一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

島九段の覚醒

2019-09-06 00:16:14 | 男性棋士
3日に行われたC級1組順位戦は、藤井聡太七段が高橋道雄九段に勝ち、4勝0敗となった。
これは相居飛車の乱戦になったが、藤井七段の強引な攻めが通り、快勝となった。高橋九段は、もっとゆっくりした将棋にすべきだったと思うが、素人が意見したところで詮無い。
C級1組では、島朗九段も4勝0敗となった。現在降級点持ちの25位で、初代竜王、元A級としてはこのクラスと順位が信じられないが、これまでの勝負に対する淡白さが災いしてきたのだろう。
早投げは、昔は真部一男と滝誠一郎、今は谷川浩司と島朗で、素人目にはエッ!? というところでの投了が多い。
たとえば島九段。2011年6月に指された佐藤康光九段戦(達人戦)では、81手目▲8四歩に投了した。

以下△8四同馬は▲5六馬△8二飛▲3四歩くらいで敗勢と読んだのかもしれないが、それにしたってもう少し指しそうなものだ。
私たちは趣味でやってるから早投げもいいが、棋士は生活が懸かっている。指し継げば逆転もあるかもしれないし、スポンサーの手前もあるので、とことんまで指すべきだと思う。
島九段も反省してか、最近は「早投げをやめ、粘りまくる宣言」をしたようである。投了の局面をソフトにかけたら、自分が有利の時もあって、さすがに考えを改めたらしい。
今回、及川拓馬六段との一戦を見てみよう。相矢倉で始まった本局、珍しく正調相矢倉になった。
中盤以降、相矢倉らしい激しい攻め合いとなった。島九段は角銀交換の駒損の攻めを敢行するが、攻めていれば多少の駒損は関係ない。

第1図は△6六角上に▲2五桂と跳ねた局面。先手は一時的に角損まで拡がったが、5三の金取りと6六の角取りが残って、指しがいがある局面である。
とはいえ今までの島九段だったら、どこかで投げていたかもしれない。

第1図以下の指し手。△2八歩▲6六銀△同角成▲7七角△同馬▲同桂(途中図)

△2四角▲3三金△同桂▲同桂成△同角▲同銀成△同玉▲4五桂△3二玉▲1五角△2四桂▲同角△2三金▲1五角打(投了図)
まで、島九段の勝ち。

▲7七同桂(途中図)の局面で△2九歩成は、▲3二角△同玉▲3三金△同桂▲同桂成△2一玉▲2二歩△1二玉▲2四桂(参考図)まで詰み。

よって及川六段は△2四角と辛抱したが、島九段は俗手の▲3三金以下、綺麗に寄せた。第1図と投了図で、角の存在が逆になっているのが面白い。

やはり将棋は、アマにも勝敗が分かる程度に指しついでもらうのがありがたい。
さて島九段が4連勝である。早投げ撤回宣言もあり、今期の島九段には追い風が吹いている気がする。C級1組も俊英揃いで、以下もうるさい相手が続くが、最低でも降級点は返上しそうである。否、勢いに乗れば昇級もあるかもしれない。
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