これ、実をいうと、高校のころからずーっと気になってたネタなんですよね。
折にふれ、音楽トモダチに話したりして、ま、こんなネット時代にもなったことだし、そのうち誰かがネットにあげるだろうと思っていたんですけど、どうしたことか---20年以上たっても誰もあげてくんない…。
だもんで、仕方ない、僕があげませう---!
ネタはね、なんと、あの「なごり雪」なんです。
作詞・作曲、伊勢正三---。
去年たしか「日本の歌」BEST3のうちのひとつにも選ばれた、誰もが知る名曲です。
原曲のかぐや姫のヴァージョンより、カヴァーしたイルカの歌としてのほうが有名なのかな?
そのへん、僕はよく知らないんですけど、「なごり雪」は、そらで歌えるくらいよく知ってます。
僕なんかの世代は、みんな、そうなんじゃないのかな?
で、ある日、軽音の部室あたりで、窓の外の雲をぼーっと眺めつつ、何気にピアノをつま弾いてたら、突然気づいたんです。
----あれ、「なごり雪」と「Let It Be」ってなんか似てなくね!?
Let It Be は、むろん Beatles の、あまりにも有名なあのスタンダードナンバーのこと。
僕個人としては、あまりにもきっちし整いすぎた、ポール・マッカートニー独自のあの職人手仕事臭がどうも苦手---おなじバラードなら S&G の「明日にかける橋」なんかのほうがはるかに好き。もっとも、ポール氏は、アレ目標にレット・イット・ビーをつくったそうですけど---なので、あの曲はそんなに評価していないんですが、まあ名曲であることは認めざるをえないっしょ。
この両曲、リズムの基本が、どっちも ツン タ・タ なんですよ。
このリズムに乗って、なんとなく口づさんでたら、なんと「Let It Be」のピアノに「なごり雪」の歌詞、すーっと見事に乗ってゆくじゃありませんか。
ええ、この両曲、主要の部分のコード進行がまったくいっしょだったんですわ。
「Let It Be」の主和音はC---ハ長調の曲ですね。
対して、「なごり雪」はFで、ヘ長調。
けど、「Let It Be」の高さを4度あげれば、いやー、ちょっと試してみてくださいよ---この両曲、11小節まで、「Let It Be」のピアノ伴奏そのままでしっかり歌えちゃうんだから!
----なに? じゃあ、「なごり雪」は「Let It Be」の盗作なのか?
といえば、もちろん全然そんなことはないんであって---。
我が国には、もともと本歌取りみたいな手法があったし、それに、Jazz の世界にも、スタンダードのコードをそのまま流用して、その和音進行のなかにまったく別のメロディーを立ちあげちゃう---みたいなテクがさかんに使用されているのは周知のことでせう。
有名例では、あの「枯葉」進行とか----
Dm7→G7→Cmaj7→Am7→Fmaj7→E7→Am7
----ねえ、この曲のサビのとこ、「枯葉」進行でいっちゃわね?
なんてセリフは僕もセッションのとき、よくいったもんです。
すると仲間からは、「えー、またそれかよ。マンネりすぎねー?」なんて不満の声がもれたりね。
有名どころでは、Jazz スタンダードの All Things You Are のコードそのままの進行に即興演奏を被せてそのまま曲にしちゃった、Charlie Parker の Bird of Paradise とか---。
そのような例はほかにもゴマンとあります。
ですから、「なごり雪」は、ええ、まちがいなく伊勢正三さんの独創に満ちた創作ですよ。
なかんずく僕が感心するのは、
----なごり雪も降るときを知りイー ふざけーすぎたー季節のあとぉでぇー
この上段の前の節は、Let It Be のサビそのままの進行なんですよ。
全体的に調和し、安定していたここまでのクラシカルな進行に、ここで---厳密にいうなら、ふざけーの「け」のとこね---ふいに不安定なキーであるE7が混入してくるとこ---これは、「なごり雪」という曲全体の白眉だと思うな。
この伊勢さんのつくった北風混入のブリッジ部分があるから、このあとの投げっぱなしの、
----いま春がきて 君はキレイになった
去年よりずっと キレイになった…
というキメ台詞が生きてくるんですよ。
前段のE7の翳りがなかったら、このストレートな素直さは、これほど輝かない。
また、聴いてる僕等も、歌の主人公の若さにこれほど寄り添えない。
そういう意味で、ほんま、よくできてる歌だなあ、と感心しきりの歌ですねえ、これは。
ペンタトニックでボソボソ歌う語り口も主人公の朴訥さの表現になりえているし、うーむ、伊勢さんってアッタマいいんだなあ、やっぱり。
ただ、構造的には「なごり雪」って歌は、詩というよりは小説に近いんじゃないか、と思いますね。
ま、ご本人と話したことはないんで、あくまでこれは推理でしかないんですが、僕は、伊勢さんが「Let It Be」の進行を参考にこの曲を組みたてていったのは、ほぼまちがいのない事実だろう、と思っています。
僕的な好みからいったら、こうした筋の通りすぎた小説的な歌よりも、陽水みたいな詩心爆発みたいなタイプの歌のほうが好きなんですが、たまに聴く「なごり雪」は、やっぱ、ちょっといいですねえ---。
うん、こんな初恋がしたかった、と誰ともなくつぶやきつつ、目線がふっと遠くなったりもする、真夏の夜のイーダちゃんなのでありました…。(^o^;>
◆この論旨を証明すべくイーダちゃん自らが演奏したヴァージョン「なごり雪」が youtube にあります。 youtube iidatyann でご視聴可能。ほんとはレットイットビー弾きながら「なごり雪」歌いたかったんだけど、さすがにそれは技術的にむりでした。1弦のチューニング狂ってるけど、まあそれはそれ。では、これにて失礼、オバマ、デス!
私は歌・楽器のセンス0ですが、音楽は好きですね。
井上陽水の名曲「人生が二度あれば」の「母の細い手 漬け物石を持ち上げている」は中学生ながらカルチャーショックを覚えました。
山崎まさよし「追憶」の「望んだ明日が重すぎたのか?」は魂の叫びですね。
桑田佳祐「東京」の「行かないで 向日葵 この都会の隅に生きて 世の痛みに堪えて咲いてくれ」は絶句しました。
heavyな歌ばかりですね…。
この次は何か音楽のお話でも出来れば幸いです。
僕のブログは宣伝してないんで、尋ねてきてくれるとは、大変うれしいです。
ま、どーぞ、どーぞ、お茶でも!
「人生が二度あれば」、いいですねえ。
僕もアレ中学ではじめて聴いたとき、ぶっ飛びました。
当時、Kissが流行ってまして、デトロイト・ロック・シティなんかにも夢中になってたのですが、音楽的インパクトは、「人生が」のほうがあったかな?
Kissって、ほら、いいけど、ちょいスポーツ・ライクじゃないですか?
対して陽水のは、いきなり他人の家庭の居間にズカズカと連れていかれるみたいで、やや決まりわるい思いもあったけど、その生活くさい内容のリアルさには、なにか後ずさるほどのインパクトがありました。
「追憶」もいいっスねえ。
それと、うん、「東京」もいい。
現時点じゃ、日本は砂漠かもしれない。
でも、サボテンは砂漠でも花をつける。
ほんと、どうせこの世に生まれてきたんだから、みんながみんな、この人間ショーバイ上、それぞれいい花を咲かせてほしいもんですねえ。(^.^;>
奈良のK子です。
すっかり反応が遅くなってしまったのですが、
マイケルさんへメールしましたら、
迷子メールで帰ってきてしまいました~。