一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

新・悪夢の社団戦(1)

2018-07-04 00:13:11 | 社団戦
1日(日)は東京・上野の「産業貿易センター台東館」で、第29回社団戦第1日があった。
将棋プロに公式戦があるように、アマにも公式戦がある。名人戦や王将戦などのタイトル戦は別にして、私たちレベルの将棋ファンが集えるもの、その代表格が社団戦である。
それだけに参戦のプレッシャーは相当なもので、私は今回も胃液を吐きつつ、自宅最寄り駅前から、産業貿易センター方面のバスに乗ったのだった。
会場に着く。私は今回、6部リーグ赤の「将棋ペンクラブ」から出場する。ただし知己は少ないはずなので、若干の外様感はあった。
Shin氏に会う。今回別のチームから出たことを詫び、来年は元のチームに戻る(参戦)旨を約束させていただいた。
将棋ペンクラブの島が分からなかったが、何とか集う。将棋ペンクラブは運営の手伝いをしたり、Hos氏の古書店が出店していたりするので、いろいろ忙しい。A氏はいたが監督なので、参戦は少ないようだ。
階下の上級クラスに行くと、LPSAが出展していた。渡部愛女流王位が準備をしている。一声かけようとも思ったが、却って気を遣わせてしまうと思い直し、やめた。
さて、1回戦である。相手は「大田区役所」。私は大将で指す。三将は木村晋介将棋ペンクラブ会長、五将にKan氏、六将にWatk氏、七将に妙齢の女性が位置したが、副将、四将氏は初見だった。
開会に先立ち、LPSA中倉宏美代表理事から挨拶があった。
「渡部愛さんが、女流王位を獲ることができました」
さらに渡部女流王位の挨拶もあった。
「今日はお昼で失礼させていただきます」
渡部女流王位、今や女流棋士の代表格になり、私も感激を抑えきれない。

私はカバンからLPSAの扇子を取り出す。かつて指導対局の席で勝つとサインをもらえたもので、これには10人の女流棋士のサインが認められてある。今日は対局中に私が勝勢になったら開くつもりだが、この合図の意味を、将棋ペンクラブの人は知らない。
相手に振ってもらい、奇数後手になった。
対局開始。▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛。
私は先手の横歩取りは好きではないが、後手番のそれは、昭和時代の反撃手段が使えるので、好きである。すなわちこの局面、△2三歩▲3四飛△8八角成▲同銀△2五角、もしくは△8六歩▲同歩△同飛▲3四飛△8八角成▲同銀△2八歩▲同銀△4五角の二択となる。
私は後者を選んだのだが、△8六同歩の時、先手氏に黙って▲2六飛と引かれ、アテが外れた。
以下相掛かり調に進むが、私は△3三角の一手を入れているので自ら角を換えることもできず、作戦負けを自認していた。

第1図以下の指し手。▲4五銀△同銀▲同桂△8八角成▲同銀△3七角▲2九飛△4六角成▲4九飛△3七馬▲4六角△同馬▲同飛△5四銀(第2図)

第1図から先手氏は▲4五銀とぶつけてきた。これには銀交換後角も換え、△3七角が絶好の反撃だ。
▲2九飛には△3八銀も考えたが、若干ダサイので△4六角成とした。が、当然の▲4九飛が意外に厳しかった。ここで△3六馬と歩を取りたいが、そこで▲6三角が▲7四角成と▲5三桂成~▲3六角成を見て絶品だ。
それで△3七馬としたのだが、▲4六角で馬を消されてしまった。
しかしそこで△5四銀と打ったのが、腰の入った手だったと思う。取りに打ったわけではないが、将来の▲6三角を消し、味わい深い。勝敗はどうあれ、これは自分の将棋になったと思った。

第2図以下の指し手。▲1七角△4四角▲3五歩△同歩▲3三歩△同桂▲同桂成△同銀▲4五銀△5五角▲4九飛△4五銀▲同飛△1九角成▲3五角△4四香(第3図)

右の副将は、相手の振り飛車穴熊に左美濃。しかし▲6八玉型のまま戦いになり、いかにも不安定だ。
第2図で先手氏は大長考し、▲1七角と打った。私はノータイムで△4四角。それは読んでいましたよ、と指し手で告げたのだ。
先手氏は▲3五歩と突いたが、私は素直に応じ、2歩得。相手の手に乗って優位を拡げる、ますます私の将棋だ。
▲4五銀には角を躱し、△1九角成から△4四香。これは勝ったと思い、私は扇子を開いた。

第3図以下の指し手。▲4四同角△同銀▲4九飛△2八馬▲5六桂△4六桂▲5九金△5五銀▲3三歩△同金▲4五銀△2七馬▲3六香△2四金▲2九飛△3八馬▲2四飛△同歩▲6三金(第4図)

第3図で大勢は決している。先手氏は闘志冷めやらず果敢に攻めてくるが、いかんせん攻め駒が足りない。

第4図以下の指し手。△3九飛▲3四銀△5九飛成▲7七玉△6八銀▲同金△同竜▲同玉△5九角
まで、一公の勝ち。

ここで△5八飛を考えたが、▲同金△同桂成▲同玉△4九銀▲6八玉△5九角▲7九玉△6九金▲同玉△4七馬▲7九玉で不詰めか。
社団戦で無理は禁物なので、△3九飛と大事を取った。以下△5九角まで、先手氏が投了した。

感想戦では先手氏が、第1図で▲3五歩△同歩を入れるんだったか、と悔やんだ。確かにそれが入っていると、後の攻め幅が違ったと思う。
また第2図では、▲4一角!!も考えたとのこと。「これはタダじゃないですか?」と私は訝ったが、以下△4一同玉▲5三桂不成△5二玉▲6一桂成△同玉▲5三金(参考図)は、意外に迫力がある。

以下も進めて、△9二飛打とするなどの変化が出てきた。この変化は先手よしとなったが、参考図で後手が正確に指せば、後手優勢の結論となった。ただし私の棋力では、この持ち時間で正着を指せた自信はない。本譜に進んだのは僥倖だった。
戦況を遠巻きに見ていると、どうだい、と金子タカシ氏がきた。ニコニコしている。私は
「この前、桐山さんがアマ竜王を獲ったでしょう。どうです、金子さんもまた」
と言った。金子氏は元読売日本一、元アマ竜王である。
「ダメダメ。桐山さんだって48でしょ?」
アマに年齢は関係ないと思うのだが…。
1回戦の7局がすべて終わった。結果は1勝6敗。すなわち、私以外全員負けた。逆バージョンは何回か味わったが、このパターンは初めてである。
なお、Kan氏は時間切れ負けだった。将棋ペンクラブ、容易には勝たん。こりゃ噂どおり、タダモノではないと思った。
(つづく)
コメント (2)
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