イーダちゃんの「晴れときどき瞑想」♪

美味しい人生、というのが目標。毎日を豊かにする音楽、温泉、本なぞについて、徒然なるままに語っていきたいですねえ(^^;>

徒然その31☆恐山☆

2010-12-03 23:01:10 | ☆パワースポット探訪☆
                             

 下北半島の恐山は、いままで3度訪ねています。
 1度目は2006年6月6日---会社の左遷から人生を考えるための大東北旅行にでた際に立ち寄りました。
 このとき、僕は乳頭の黒湯温泉から直接恐山を訪ね、日帰りでそのまま大間のほうに宿泊したんですよね。
 で、その翌朝、もういちど恐山に寄ってみた。春の宇曽利湖がとても綺麗だったことがいまも印象に残っています。
 懐かしいな。これが、まあ2度目として---。
 そうして、3度目の訪問は、今年2010年の8月27日のときのもの---まる1月にもわたる夏の北海道旅行の最終の地を、イーダちゃんとしてはぜひとも恐山宿泊で締めておきたかったんですよ。
 もっとも、このイーダちゃんのこだわり心理、恐山に興味ない人には、たぶん全然わからないでせうねえ。
 では、僕にそうまで思わせるにいたった恐山とは果たしてどんな場所なのか?
 名前だけはたしかに有名だけど、ほんとうにそれほど魅力のある場所なのかどうか。
 それを、これから検証していきたいと思います---。

 僕が最初に恐山という名を聞いたのは、水木しげるかつのだじろうの漫画のなかだったような気がします。
 皺の深い老婆のイタコが死者の霊を呼び、死んだ子供らのための赤い風車がいつもからからと廻っており、境内の積み石を無断で持ち帰ろうとした不届きなライダーは帰り道の急坂で転倒して首を折る---そんな禍々しい、なにか血生臭いようなイメージでもって、要するにかなり怪奇サイド側に誇張したタッチで語られていたんじゃなかったっけなあ?
 いずれにしても僕がそのころ小学校の低学年だったのはまちがいのない話で、幼少のイーダちゃんは当然のごとく震えあがりました。
 心底ビビリまくったといってもいい。僕、その夜眠れませんでしたもん。
 自分にそんな恐ろしい漫画を紹介した友人を恨み、もう金輪際あんな奴とは付きあうもんか、なんて眠り際に子供なりの決意を固め、でも、翌々日あたりにまたそいつがまた新しい怪奇漫画を教室に持ってきているのを知ると、なぜか車座になってそいつの席を囲んだ一団の末席に、懲りもせず再び加わってる……。
 やっぱり、好きだったようですね。というか、魅きつけられるものがあったんでせうねえ。
 日本人なら誰もが、この恐山の磁力は感知可能だとイーダちゃんは思うんですけど。
 なんか、日本人の無意識の「原風景」みたいな香りがしてるのかもしれませんね、ひょっとすると。
 ここで、さきほど話にもちょっと出た、風車の写真をUPしておきませう。
 左下が無限地獄近くの慈覚大師堂、そうして、右下にあるのは、賽の河原から極楽浜を遠目に眺めたところ。ともに27日の夕方5時の撮影です。

           

 なんか、この2枚の写真だけでも胸にくるもの、感じませんか?
 僕はこれだけでもガンガンきますね。元々それほど恐山好きだったというわけでもありません。話で聞いて、想像して、ふすまの隙からそーっと眺めていればそれで満足といった、好きといってもせいぜいがその程度。
 そんな淡くて幼げだったイーダちゃんのおぼろな恐山信仰を、思いきり過剰に煽りたてるお方がやがて現れたのです。
 それが、故・寺山修司さんでした。

----亡き母の真赤な櫛を埋めにいく恐山には風吹くばかり…。 (映画「田園に死す」より)

 このひと、天才です。ですから歌もエッセイも芝居も何もかも凄いのですが、わけても監督2作目の映画「田園に死す」にはまいった。
 これ、恐山が舞台になってるんですよ。寺山さん、もともとが青森の三沢のへんのご出身でせう? 恐山への思い入れはそうとう強いものがあったらしく、その思いの強さは傍観しようとしているひとたちの足場ごと根こそぎ押し流しちゃう、くらいのレベルの土石流なみのパワーを宿してまして。で、僕もそれに巻きこまれちゃったかたち。
 いやー この映画は凄いっス。
 宇曾利湖---冒頭にUPした湖---のほとりで燕尾服の怪人がチェロを弾くわ、寺山さんの母ちゃん役のおばちゃん女優が実家の畳をあければそこがもう恐山になってたり、修学旅行の学生服の集団が三途の川の赤い反り橋をわたってるな、と思ってカメラのズームをさりげなく追っていったら、詰め襟学生服の一団が実はみんな顔を白塗りした老人老婆の集団だったり……。
 あまりにも強烈なそんな数々の「禍々」イメージが脳裏に焼きついてましたので、2006年の6月6日にはじめて恐山を訪れたときには、意外とここ、静かで落ちついた霊場なんでかえって拍子抜けしたくらいでありました。
 昼間だとバスでくる観光客がけっこういますし、正門前の売店では「恐山アイス」なんてのを何気に売ってるし。
 平和、なんですよね---繰り返しになりますが、土地全体から非常に静粛で、凪いだ印象を受けました。茫洋としたこの世ならざる風景と、苦手なひとなら鼻つまんで逃げだすくらいの濃い硫黄の香りはもの凄かったんですけど。
 そういえば徒然その27☆の皇居のページでちらりと紹介した、「ほんとにあった怖い話」の看板霊能者である寺尾玲子さん、彼女を主演にした漫画「魔百合の恐怖報告(朝日ソノラマ)」の3巻に収録されている「恐山不思議旅(91年11月号発表)」のなかで、取材のため恐山を実際訪問してられるんですね。
 その際に印象的だった玲子さんのコメントをちょこっと書きだしておきませうか。

----ここはやさしい霊場だね。

----やさしい?

----うん。おっかない霊場とか結構あるもん。ここは悪いものを感じない。とてもきれいで何もない----

                                                     (山本まゆり「恐山不思議旅」より、玲子さんのセリフ)

 玲子さんの霊感にまるごとおんぶするわけじゃありませんが、恐山という霊場に関してイーダちゃんが抱いた総括の印象は、この玲子さんのコメントにとても近い感じでありました…。

 なお、こちら恐山の境内には、いくつか温泉がございます。
 山門を入ってすぐのところ、四十八燈を左手にまず「古滝の湯」、「冷抜の湯」、むかって右手に「薬師の湯」、そこを右手にぐーっと行くと、恐山の宿坊「吉祥閣」がありまして---こちら、宿坊とは思えないくらいの、高級感たっぷり、セレブ仕立ての高級宿坊です!---そのさきをさらにずーっといったところに、宿泊者しかいけない湯小屋がございます。
 ひと読んで「花染の湯」---2010年8月訪問のイーダちゃんの最終目的はそこだったのです。
 ま、ま、ちょいご覧になってくださいよ---。

                          

 宿坊「吉祥閣」のなかにも清潔で新しい大浴場はあったのですが、イーダちゃん的には断然こちら「花染の湯」でしたね。
 昼も夕も翌朝も---夜はおっかなくてひとりでココこれませんでしたけど---入るのはいつも「花染の湯」ばっかりで。
 もう、素晴らしかったんです、こちらの湯。
 白濁した、注ぎたての、掛け流しの、やや強めの酸性湯。
 掛け湯して肩までゆっくりと身体を沈めると、お湯中をくるくる回転している白糸の破片みたいなキュートな湯の花がいっぱい見えてね---「はふー」ってひとつため息して、両掌でお湯を顔にぽしゃりとやれば、もうこちらの湯小屋は即席の桃源郷に早変わり---浮き世の気苦労やら心配事の数々が、湯気にまじって昇天していくのがじかに見えるような極上酸性湯なんです。
 湯浴みを小休止して、裸のまま湯小屋のなかをちょっと歩いたりしてもいいし---で、おもむろに窓をあけたら、そのまま恐山の地獄が見える。
 この世の天国と地獄を同時に賞味できるような、これほどのお湯は、たぶん、ここにしかないんじゃないでせうか?
 ひとの世の果てにひっそりと咲くこちらの恐山温泉を、あらゆる温泉好きの皆さんに推薦しておきたいと願うイーダちゃんなのでありました…。(^.^;>

 と、ここで終るはずでしたが---ひとつ、いい忘れたことに気づきました。
 ええ、それは2006年の初恐山訪湯の際、イーダちゃんが nifty温泉さんのクチコミに乗っけられなかったことなんです。
 2006年の6月7日早朝、前日の恐山訪問に深い感銘を受けたイーダちゃんは再びクルマで恐山を訪ねまして、ビニール袋をひとつもって、だーれもいない無人の極楽浜で何気に自主掃除なんかやってたんですよ。けっこうガムの紙だとかお菓子の袋とか捨てていく不届きな輩はどこにでもいるようで、前日の訪問のときに気になっていたんですね。
で、なんとか浜近辺のゴミを拾い終え、ひと息入れて極楽浜の砂浜に体育座りしてたんですよ。こう、宇曾利湖のほうに身体を向けて。
 いい天気の朝でした。宇曾利湖もえらい綺麗な青色をしてて、イーダちゃんは頭をからっぽにして、それにまあ見惚れてたんですね。
 そしたら、突然、宇曾利湖のほうから一陣の風がさーっと吹いて---金属製の丸蓋---おわかりでせうか、ほら、よく乾燥を防ぐためのお菓子の金属箱の上の部分の、きっちりはめる、あの丸い蓋のことです!---あれが、いきなりコロコロコローッて、宇曾利湖の際から体育座りしたイーダちゃんの脇を、縦に、勢いよく、転がりあがっていったんです。
 えっ、と思った。うそーって青くなった。
 だって、アレは、人為的に転がそうとしたって、そう長い距離をバランスよく転がりつづけられるようなものじゃありません。
 もとからそのために作られているわけじゃないから、バランスだってわるいんです。
 それが、コロコロコローッ ですからね---生きた小犬みたいに。
 湖のほとりからイーダちゃんの先のやや上りの浜までの、10メートルあまりの距離を、ほんの一瞬で!
 誰かが意図的に投げて転がしたとしか考えられない---むろん、見渡すかぎり無人の浜なのは誰がどう見ても明白なんですが。
 あれだけはどうしてもわかんない。ええ、いまだにミステリーですね。
 さっすが恐山---やってくれるぜって感じです。

 最後に、早朝5時の宿泊者しか見れない恐山境内の写真をUPして、このページを閉じたいと思います。

                          

 ちょっと壮観でせう? 僕もそう思う。
 けど、いくらなんでもちょい長すぎ。
 というわけで今夜は最後まで付きあってくれてありがとう---でも、そろそろ頃あいです---お休みなさい…。m(_ _)m                      
 



 
 

 



 
 

 


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