一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

高貴な筋

2019-09-29 01:07:10 | 将棋雑記
先日の王位戦第7局で、オッと思う局面があった。A図、豊島将之王位が93手目▲4二金と打った手に対し、木村一基九段が△同金と取ったのだ。控室の予想ももちろん、△4二同金だった。

だが、守りは金を残せという。それなら△4二同金では△同銀とし、金を残すのがベターに思える。
だがこうはならない。すなわち△4二同銀には▲4一飛△2二玉▲4二とで攻めが続くのだ。
この、空白のマスに駒を放り込んで後で回収する筋は、詰将棋などでよく見られる。例えば「将棋世界」2015年7月号別冊付録・伊藤果八段作などがそうである。

むろん実戦でもあり、例えば1958年2月16日に指された第12期順位戦B級2組・▲北村秀治郎七段対△山田道美六段戦がそうだ。

投了図の一手前、▲5二金と打っては全然詰まないが、▲4二歩△同角を入れることで綺麗に詰む。
最近では、谷川浩司九段が通算勝利単独3位とした将棋が印象深い。

松尾歩八段との順位戦B級1組で、第1図から▲5二金△同銀▲5四香△6三玉▲5二成桂(第2図)、と進んだ。
▲5二金と空白マスに捨てて、後で回収している。

そして第2図から△6八歩▲5三香成△7二玉▲7四歩△8三金(第3図)となり、また例の筋が出る。

すなわち▲7三銀△同金▲6二成桂△8三玉▲7三歩成(第4図)である。

この将棋は中盤の入口でも、谷川九段が単に▲3二歩成と金を取らず、▲3四桂△5二玉と手掛かりを残してから▲3二歩成、とした順があった。いずれも谷川九段らしい、高貴な順ではないか。
だが私はこの筋を、ほとんど指したことがない。こういうシャレた筋は、私には縁がないようだ。

今回もプロの図面を多く出したので、ちょっとビビっている。
コメント
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