5日は久しぶりに、LPSA麹町サロンin DISに行った。私は18時30分からの2部の回で、講師は堀彩乃女流2級。
私が7月まで会社勤めをしていた時は、木曜日が18時から会議だったので、サロンにはどう転んでも行けなかった。今回無職に戻ったことで再び麹町に繰り出せるとは皮肉である。とはいえ指導料4,000円と交通費がかかるので、それなりの負担はある。
ちなみに麹町サロンは、10月の消費税増税に伴い、料金を10月から4,500円(一般は5,500円)に改定する。だけど増税分を上乗せするなら、4,074円でなければならない。500円UPとは結構な決断で、これを便乗値上げという。
5日は麹町の前に職安に行き、3社申し込んだ。が、1社は40代半ばまで希望、もう1社は35歳まで希望で、この時点で2社ハジかれた。私くらいの齢になると、応募さえもままならないのだ。それなら前の会社を辞めるなよ、という話だが、あの時はこっちも熱くなり、我が暴走を止められなかった。
四ッ谷駅前の小諸そばで二枚もり(350円)をたぐる。季節はもう秋で、辺りはかなり暗くなっている。私は時間ギリギリに麹町サロンに入った。
先客は2名で、もう序盤の駒組は終わっていた。
「将棋ペンクラブの交流会でお会いしましたね」
と堀女流2級。堀女流2級といえば黒のジャケットがイメージされるが、今日は初秋の華やかな装いである。
「はい、一局お願いしたかったんですけど、先生は人気があって……」
「このサロンもお久しぶりですね」
「はい、もう1年以上前になるかな、先生に吹っ飛ばされまして……」
「私が飛車を振ったのかな」
「……」
1年以上前の指導対局の戦型まで覚えているとは、(女流)棋士の記憶力には、今さらながら恐れ入る。
と堀女流2級をホメたが、堀女流2級が女流2級に昇級したのは2017年3月。女流1級への昇級は年度指し分けだから、堀女流2級はこの2年間、それをクリアしていないことになる。しかし堀女流2級はアマ時代に中井広恵女流六段に勝つなど、実力はあるのだ。あとは気の持ちようで、潮目が変わればいくらでも勝ち星はついてくると思う。
係の女性が、お茶を持ってきてくれた。ほかの2人にはお茶のほかにオレンジジュースも置かれているが、これはもちろん有料である。
平手でお願いし、対局開始となった。
初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲2六歩△4二銀▲4八銀△3二金▲7八金△7四歩▲5六歩△5四歩▲6九玉△4一玉▲5八金△5二金▲3六歩(途中1図)
△3三銀▲6六歩△3一角▲7九角△4四歩▲1六歩(第1図)
ほかの2局は、右隣の人は三間飛車に振り、堀女流2級がイビアナの明示。下手は▲1七桂と跳ね、乱戦模様になっている。
奥の将棋は角換わりで、堀女流2級が右玉に構えていた。
本局は▲7六歩△8四歩。堀女流2級は居飛車党である。つまり前局の中飛車は気分転換だったわけだ。
私は矢倉を指したくなって▲6八銀。昨今は矢倉といっても後手急戦が多く、先手も▲6六銀と繰り出したり左金を▲6七に上がったりと、もはや正調矢倉は絶滅している。
私は先手番に限り、正調矢倉を指したいほうである。本局も相手の出方を見ながら、慎重に駒組を進める。
上手が急戦を目指すなら▲3六歩(途中1図)あたりで△6四歩が相場だが、堀女流2級は穏やかに△3三銀と上がった。これは上手らしく下手の攻めを受けようということだろう。
第1図以下の指し手。△9四歩▲1五歩△9五歩▲3七桂△7五歩▲同歩△同角▲6七金右△7三銀▲6五歩△4二角▲5七銀(第2図)
3局とも堀女流2級が居飛車になったが、戦型がすべて違うのでめまぐるしい。いつもながら、多面指しを指しこなす上手はすごい。
第1図の▲1六歩まで25手。これを「25手定跡」という。平成になって、相矢倉の「91手定跡」なるものもできたがあれは半分冗談で、こちらは昭和50年代まで頻繁に指されていた。これに後手は△1四歩と挨拶するか、△9四歩とこちらの端歩を突くか、はたまた△4三金右か△7三銀か△7三桂か、最善手を考えたらキリがないところ。
堀女流2級は△9四歩。これには▲9六歩と受けたかったが、そうすると上手も△1四歩と受けるかもしれない。後の譜に見られるとおり、私は▲3七桂からスズメ刺しを目指すので、それには▲1三桂成と歩を食いちぎれる△1三歩型がよい。
というわけで▲1五歩としたのだが、堀女流2級も△9五歩。この突き越しはどちらに有利に働くのか。
私は▲3七桂。スズメ刺しへの第一歩だが、堀女流2級は△7五歩ときた。これが大野教室のU君も得意にしている指し方で、後の△7三銀~△7四銀~△7三桂を見る。
私は▲6七金右から▲6五歩。スンナリ7筋の歩を交換させては作戦負けなので、ここから反発したいところである。
△4二角に▲5七銀。ここでは▲6六銀と上がりたいところだが、8筋が薄くなる。下手は▲5七銀~▲6六銀右~▲7六銀を目指したいのだ。ただ▲5七銀の瞬間に角道が止まるのが不満だ。そして何より、予定のスズメ刺しにはもうできない。そう、スズメ刺しは手数がかかるので、今のスピード時代にはそぐわない。また相手も、端に戦力を集中しているところへ、わざわざ玉を持ってこない。堀女流2級も△4一玉型のまま、反発してきた。
(つづく)
私が7月まで会社勤めをしていた時は、木曜日が18時から会議だったので、サロンにはどう転んでも行けなかった。今回無職に戻ったことで再び麹町に繰り出せるとは皮肉である。とはいえ指導料4,000円と交通費がかかるので、それなりの負担はある。
ちなみに麹町サロンは、10月の消費税増税に伴い、料金を10月から4,500円(一般は5,500円)に改定する。だけど増税分を上乗せするなら、4,074円でなければならない。500円UPとは結構な決断で、これを便乗値上げという。
5日は麹町の前に職安に行き、3社申し込んだ。が、1社は40代半ばまで希望、もう1社は35歳まで希望で、この時点で2社ハジかれた。私くらいの齢になると、応募さえもままならないのだ。それなら前の会社を辞めるなよ、という話だが、あの時はこっちも熱くなり、我が暴走を止められなかった。
四ッ谷駅前の小諸そばで二枚もり(350円)をたぐる。季節はもう秋で、辺りはかなり暗くなっている。私は時間ギリギリに麹町サロンに入った。
先客は2名で、もう序盤の駒組は終わっていた。
「将棋ペンクラブの交流会でお会いしましたね」
と堀女流2級。堀女流2級といえば黒のジャケットがイメージされるが、今日は初秋の華やかな装いである。
「はい、一局お願いしたかったんですけど、先生は人気があって……」
「このサロンもお久しぶりですね」
「はい、もう1年以上前になるかな、先生に吹っ飛ばされまして……」
「私が飛車を振ったのかな」
「……」
1年以上前の指導対局の戦型まで覚えているとは、(女流)棋士の記憶力には、今さらながら恐れ入る。
と堀女流2級をホメたが、堀女流2級が女流2級に昇級したのは2017年3月。女流1級への昇級は年度指し分けだから、堀女流2級はこの2年間、それをクリアしていないことになる。しかし堀女流2級はアマ時代に中井広恵女流六段に勝つなど、実力はあるのだ。あとは気の持ちようで、潮目が変わればいくらでも勝ち星はついてくると思う。
係の女性が、お茶を持ってきてくれた。ほかの2人にはお茶のほかにオレンジジュースも置かれているが、これはもちろん有料である。
平手でお願いし、対局開始となった。
初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲2六歩△4二銀▲4八銀△3二金▲7八金△7四歩▲5六歩△5四歩▲6九玉△4一玉▲5八金△5二金▲3六歩(途中1図)
△3三銀▲6六歩△3一角▲7九角△4四歩▲1六歩(第1図)
ほかの2局は、右隣の人は三間飛車に振り、堀女流2級がイビアナの明示。下手は▲1七桂と跳ね、乱戦模様になっている。
奥の将棋は角換わりで、堀女流2級が右玉に構えていた。
本局は▲7六歩△8四歩。堀女流2級は居飛車党である。つまり前局の中飛車は気分転換だったわけだ。
私は矢倉を指したくなって▲6八銀。昨今は矢倉といっても後手急戦が多く、先手も▲6六銀と繰り出したり左金を▲6七に上がったりと、もはや正調矢倉は絶滅している。
私は先手番に限り、正調矢倉を指したいほうである。本局も相手の出方を見ながら、慎重に駒組を進める。
上手が急戦を目指すなら▲3六歩(途中1図)あたりで△6四歩が相場だが、堀女流2級は穏やかに△3三銀と上がった。これは上手らしく下手の攻めを受けようということだろう。
第1図以下の指し手。△9四歩▲1五歩△9五歩▲3七桂△7五歩▲同歩△同角▲6七金右△7三銀▲6五歩△4二角▲5七銀(第2図)
3局とも堀女流2級が居飛車になったが、戦型がすべて違うのでめまぐるしい。いつもながら、多面指しを指しこなす上手はすごい。
第1図の▲1六歩まで25手。これを「25手定跡」という。平成になって、相矢倉の「91手定跡」なるものもできたがあれは半分冗談で、こちらは昭和50年代まで頻繁に指されていた。これに後手は△1四歩と挨拶するか、△9四歩とこちらの端歩を突くか、はたまた△4三金右か△7三銀か△7三桂か、最善手を考えたらキリがないところ。
堀女流2級は△9四歩。これには▲9六歩と受けたかったが、そうすると上手も△1四歩と受けるかもしれない。後の譜に見られるとおり、私は▲3七桂からスズメ刺しを目指すので、それには▲1三桂成と歩を食いちぎれる△1三歩型がよい。
というわけで▲1五歩としたのだが、堀女流2級も△9五歩。この突き越しはどちらに有利に働くのか。
私は▲3七桂。スズメ刺しへの第一歩だが、堀女流2級は△7五歩ときた。これが大野教室のU君も得意にしている指し方で、後の△7三銀~△7四銀~△7三桂を見る。
私は▲6七金右から▲6五歩。スンナリ7筋の歩を交換させては作戦負けなので、ここから反発したいところである。
△4二角に▲5七銀。ここでは▲6六銀と上がりたいところだが、8筋が薄くなる。下手は▲5七銀~▲6六銀右~▲7六銀を目指したいのだ。ただ▲5七銀の瞬間に角道が止まるのが不満だ。そして何より、予定のスズメ刺しにはもうできない。そう、スズメ刺しは手数がかかるので、今のスピード時代にはそぐわない。また相手も、端に戦力を集中しているところへ、わざわざ玉を持ってこない。堀女流2級も△4一玉型のまま、反発してきた。
(つづく)