩成となって後手も指せると思ったのだが、▲3二銀と打たれておのが錯覚に気付いた。ここで△3三金を読んでいたのだが、▲4五桂があるので無効なのだ。
さりとて△5四金では▲5七飛で何をやってるのか分からない。よって△5八歩と打ったが、▲4三銀成△5九歩成▲4二成銀で大勢決す。数手後に投了した。
Sar戦もU戦も前日は互角以上に戦えたのに、今日は全然ダメだ。
6局目はOg氏に教えていただく。
「今日の成績はどうですか」
「勝ったり負けたりです」
「勝ったり負けたり?」
そう言われて考えてみたら、今日は初戦に勝っただけだった。
Og氏は振り飛車党だが、本局は中飛車に振った。私の居飛車明示にOg氏が△4二金と立ったのが珍しい。
私は▲3八飛と回るが、Og氏は△4五歩と先攻してきた。

第1図以下の指し手。▲4五同歩△8八角成▲同玉△5五歩▲同歩△同飛▲4八飛△3三桂(第2図)

私は▲4五同歩。△8八角成で形はわるくなるが、1歩得だから不満はない。

第2図以下の指し手。▲4四歩△3二銀▲3七桂△3五歩▲4六銀△5八飛成▲同金△3六歩▲4五桂△3七歩成▲4九飛△3六角▲5九歩△3八と▲4七飛△5六金(第3図)

▲4五歩取りなので私は▲4四歩と突いたが、後手の飛車の横利きが通ってよくなかった。
ここは▲4六銀を考えていたのだが、△同飛(錯覚)▲同飛△5五角で負け、と読んだのだからお話にならない。U戦の△4五同銀といい、読み抜けが多すぎる!
△3七歩成に▲同銀は△5五角で負けなので▲4九飛と辛抱したが、これでは先手さえない。以下Og氏に気持ちよく攻められ、早くも敗勢となった。

第3図以下の指し手。▲7五角△4七金▲4二角成△5八金▲同歩△同角成▲7八金△4五桂▲同銀△6四桂▲3二馬△4八飛(第4図)

私は苦し紛れに▲7五角と打った。以下も攻め合いに来られて苦しいが、こちらも金を取れたのは大きい。これで少しは形になったと思った。
Og氏の△6四桂はやや失着。私は△7六桂を防ぎつつ▲3二馬と銀を取った。Og氏は見落としに気付いて天を仰いだが、こちらも馬筋が変われば△7六桂が飛んでくるので、あまり得した感じはなかった。
△4八飛に次に一手は。

第4図以下の指し手。▲7九金打△5六歩▲5九歩△6八馬▲同金上△5七歩成▲同金△6九銀▲5八金△7八銀成▲同玉△4五飛成▲3一飛△4八と▲6八金(第5図)

▲7九金打はもったいない気がしたが、▲7九銀打には△6九金が見えて指せなかった。
Ogは筋よく寄せてくる。私は仕方のない応手が続き、半分諦めていた。

第5図以下の指し手。△5六桂▲6九金△6八銀▲同金△同桂成▲同玉△5九と(投了図)
まで、Og氏の勝ち。

Og氏は△5六桂と跳ねる。△7六桂が利かなかったからこちらで活用したわけで、さすがの駒の使い方である。
私は銀桂と駒台に乗せたが、金が持駒にないと、後手玉に詰めろがかからない。この辺りは本当にもどかしかった。
△5九とで、先手玉は一手一手。凌ぐ手を考える気力がなくここで投了した。が、Og氏に「エーッ!?」と叫ばれてしまった。
横で見ていたShin氏が、「▲7七玉はないですか?」と言う。
調べてみると意外に難しかったが、先手の負けには変わりはない。それに私の実力では▲7七玉は見えなかった。ということは、どちらにしても私の負けということだ。
感想戦では序盤からみっちり教えていただいた。
「▲4四歩に△3二銀は、ここに引けるのがミソでしてね、脇先生の四段昇段の自戦記がこの形でした」
そんな昔の記事を憶えているとは、私は驚くばかりである。元奨励会の情報量はかくもすごいのだ。
第4図まできて、Og氏は▲5九銀打を指摘した。△同馬なら▲同銀で飛車取りの先手が残る。何より金を温存しているので、後手玉に詰めろがかかりやすいのだ。
本譜は私に金がなかったため、一手スキがかからずどうにも手の施しようがなかった。
結局私の敗着は、後手が△4二金と構えていたにもかかわらず▲3八飛戦法を採ったこと、となった。
作戦の岐路の段階で敗着の烙印を捺されるとは…。奨励会経験者の目は厳しいのであった。

気が付くと大野八一雄七段とW氏がいない。どこかに買物に行っているようだ。でも私たちには将棋盤と駒があれば、組み合わせを替えていくらでも対局するのである。7局目はTod氏と指す。これも終始難しい戦いだったが、私の勝ち。
隣はHon―Shin戦だが、振り飛車穴熊のHon氏がなかなかの指し回しを見せている。しかしShin氏も妖しく迫り、私はShin氏持ちだったが、Hon氏が勝った。Hon氏、前日は大野七段に勝っているし、今絶好調である。
大野七段らはまだ戻ってこない。それで、Shin氏と指すことにした。
(つづく)
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4時から男(前編)

2017-02-16 12:49:24 | 新・大野教室
今朝未明に見た夢を簡単に記しておく。
サザンオールスターズの桑田佳祐と原由子が何かを歌っていた。
場面変わってウチの玄関に猫が入ってきた。虎の縞模様だった。私は慌てて追い出すと、その猫が出て行くとき、子猫も見えた。縞模様は同じだが、その色は白かった。
そこで目が覚めたのだが、押し入れのカーテンがカサッと鳴った。ネズミがいるような気がしたが、この季節にネズミはいるまい。
時刻は6時15分ぐらいだったか。ビビるよりも眠気が勝って、私は再び眠りに落ちた。

   ◇

大野教室は昨年9月のシステム改正で、午後4時からの割引制度を新設した。すなわち大野八一雄七段との対局はなく生徒同士の対局のみとするもので、席料も2,000円と安い。教室は6時までだが通常7時半ごろまでやっているので、早指しですっ飛ばせば数局指せるという寸法だ。
私は会社廃業の件で精神的に参っており、家にいたくない気分だ。とはいっても観たいテレビもあり、今回初の夕方入室を採ったわけだった。
教室には3時50分に入った。まだ4時には早いがW氏が早速対局をつけてくれた。
1局目はE氏との飛車落ち戦。E氏は将棋に真摯に取り組んでいるがマジメすぎるのが玉に瑕だ。
対局開始。私は定跡通りに指したが、前日のKom君との将棋と同じく、△8五歩と伸ばしてみた。と、E氏も▲8六歩△同歩▲同角とやってきた。
これは下手の角筋が逸れるから上手がトクだ。私は△5五歩と脅かしてみた。E氏は熟考後▲4七銀と引いたが、逸機。ここは強く▲同銀と取り、△6五歩の銀バサミには▲4五歩と一手早く攻めて、下手が十分以上の戦いができた。
本譜もむずかしい戦いになったが、私に余裕があった分だけ利があった。E氏捨て身の攻めに私の玉が上部に逃げて制勝した。
局後は大野七段が検討に加わってくれた。生徒同士の対局で2,000円はやや高いが、このアドバイスがその特典といえる。大野七段の教えはとても勉強になった。
書き遅れたが今日も生徒はいっぱい。Shin氏は私に「4時から来たんですね」と言った。
ほかにも前日からの連投組もいて、その情熱には本当に頭が下がる。将棋後の食事(お茶の時間)を楽しみにしている私とは次元が違うのだ。2局目はKom君と。前日はうまい将棋を指されたので、本局は気合を入れた。
Kom君の指し手はひ弱だが、平均点以上の手を指す。ただ、若干指し手のテンポが遅い。
本局も私が誤魔化し、徐々に飛車落ちのハンデを詰めていく。勝勢になったが勇み足があり、かなり形勢が接近した。が、私が正確に指せば勝てるという局面である。
最終盤、私が△6二歩と受けて勝ったと思ったのだが、Kom君は▲6二銀成△同金にさえた手つきで▲同角成とやってきた。
△同玉に▲6三銀! これで詰んでいるのか?

Kom君、ふだんはペチャペチャした手つきだが、自信がある手の時は、プロと見紛う手つきになる。これに私が惑わされた。第1図から△5三玉と逃げたが、敗着となった。
以下▲5二金△6六玉▲6五歩△同玉▲7七桂△6四玉▲6五銀△7三玉▲7四銀上△8二玉▲8三銀成まで、Kom君の勝ち。
第1図ではいったん△7三玉と狭い所に逃げるのが正着だった。以下▲7二金△6四玉▲6五歩には△5三玉と逃げ、今度は▲5二金が打てないから上手の勝ちだった。
反時計回りに玉を逃げるのが正解、というお話だった。
3局目はSar君と。「昨日のリベンジで」とW氏が軽口を言うが、リベンジも何も、前日の将棋は私が勝手に転んだだけで、そういう言葉では片づけられない。
私の先手で、Sar君はもちろんゴキゲン中飛車。私は前日に続き鳥刺し戦法を採ったが、今日はうまくいかない。角道を開けてないので▲7九角から使うが、意外に活用が難しい。
お互いに桂を跳ね、私は▲3五歩△同歩▲3四歩と桂得を目論んだが、Sar君に攻め合われてみると私のほうが悪いのに愕然とした。
以下は例によってSar君の攻めを受け損ねて負け。もっとも感想戦では、ここで正着を指しても私に勝ち目はなかった。
本局、近くで大野七段が見ていたようだが、無様な将棋をお見せしてしまった。もう鳥刺しを指すことはないと思う。
4局目は見慣れぬ少年と二枚落ち。私はほぼ定跡通りに指す。しかし少年の指し手が完璧で、私は変化のしようがない。私の右金は△7六まで進出しているが、下手には脅威になっていない。左銀は△3一にいて△4二銀と活用できるのだが、その切り札さえ行使できずにいた。
そこで私の△6四銀がマズかった。というのは下手に▲5五歩△同歩▲同銀△同銀▲同角と捌かれてしまったから。△6四銀では当たり障りのない手を指して戦いを長引かせるのだった。
以下△5四歩▲6四銀△5二玉▲4六角△7二歩に、▲7七歩の金取りが好手。▲6四に銀がいるので、これで上手の金が死んでいる。これで大勢決した。
以下は少年の的確な寄せに土俵を割った。
少年、超早指しで、憎たらしいくらいの強さだった。風貌は阿部光瑠六段に似ていて、アマ初段はラクにあると見た。
「もう一局!」
久しぶりの完敗に私は叫ぶ。しかしW氏は冷静で、私にU君を当ててきた。
私の後手で、中飛車に振ってみた。イメージは先日の植山悦行七段の指し方である。
U君はもちろん銀冠で、私はややウンザリ。私は8筋に飛車を回り、歩と桂を交換する。しかし▲8四桂の王手も生じるし、これが後手の得になっているようにも思えなかった。
U君は▲4五歩(第1図)。ここで私が敗着を指す。

(つづく)
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2月4日の大野教室(後編)

2017-02-15 12:45:21 | 新・大野教室

第1図以下の指し手。▲8八角△7七歩▲同桂△7四銀▲3三歩成△同金▲7六飛△7五歩▲3六飛△3四歩
まで、岡井奨励会三段の勝ち。

私はノータイムで▲8八角と引いた。岡井三段は△7七歩。私はありがたく▲同桂と取り、△7四銀に▲3三歩成とした。
だが△3三同金に二の矢がない。仕方なく▲7六飛と回り1歩を使わせたが、▲3六飛にじっと△3四歩が味な好手だった。次の△3五銀が受けにくく、飛車を取られたら下手に勝ち目はない。が、飛車を助ける思わしい順がないのだ。
これ以上指し手も無意味で、戦意を喪失した私はここで投了した。
感想戦。岡井三段は、第1図で▲4六角がイヤだったという。
「あっ!」
「これで△2四銀が助からないんですよ。△2三金なら▲2四角△同金▲3三歩成で。△5四金と指した瞬間に▲4六角に気付いて、アオくなりました」
「うーむ!!」
「その前の△3一玉が悪手で、受けてるつもりが受けになっていませんでした」
「そうかー、いやこっちかァ。▲4六角の筋も考えてたんだけど、ここで利くとは思わなかった。でもその後もおかしかったですか?」
「△7七歩には▲同角で。以下△8五桂に▲3三歩成といきます。△同桂なら▲8六角で、次に▲3四歩を狙う。△3三同銀なら▲同角成△同金▲2五桂…」
「そうか、これは下手が勝ちですね」
▲8八角はノータイム。次の▲7七同桂もノータイムだった。急所の局面でこれだけ手拍子があっては勝てない。岡井三段はよく手が見えて、さすが奨励会三段だと思った。
さっきHon氏が来ていたのだが、もう姿がない(帰宅)。だが大野八一雄七段に飛車落ちで勝ったそうで、実力のあるところを見せた。
もう夜の帳は降りているが、私はまだまだ指す。7局目はU君と。U君の先手で、相矢倉になった。U君は▲7九角から▲3五歩。U君得意の形で、私は当然△4五歩と反発する。
というわけで私たちはこの形を何回も指しているのだが、先手はほかにも指しようがあるところ。しかしU君は▲3五歩にこだわり、後手としてはここにつけ入る隙があるとみる。

以下虚々実々の駆け引きがあったが、私が5~8筋から巧妙に動き、銀桂交換の駒得を果たし、有利になった。がここからU君が妙な力を出し、第2図は終盤戦。

ここから▲6一飛△5二竜▲6六角△5五歩▲9一飛成△4六角▲4四桂まで、私は投了した。
最後の△4六角が悪手で、△4四角とこちらから打つのだったか。最終▲4四桂を見落としており、戦意喪失した。
感想戦には大野七段が加わってくれた。おもに中盤を見てくれたのだが、私が駒損を覚悟で受けに回ったところでダメを出された。形は悪くなっても玉の広さを主張して我慢すれば、まだ互角以上に戦えたようだ。
「駒を損しながらの受けは大抵ダメなんだよ」
と大野七段。
棋士のアドバイスは、本に載っていない「格言」が多く、とてもためになる。本局の敗戦も痛かったが、次の勝利へのステップになると思う。
もうアガリでもいいのだが、周りがまだ指しているので、私ももう少し指す。8局目はKom君と。私の飛車落ちで、定跡通りの進行になった。
が、私は稚気を起こして△8五歩と突いてみる。下手の▲8六歩~▲8七銀を阻止するものだ。
とたんにKom君が渋い表情になり、しばらくして▲8六歩△同歩▲同角とやった。
驚くべきはそこからで、▲7七角~▲8七銀~▲8六歩と、強引に先の形を構築したのだ。
Kom君、ちょっとこの形に固執しすぎである。以下は私が角銀交換の駒得を果たし、上手勝勢になった。…が、ここからのKom君の差し回しが絶妙だった。

第1図以下の指し手。▲3三歩△同角▲4五桂△5一角▲5二銀△6二角▲3三桂成△5三金▲3四成桂△同金▲6一銀打△8三玉▲5四歩△同金▲6三銀不成(投了図)
まで、Kom君の勝ち。

▲3三歩の垂らしが好手。私は△同角と取るよりないが、Kom君は流れるような手順で、私を追い詰めていく。▲5四歩から▲6三銀不成が最後の決め手。これ以上指し手も記譜が汚れるので、私はここで投了した。

時刻は7時半を過ぎ、さすがにお開きである。今日は8局指して3勝5敗。やはり3局目のSar戦の敗戦が痛く、以降はあまり気が乗らなかった。
さて、食事である。メンバーは大野七段、W氏、佐藤氏、Tod氏、Taga氏、Shin氏、Kom君、私の8名。だが、私が駅前で大福を買っている間にみなとはぐれてしまった。その間みなはいろいろ店を探したようで、最終的に「かつや」に落ち着いた。
私は「かつや」に入るのが初めてである。かつ丼は490円(税別)とリーズナブルだ。私はそれにとん汁を付けた。私も随分偉くなったもので、けっこうな贅沢である。
かつ丼はたれがやや甘めだったが、値段相当の味で、旨かった。
店を出るとOg氏が待っていた。今まで仕事で、ようやく解放されたらしい。ここでTaga氏が帰り、入れ替わりで結局8人となった。
向かいの喫茶店でおしゃべりしてもいいのだが、10時閉店なのがネックだ。私はもっといっぱい話をしたいのである。それで、久しぶりに「ガスト」に行った。
ではここで、席の配置を記しておこう。

     壁
佐藤 Shin W Og
  □    □
Tod 一公 大野 Kom

ここでの話がまたバカバカしいことこの上なかったのだが、それだけにここには書けない。
ただ、佐藤氏の話があまりにおもしろかったのと、今回の参加者の中に、西山朋佳奨励会三段の異常なファンがいたことを記しておこう。
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2月4日の大野教室(中編)

2017-02-14 12:43:29 | 新・大野教室
(11日のつづき)
私は秒読みに入ってまったく手が見えなくなり、相手に角を渡したり▲6五歩などの一手パスをやったりして、形勢は接近。いやひっくり返った。

第2図以下の指し手。△6七角▲8八玉△9六桂▲9七玉△8八銀▲9六玉△9四香▲同成香△7六角成▲7二飛成△同玉▲8三成桂△同玉▲9五桂△7二玉▲8三銀△6二玉▲2二竜△4二金
まで、Sar君の勝ち。

Sar君は△6七角。▲8八玉には△8九金もあったが、以下▲9八玉△9五香▲9七歩で逃れてそうだ(…というのは誤りで、△9五香に代えて△9七歩▲同玉△9五香▲9六歩△8八銀以下詰んでいたと思う)。
Sar君は△9六桂と追い、△9四香の犠打。私は▲同成香と取るしかなく、後手玉への詰めろが解けてしまった。
そして△7六角成が詰めろ。私は指す手に窮し▲7二飛成から迫ったが、これは詰まない。以下△4二金まで投げた。この将棋を負けるとは…。
「ボクが悪かったですよね」
とSar君。
いやいや悪いどころじゃないって。それを言うなら「ボク負けてましたよね」と言うところだろう。
「▲9三金と打ってもらって助かりました」
とSar君。
「そうそう、ここは▲6一飛成△同銀▲9三金で詰んでたでしょう」
私は勢い込んで返したが、Sar君は無反応だ。この順はあまり読んでいなかったようだ。
私は感想戦を終わらせ別の盤で検討していると、4時から男のShin氏が盤の前にきた。Shin 氏は近くで対局しており、私の将棋を見ていたのだ。
「ひどい将棋を指したよ。これを負けたら勝つ将棋がないってやつだよ」
私が愚痴ると、Shin氏はケラケラ笑う。その後二人で▲6一飛成の変化を検討したが、すぐに私の勝ちと結論がでた。私がクサリまくったのは言うまでもない。
4局目は大野八一雄七段に角落ちで教えていただく。しかしこういう場合は前局のショックが尾を引き、ロクな将棋にならないものだ。
私は居飛車の作戦。2筋の歩を換え▲2五飛と引く。高飛車で留めるのは私が時折用いる作戦である。さらに▲3七桂~▲4五桂。開始20手目にして早くも決断した。
これには△4四銀の一手とフンでいたが、大野七段は△6二銀。以下△6五歩~△6四金~△5五歩から△4四歩とされ、桂を殺されてしまった。
私も中央から反撃したが、桂損は大きすぎた。大した勝負所もなく、負け。
指導対局は安くないということもあるが、将棋はもっと大切に指さねばならない。前局の後遺症があったとはいえ、この将棋はいただけなかった。

5局目はShin氏と。Shin氏は何でも指すので作戦が立てにくいが、それだけに楽しくもある。本局は私の先手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩。ここでShin氏は△4四歩と止めた。以下、四間飛車に振る。いままでありそうでなかった戦型だ。
私は▲4六銀と急戦に出る。▲3五歩にShin氏は△4五歩。以下▲3三角成△同飛▲3四歩△同銀▲5五銀と進んだが、△3四同銀では△3四同飛と取られたほうがイヤだった。これだと銀取りと△3九角が残って、私が忙しかった。
本譜はなかなかにアツい戦いが展開されたが、私は少しずつ自分が悪いと思っていた。
第1図はShin氏が△4九角と放ったところ。

以下▲5八歩△3八角成▲5九銀と進んだが、▲4八銀が活用できたので、私が得をしたと思った。
以下も難しい戦いが続いたのだが、最後は私の勝ち。私としては▲1六飛が敵陣に侵入できたのが大きかった。
感想戦で真っ先に戻されたのが第1図だったのだが、Shin氏は▲1六飛を取る気は全くなかったらしい。私は飛車を持たれるほうが実戦的にイヤだったのだが、ここが実戦心理のおもしろいところである。
6局目はいよいよ岡井奨励会三段に教えていただく。
岡井三段は昨年10月に昇段した大野門下期待の新鋭。門下初の四段として、かかる期待は大きい。
駒を並べ終わって、「手合いは、ひら…」と岡井三段がつぶやく。みなまで言わせず、角を落としていただいた。
対局開始。岡井三段はこれで3面指しになったが、そんなわけでポンポン指す。
私はプロ棋士に100局以上角落ちを教わっている。その大半は植山悦行七段と大野七段だが、どうしてもその2人と比較してしまう。岡井三段はまだ角落ちの上手を指しなれてないふうだが、初々しいともいえる。つまり彼に勝てるチャンスは今のうちだが、大野七段は私が入室した時、「奨励会員は厳しく指すよ」と言った。とすれば、やはり下手に分が悪いということになろうか。
私は居飛車の急戦風。岡井三段は平手感覚で指している感じがした。
将棋は中盤にさしかかる。ここまで上手の脅威を感じることもなく、まあまあ構想通りに指せていた。
岡井三段は△5四金と角取りに進出してきた。次の手はもちろんノータイムで指した。

(つづく)
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