一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

7月2日の大野・植山教室(5)

2016-07-12 00:07:49 | 大野・植山教室

第2図以下の指し手。△5三角▲2六角△6四角▲3七角△5三角▲2六角△6四角▲3七角△5三角▲2六角△6四角▲3七角(第2図)
まで、千日手。

私は△5三角と引く。捨て置けば△3五歩~△3四銀と盛り上がるつもり。それでKaz氏は▲2六角とぶつけたが、こんな角とは交換できないので、私は△6四角と戻る。Kaz氏も▲3七角と引く。
何だかイヤなニオイがするが、私は手を変えるわけにはいかない。Kaz氏もその意思は揺らがないようで、4度目の▲3七角まで、千日手が成立してしまった。
▲3七角では▲4四歩と突きだす手もあったが、無理はしたくなかったようだ。
とはいえ先手が指しやすかったはずで、それでも千日手を選ぶとは、今日の永瀬拓矢六段が憑依したかのようだった。
私は大野・植山教室では、初の千日手だった。

指し直し局は相矢倉になった。私は▲4六銀。最近はここで△4五歩が流行っているが、実はKaz氏も以前、△4五歩の可否を、みなに聞いてきたことがある。
私は以前、Fuj氏相手に△4五歩を指したことがあるが、Fuj氏にうまく反撃されて負けた。その手順を披露して、「だから△4五歩は不可なんだよ」と、その時は結論づけた。
しかし現状では、▲4六銀に△4五歩は立派な反撃手段である。だがKaz氏は今回、別の手を指した。私は▲3七桂と跳ねて一安心。

第1図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲1五歩△3六歩▲1四歩△3七歩成▲同銀△1二歩▲4六歩△9五歩▲3六銀△9四桂▲2五歩△3三銀▲3四歩△4二銀▲3五銀△8六歩▲同歩△同桂
▲同銀△同飛▲8七歩△8二飛(第2図)

私は▲3五歩から▲1五歩としたが、Kaz氏が考えている。「似て非なる局面…」とつぶやくのを聞いて、あ、と思った。
△3六歩の桂取りがあった。私は▲1四歩と取り込むが、桂損してしまった。
△1二歩と謝らせて私もややポイントを返したがそれも束の間、△9四桂が習いある手筋だ。もっともここは、すぐに△8六桂でも▲同歩△同歩に▲同銀のつもりだったから、Kaz氏は一手損したことになる。
とはいえ△8二飛まで、先手は銀損になってしまった。

第2図以下の指し手。▲3六桂△5五歩▲2四歩△同歩▲同桂△2三歩▲3二桂成△同玉▲2二歩△同玉▲4五歩△5六歩(第3図)

私も桂を控えて打つ。Kaz氏に教えてもらった手筋だ。矢倉戦は不思議で、攻めているほうが優勢になることが多く、時には銀損さえも凌駕する。
戻ってここ▲2四桂は、△同歩▲同歩に△3一玉と引かれ、指し切ってしまうと思った。
次に▲4五歩△同歩▲4四歩もあるので、Kaz氏は△5五歩。これは予想していた。
私は金桂交換でやや駒損を回復し、▲4五歩と突いた。相手の角の利きも気になるが、自陣の角を働かさないと勝負にならないと思った。
Kaz氏は当然△5六歩。

第3図以下の指し手。▲4四歩△同銀▲同銀△同金▲3三銀△同桂▲同歩成△同銀▲2三歩(第4図)

私は▲4四歩と取り込んだが、△5三銀を守りに働かせるのでよくなかった。とはいえ▲2四銀は駒不足だし、このあたりはよく分からなかった。
▲4四歩には△同金とし、▲同銀△同銀で3三の地点に利かされるのがイヤだったが、Kaz氏は△同銀でも受け切れると読んだのだろう。そしてその判断は、たぶん正しかった。
3三の地点で清算して、▲2三歩。半ば「最後のお願い」だった。

第4図以下の指し手。△2三同玉▲1五桂
まで、一公の勝ち。

秒を読まれているKaz氏、△2三同玉と取った。私はもちろん▲1五桂。と、「あっ」と叫んで、Kaz氏が投了してしまった。
第4図は△3二玉の一手で、それなら私は▲3六桂のつもりだったが、△3四金ぐらいで後手優勢だった。
投了以下指すとすれば△3二玉▲2三金△4一玉▲3三飛成。この局面にKaz氏は絶望したわけだが、以下△4三歩▲2四角(参考図)で、後手玉が寄るだろうか。実はこの局面も、まだまだ大変な勝負だったと思う。

大野八一雄七段が遠くから見ていらして、「桂損したあとは落ち着いて指したよね」との言葉をいただいた。
ただ自分としては終盤の指し手が荒く、とても勝った気分にはなれなかった。

棋聖戦が終わったようである。羽生善治棋聖が負ける雰囲気があったが、果たしてそうなった。Fuj氏に大盤で並べてもらったが、最近の羽生棋聖を象徴する。急転直下の終幕だった。
さらに先日のA級順位戦、羽生三冠―深浦康市九段戦も並べてもらう。これも羽生三冠が終盤でポッキリ折れた。羽生株は、名人戦第2局から下がりっぱなしである。いつ回復するのだろうか。

遅くなったが、食事会である。参加者は、大野七段、W氏、Fuj氏、Kaz氏、Taga氏、私の6人。なかなか異色の組み合わせだ。
例によって、駅ビルのインドカレー屋に行く。席は大野七段とFuj氏が向かい合わせ。以下Kaz―私、Taga―Wの席になった。
みんなセットメニューを頼む。食後はおしゃべりの時間になったが、Fuj氏が大野七段と話さず、私にばかり話すので、途中で大野七段と私が席を替わった。
すると今度はFuj氏が2つ向こうのW氏に話しかけるというテイで、とにかくFuj氏のマシンガントークが止まらない。
おもに社団戦の話で、その要点は以下の3つ。

・Has氏が調子が悪そうだったので、下位で指してもらった。
・Kur君に負けが込んでいたので、1勝を挙げてほしかった。4回戦で勝利してくれてホッとした。
・大野教室2で、王手放置をして負けた選手がいた。

しかしこれらは、当日の打ち上げや今日の教室で、さんざっぱら聞いている。
Fuj氏がつねに新しい話題を提供してくれると食事会ももっと楽しくなるのだが、それはかなわぬ夢か。

帰りは、Kaz氏といっしょの電車だった。Kaz氏はさっきの敗戦が悔やまれるようだった。
私はこの類の負けはしょっちゅうだが、Kaz氏は堪えるであろう。
「でも、大沢さんと指せたからよしとします」
と、やや気味のわるいことを言った。どうも、将棋を指す人はどこかおかしい。
コメント
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