一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

LPSA麹町サロンin DIS・堀女流2級に教えていただく(後編)

2019-09-12 00:20:58 | LPSA麹町サロンin DIS

第6図以下の指し手。△7六歩▲8七玉△7三金▲5六馬△同桂▲5三金(第7図)

指導対局を受けていると、一目は「この手」なのだが、ちょっと考えれば「あの手」がある、というケースがある。私はそれを承知で着手するが、「あの手」を指してくれるなよ……と内心はビビリまくる。そんな状況が加藤桃子女流三段戦でもあった。
本局はここで、△7六桂がイヤだった。▲7九角の一手だが、A△6八金は▲同角△同桂成▲同玉△4八角で下手自信はないが、何とかなりそう。
B△6七金打も恐く、イ▲同飛は△同金▲同玉△6九飛で下手負けと読んだ。今考えれば以下▲7八玉(▲6八銀は△同桂成▲同角△5九銀でめんどう)△7九飛成▲同玉△6七歩に▲7一飛で下手が勝ちそうだが、実戦では私は指せない。よってロ▲8七玉だが、△6八桂成(参考A図)と指されたら、以後どう指していいか分からない。

また黙ってC△6七歩もある。とにかく△7六桂と跳ねられたら、私は相当混乱したに違いなかった。
しかし堀彩乃女流2級はこちらを向くと、すぐに△7六歩と取り込んだ。この瞬間、私の心配は杞憂に終わった。まあ、歩で王手をしたくなるのは人情だろう。
ここで堀女流2級は△7三金。なおも馬を取りにきた。これには▲6五馬の辛抱もあったが、そろそろ反撃に転じたくなり、▲5六馬と切った。
これで上手の一手を無駄にできる。大駒を切る要諦はここにあると信じた。
返す刀で▲5三金。本局、初めての攻めである。先に5四に歩を垂らした時の狙い筋、「▲5三X」が実現したわけだ。
しかしこれにもイヤな手が見えていた。

第7図以下の指し手。△5三同金▲同歩成△6八桂成▲6二と△6九角▲9八玉△8七金▲同飛△同角成▲同玉△5七飛▲7七歩△8五歩(第8図)

第7図では△5二金がイヤだった。これにA▲6二金△同金▲7一飛は△6一歩がピッタリで、以下▲8一飛成では遅いから▲5三銀ぐらいだが、あまりカナケを渡したくない。
といってB▲5二同金は△同玉で下手指し切り気味。よってC▲4三金△同金▲5三金となるが、これは千日手コースである。
これはこちらが打開すべきか……。そんなことを考えていたら、堀女流2級は△5三同金と取った。すべてを読んで、あえて千日手を回避したのだろうか。
▲5三同歩成△6八桂成には下手玉に詰みなしと見て、私は▲6二とと飛車を取る。堀女流2級は△6九角ときた。
これがナルホドの手で、私は△7八角と思っていた。▲7六玉なら、前者は△5八角成で、合駒請求の筋があるのだ。
だが私は、角打ちにはどちらも▲9八玉で、詰みなしと読んでいた。そう指すと、堀女流2級もアレッ? と考えた。
△8七金と着手したが、▲同飛△同角成▲同玉△5七飛に、▲7七歩で辛くも残している。半分お荷物だった▲3七飛と▲8八角が、ここにきていい働きをした。……わけだが、今考えると、△7八角に▲9八玉は、△8七金でなく△8九角成もある。以下▲同玉△7八金▲9八玉△8八金▲同玉(参考B図)は危ないが、詰みはないようだ。ただ△8九角成が見えていたら私も焦ったはずで、この辺はおのが読みの甘さが幸いした。

堀女流2級は△8五歩。これは私の勝ちである。

第8図以下の指し手。▲5二銀△同飛成▲同と△同玉(途中2図)

▲5四飛△6三玉▲5三飛打△7二玉▲6二金△8二玉▲7一角(投了図)
まで、111手で一公の勝ち。

第8図は▲4三銀で下手勝ちで、社団戦ならそう指す。しかし指導対局なら、最後はカッコよく詰まして終わりたいものだ。
私は▲5二銀と打った。△同飛成▲同と△同玉に▲5三歩で、これだけ持駒があるから詰むだろう。
ところが▲5二銀の局面で、右の将棋が終わってしまった。男性の勝ち。平手で勝ったか!
当然感想戦が始まるが、お陰で私はその時間を、じっくり考えることができる。ただどうせなら、▲5二銀の着手前に終わってほしかった。
もっとも上手玉を詰ますには、▲5二銀から入るしかないのだが……。
右の感想戦は、「トマホークが失敗しちゃって……」と男性が自嘲していた。ああ、あの戦法は、トマホークというのか。男性は嬉しそうだ。指導対局での下手勝利は、下手を幸せにする。
感想戦が一拍空き、こちらも4手進んだ。△5二同玉(途中2図)で、うまい詰みがあるか。
私は▲5四飛と打った。第18棋王戦五番勝負第5局・▲羽生善治棋王対△谷川浩司竜王戦で、羽生棋王が指した最終手(参考C図)を参考にした。

ここで投了してくれてもよかったが、分かりやすいところまで指して、堀女流2級投了。同時に奥の将棋も終わり、こちらは堀女流2級が勝った。

とりあえず私の感想戦である。私は終始自信がなかったが、堀女流2級もそうだったらしい。ただ序盤は作戦成功を認識していたようで、第2図からの△6四歩に私は▲6六銀右としたが、ここはふつうに▲同歩として、△同銀(が堀女流2級の予定)に▲6六歩(参考D図)と収めておけば、一局の将棋だったという。

ただし参考D図は下手にも桂頭に弱点があり、苦労は絶えなさそうである。
角換わりの将棋の人に移り、こちらは軽く感想戦をやって終了となった。男性は帰ってラグビーの試合を見たいらしい。
「私は角換わりの将棋はダメだ」と、その類の棋書を堀女流2級に置いて行った。なかなか粋なことをするものである。
私はもう少し感想戦をやる。中盤は私が金2枚を剥がされ半分戦意喪失だったが、「私も攻めさせられているみたいで……」と堀女流2級は口にした。
ああ、ひとつ確認せねばならない。私が▲5三金と打った第7図である。ここ、堀女流2級は△5二金を全然考えなかったという。

そうか、私は堀女流2級が無理を承知で千日手を打開してくれたと思ったから、これは負担がなくなった。
今回は堀女流2級に教えていただき、至福の時間を過ごすことができた。本当にありがたかった。
あとは右隣の人に、存分に感想戦をやってもらおう。時刻は20時07分。私は味良くサロンを後にした。
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