一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

珍しく辞退した話

2018-07-20 01:05:02 | プライベート
6月8日(金)、私はいつものように職安に行った。珍しく「旅行業」の求人があったので申し込みをする。係の人に連絡を取ってもらうと、書類選考は省き、いきなり面接ということになった。
翌週11日(月)、会社のある某所ではなく、東京駅前の指定の会場に行った。面接に先立ち、エントリーシートに記入することになった。また本人確認ということで、運転免許証も提示した。
シートの設問は、やたら細かかった。自分の性格の長所、短所、パソコンのシステム構築はできるか、クルマの運転の頻度、1日の酒量、喫煙の有無、等々々いろいろあった。
面接官は気さくな感じの人だったが、面接が始まってから、質問が微妙におかしいことに気付いた。私は新設の旅行企画業に応募したのだが、何か的が外れている。
よく聞くと旅行業は会社の本業ではなく、子会社がやっていた。
「英語か中国語は話せますか」
「いえ、話せません」
本社には、英語と中国語を必要とする部署があるらしい。
「私も英語は話せません」
ご心配なく、という意味だったのだろう。
ここで面接官がさりげなく説明したのが、とある企業の重役の、運転代行業だった。要するに、社長の専属運転手ということだ。「釣りバカ日誌」で、スーさんの運転手をやっている笹野高史だ。これが結構な収入の柱になっているらしい。
「今、若い人でこれ(運転手)をやりたがる人が少ないんですよ」
それが本音だろうか。「アンケートには、お酒は飲まない、と書いてありますが」
「はい、飲みません」
「でも飲むことはあるんでしょう」
「付き合いで飲むことはありますが、ビール1本で顔が赤くなります」
「いままでにいちばん飲んだ量はどれくらいですか」
「ここだけの話ですけど、高校3年の時でしょうか」
「じゃあイケるんですね? 飲むとどうなりますか」
「言動に変化はありません」
業務の中に接待があるのだろうか。
「車の運転は得意ですか」
会社勤めなら、会社のクルマを運転する機会もあるだろう。だがこの面接官は、例の「社長付運転手」の話をしているに違いなかった。
「運転は好きなほうですが、あまり得意ではありません」
「前のご職業の時はやってらしたんでしょう」
「はあ、でもその時は場所がお得意さんばかりで、知っている道だったので……」
「でもウチのクルマにはカーナビが付いてますが」
「それならいけるかもしれませんが、どうでしょう
「でも運転免許証は、ゴールドカードでしたよね」
そこまでチェックしていたのか。
「そうなんですが、昨年の1月に物損事故を起こしてしまいまして……。あれはゴールド免許が取り消しにならないんですね」
「フム」
先方はどうしても私を運転手として雇いたいらしいが、私も事故の話を持ち出して、何とか回避しようとした。
「残業がありますが、いいですか」
求人票には、残業時間はナシ、と書かれてあったが、やはりあるのだ。それに今はまったく、別業種の話になっているのだ。
「大丈夫です」
「休日出勤もありますが、いいですか」
「……。構いません」
否、とは言えない雰囲気だった。
「となると、(求人の時の提示の)給料も変わってきますね」
「……」
「出勤場所も変わる可能性がありますが、いいですか」
「それは、近くでということですか」
「○○ではなく、東京(駅前)か××になる可能性があります」
「はあ」
仕事内容が違う、出勤場所が違う、勤務時間も違う、出勤日も違う、給料も違う。それならそういう内容で求人をすべきではないのか。私もさすがに、イライラしてきた。
「ご兄弟はいますか」
「弟がいます」
「弟さんはご結婚はされていますか」
「はい。子供が2人います」
「何年生ですか」
そんなことまで聞くのか、という感じである。「もし採用となれば、ご両親以外の身元保証人が2人必要となります」
私も齢50を過ぎて扶養家族もいないからこういう措置になるのかもしれないが、採用になれば、どこの企業もそうなのだろうか。
以上、面接は30分あまりで終わったと思うが、さすがに帰りの電車の中で考えた。
客観的な判断では、私はこのまま採用される可能性が高い。しかし採用されても、他人をクルマに乗せての運転はきつい。
私も一度は「採用」の通知を受けたい。しかしそれは見栄を伴う自己満足であって、今さらそんな勲章はいらない。むしろ採用後に辞退したら、いっそう面倒なことにならないか。
帰宅後も一晩考えた私は、翌日、先方に断りの電話を入れた。
電話の向こうの女性は「ちゃんと運転研修がありますから」と言ったが、この一言からしても、先方が私を運転要員としか考えていなかったことが分かる。
私の判断に間違いはなかった。残念ながら今回は、ご縁がなかった。
コメント (2)
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