イーダちゃんの「晴れときどき瞑想」♪

美味しい人生、というのが目標。毎日を豊かにする音楽、温泉、本なぞについて、徒然なるままに語っていきたいですねえ(^^;>

徒然その167☆イーダちゃんの気まぐれ動物写真館!☆

2014-03-10 23:33:02 | 身辺雑記



 Hello、皆さん、お元気ィ---?
 どーも最近、書く記事が皆マジになりすぎて、ややシンドクなってきたので、今回のは、そういったマジマジ霊のお祓いのための企画デス。
 うん、理詰めじゃない、あくまでインスピレーション主体のね、イーダちゃんの気まぐれ動物写真館!
 僕がとりたてて動物写真が好きだってわけじゃないんですけど、ビビッとくる動物写真がちょっと撮りたまったんで、そのうちの秀逸な何枚かを自己流にセレクトしてみたっていう、そんな超・わがまま企画ってゆうか。
 はっきりいって僕、写真はズブの素人なんで---。
 だから、自分で撮った写真の出来はあんまり分かりません。
 ひょっとしてウルトラ下手で、あまりに子供すぎかもしれません。
 でも、まあ動物好きなひと・写真好きのひとに、いくらかでも共鳴してもらえれば嬉しいっス…。
 で、その一等最初の金賞がコレ(上記)----


                      金賞☆北海道・襟裳岬より 2010/08/08 16:53 

 いささか正統派すぎるタイプのフォトかもしんないんだけど、このフォト、つい先日発見したんですよ。
 それまでPCに入れっぱなしでまるきり忘れてたんだけど、こないだの1月下旬、僕のPC、ウイルスにやられてぶっ壊れちゃいましてね、修理のあと、PCの容量減らすために、いらないデータとかしゃかしゃか整理してて、その最中にグーゼンこれ見つけたの。

----ああ、そういえば、こんな写真、撮った撮った…!

 襟裳岬は、風の岬…。
 温泉も商店も山々もない---茫洋と吹きすぎる風のほかなーんもない処なの。
 リストラで傷心中の当時の僕に、そんな襟裳岬の風景は、どういうわけか凄く染みたんです。
 バチバチ、なんかに憑かれたように写真撮りまくってしまって。
 そうしたら海にいっぱい水鳥が渡ってる、こんな写真がたまたま撮れたんであって…。
 僕的には、クサイけど、この水鳥たちの白い姿が、とっても染みたんですね。

----うわあ、綺麗だな、と思った。

 いま、見返してみても、やっぱりそう思う。
 見るたび目の玉の奥のほうが、キシッと軽く軋むもん。
 ですから、ひねりのない、ありふれた平凡写真かもしれないけど、僕にとって、このフォト、やっぱり金賞以外の何物でもないんですわ---ハイ…。


                      銀賞☆自販機の上のネコ

            

 近所のマッサージ店にむかうとちゅう、偶然見かけたこのネコさん。
 よくよく見ると、コイツ、ちょっと性格わるそうな顔してるんだけど、どうです、この威厳あるくつろぎっぷりったら!
 どこぞの王侯貴族みたいな、そのゴーマンたっぷりの牢名主じみた存在感に、僕、してやられちゃった。

----おまえ、凄えよ。いや、まいった…。

 彼、ふてぶてしいなかにも、なんといえないキュートさを宿してるようにも感じます。
 BOSSコーヒーの看板の「彼」が、そんなネコ君の存在感を刺身におけるワサビの如く、微妙に、けれど確実微妙に盛りたててくれるところが、さらに2重マル---。


                       銅賞☆象と後頭部少女

            

 少女っていうのはまあ言葉の綾ってやつで、彼女、僕の友達のSちゃんなんです---注:彼女は三十路です---が、彼女といっしょに上野動物園にいったとき、なぜだかこーんなシュールな写真が撮れてたんですよ。
 僕的には、全然そんな野心的意図はなかったんだけど、あとになってよくよく見返してみると、なんだ、凄えシュールなフォトになってるじゃありませんか、コイツってば?
 僕的には、非常にツボな1枚---大好きです、こーゆーファニーな路線!


                        ☆なごみま賞

             

 神奈川県の丹沢のふもとに七沢温泉って温泉があるんですよ。
 こちら、トロットロの手触りのアルカリ系の名湯でね、数件良いお宿があるんですが、僕の行きつけの宿のひとつに「七沢荘」ってややふしぎちゃんな宿があるんです。
 そこの黒猫と僕は仲良しでしてね---コレは、風呂上がりにその黒猫ちゃんと撮った1枚。
 いかが、テーブルの上に向こうむきになってる彼女のヒップが、なかなか可愛いっしょ?
 雨模様だったんで、僕、ビニール傘をもってます。
 青いビニール袋のなかから覗いてるニンジンは、土産物の無農薬野菜なり---w。


                             ☆眠いで賞

                     

 これも、おなじく「七沢荘」の玄関での1枚---。
 黒猫を撮った同日の写真かどうかは、ちょっと忘れちゃった。
 もう、このワンコったら、とろっとろに眠たそうで---見てるとその甘いスイートな眠りに、ついついこっちも引きずりこまれていきそうなっちまう---嗚呼、眠ぅ…。
 というわけで---皆サマ、僕もそろそろ休みます(アクビしつつ)---お休みなさい…。(^o-y☆


           


徒然その166☆イーダちゃん、奥日光・川俣温泉をさすらう!(栃木篇Ⅱ)☆

2014-03-05 03:30:27 | ☆湯けむりほわわん温泉紀行☆
                 


 さて、2014年の1月21日、栃木の旅の2日目、雪の湯西川温泉を巣立ったイーダちゃんは、次にどこへ向かったのか?
 それが、全然なにも決めてなかったんですね。
 旅するときは大抵そうなんですけど、僕は、あんま旅の予定とか立てないひとなの。
 足の向くまま気のむくまま、漂泊の風に乗って、里心を捨て去るのが、僕の旅の目的でもありまして。
 旅のスケジュールをどうしようだの、こうしようだののチマチマした管理思想は、いうなれば僕のもっとも厭うところ。
 ですから、このときも思いつくまま電車に乗って、ふっと閃いた川治温泉駅で途中下車しちゃった。
 川治温泉---あまりにも有名な鬼怒川沿いの、あの混浴露天の「薬師の湯」(僕は、ここ、6、7回入浴してます!)に浸かりながらぼおっと1泊するのもいいかなって、そんな腹づもりだったんです。
 川治温泉は、雪、まだあんま積もってませんでした。
 寒さも4駅先の湯西川ほどじゃない---ここは、湯西川とくらべると、もうちょっと山裾にある、ほっこりしたにぎわいの見られる土地なんです。
 ただ、観光客は少なかったなあ---。
 リュックに徒歩のひとり旅の僕の佇まいが、なんだかやたら目立つ感じです。
 あと、こちら、駅から徒歩でいくと、「薬師の湯」までは結構距離あるんですよ。
 高台の駅から、ルート121号を横切って、看板の案内を頼りに、田舎道を30分は歩きましたかねえ。
 でも、まあ、この手の知らない田舎道をぽつぽつ行くのは、いいもんです。
 天気は曇り、ときどき晴れ。
 空が晴れたとき、風に乗って細かい雪つぶてが降ってくるのが両頬に触れ、うん、チベタッ、いかにも寒村の温泉地って風情です。

----うーん、泊まるんだったら、どこがいいかなあ…?

 それっぽい宿を何気に探しながら、鬼怒川へと続く谷をゆるゆる下りていって---発電所への凄え長い石段(上にゴーンってでっかい鉄橋があるあたり)をショートカットに利用しました---田舎道の両サイドに、よそ行きの装いの瀟洒なお宿がチラホラと見えはじめたら、さあ、いよいよ川治温泉の中心部への到着です。
 ところが---。
 着いてみると、「薬師の湯」、いつもと雰囲気がちがうの。
 アレ? と思い施設のひとに(施設内の内湯は営業してたのデス)聴くと、なんと、「薬師の湯」の混浴露天は今日明日ともお休みだとのこと…。
 ガビーン!
 これは、ショックでした。

----なんだよ…。「薬師の湯」に入れないんなら、川治温泉に泊まる意味もないよなあ…。


                           下図◆その休業中の名湯「薬師の湯」
           

 なら、残念だけど仕方ない、川治温泉の風情に後ろ髪引かれる思いをなんとか振りきって、運命が定めた川治温泉宿泊白紙化計画をここで潔く享受することにして、もういちど電車に乗って、終点の鬼怒川温泉までゴトゴトいきました。
 で、改めて人気のない鬼怒川温泉---平日の鬼怒川温泉は、えっ、ここ観光地なの? といいたくなるほどの閑散ぶりでした---をうろついて、ビビッとくる温泉宿をあちこち探したんだけど、寒風のなかを2時間以上うろついても、どーしてもビビッと僕の温泉アンテナに訴えてくるとこがない!
 駅前の宿泊センターで相談しても、どの宿情報からも、源泉独自の芳しい清涼な香りがしてこない。
 うん、宿都合の営業勘定の生臭ーいにおいしかしてこないのよ。
 これじゃあどこにも泊まれないじゃん---うーむ、困ったぞい…。
 

                           下図◆途方に暮れつつ映した寒風の鬼怒川フォト
        

 そんなこんなで3時すぎまで鬼怒川温泉駅近辺でもぞもぞしてたんですね。
 けど、これじゃああんまり時間が無駄すぎるし、なにより埒もあかないんで、駅前のバスを利用して近郊の温泉地に行こうと考えました。
 バスターミナルの表示をよく見ると、奥鬼怒行きのバスなんかも出てるじゃありませんか。
 奥鬼怒といえば栃木の際奥---あの女夫渕だとか加仁湯だとかの名湯が集まっている処です。
 (※ちなみにイーダちゃんは2006/07/08に加仁湯を、2008/08/25に女夫渕温泉をそれぞれ訪湯しています。詳しくは nifty温泉さんのクチコミを参照)
 とっさのうちに出発を決断して、バス亭の番号をたしかめて行ってみると、おお、なんとそこのバス、もうきてる!
 慌てて走って乗りこむと、びっくりしたことに、そのバスはお客で満載でした。
 鬼怒川温泉駅構内のお客すべてをあわせたよりももっと多いお客さん---しかも、手にTVカメラをもったひとや、TVでちょこちょこ見かけたこのあるタレントさんなんかも…。
 ええ、その日、僕がたまたま乗りあわせたのは、なんと、テレビ東京の温泉番組の撮影クルーさんたちをいっぱいに詰めこんだバスだったんです。
 後ろの席のディレクターさんに何気に尋ねると、それは、2月5日に放送の「いい旅夢気分」という番組収録のためのロケだということ。
 なんでも、予定では2時間以上の番組になるそうで、この大所帯もそのためだとおっしゃってました。
 いわれてみれば、バスに後続して、2台の大型ワゴンもくねくね道を追随してきます。
 そのなかにもタレントさんやら撮影クルーが乗ってるんだとか。
 へえ、面白いバスに乗りあわせちゃったな、と思いつつ、1時間40分のバス旅行がはじまりました。
 このバス旅行が案外面白かった---バスの運ちゃんはお喋り好きの60絡みの親切なおっちゃん---運転ながら道々の名所を「ねえ、テレビのひと、次の見所はねえ…!」なんていちいち解説してくれるひと。
 テレビのスタッフもノリがよくて、そのたびに「おお」とか「わあ」とか反応して、いいムード。
 ま、「2時間モンはハードすぎますよ…」なんて愚痴もときどき聴こえてきたけど、総じて楽しかったですねえ。
 ただ、龍王峡をすぎ、川治温泉もすぎ、湯西川に至るルート121号を左折して、雪深い山道のルート23号になってくると、テレビのスタッフからぽつぽつため息がもれはじめます。

----うわーっ、果てしなく田舎だねえ…。

----うん。こりゃあ、陸の孤島だっていうのも分かるなあ…。

----こないだロケした○○温泉もなかなか凄いと思ったけど、それ以上だね、これは…。

 実際、奥鬼怒に至る道程の秘境ぶりには、目を見張らせられるものがありました。
 僕は、まえにクルマでこの道を何度か走ってるんですが、自分で運転してると景色なんかあんま見てられませんから。
 こんなに景色をじっくり見ながら通るのは、実際初めてといってもよかったんじゃないでせうか?---まして、山の厳寒の冬景色でしょ? 奥鬼怒の自然美には、一種すさまじいものがありました。
 夜、マイナス20度くらいになるため、緑色に凍てついたダム貯水池の水…。
 あまりの寒さのため流れのとちゅうで背伸びしたまま凍結した、抽象彫刻みたいな滝…。
 白い山肌のなか、バスは延々と走り、いちどだけ中間地点でトイレ休憩をとりました。


             
 
 ここでトイレに行ったとき、タレントの太川洋介というひととたまたますれちがいました。
 元アイドルで、いまはレポーターをよくやってるひとなんだと。
 ただ、そのときは分からなかった。
 イーダちゃんは普段まったくテレビというものを見ないので、タレントの顔はほとんど知らないのです。
 あとからひとに聴いて、「ああ、そういえばあのひとって…」と、思いあたったという次第。
 ほかにも「栃木でいちばんいい女」と運ちゃんがいってた女性タレントともちょっと喋ったけど、僕は、彼女のことよく知らなかったし、帽子を目深にかぶっていて顔もよく分からず、また、さほど美人とも思わなかったので、失礼、名前、失念してしまいました。
 あとねえ、話飛ぶけど、このトイレ休憩のちょいあと、運ちゃんが「ここ、ニッポン一のつららがあるんですよ! ここ!」と防雪トンネルのとちゅうでバスをおもむろに徐行させて、スタッフが、おお、とテレビカメラを回しだしたりしたことがあったんですよ。
 あれは、よかった。
 それまで居眠りしてた撮影クルーも急に活気づいて、みんなしてバスの片翼にわらわら集まってきて。
 これが、そのニッポン一のつらら(?)とそのときのバス内風景ね---一応ここにアップしておきませう---5日の放送で使われるかなあ、と思ったけど、これ、結局は使われなかったみたいですねえ…。 


               

               


 さて、この日、テレビ東京の撮影クルーが向かっていたのは、奥鬼怒の「加仁湯(がにゆ)温泉旅館」。
 こちら、もの凄い山深くにあるお宿なんですよ---雰囲気がちょっと山小屋じみててね、森閑とした環境内での硫黄系、混浴の濁り湯が売りなわけ。
 当然、交通の便はやたら不便なんでありまして、バスが通っているのは、あくまでこの日光観光バスの終点である「女夫渕温泉」まで。そこから「加仁湯」まで行きたいひとは、徒歩か、宿からの送迎バスを待つよりありません。
 以前きたとき、僕はここまで歩いたんだけど、夏場でも徒歩で10キロあまりの道のりだったから、結構こたえました。
 しかも、ハイキングコースじゃなくて、こちら、完璧な山道ですから。
 こんな真冬に歩いたりしたら、天候次第じゃ遭難だってしかねないくらい。
 だもんで、それまでの僕は、「加仁湯」に飛びこみの宿泊でも決めこんでみようかな、なんて漠然と思っていたんだけど、後ろの席のデイレクターさんと話してたら、なんと、今日の撮影のため「加仁湯」では、これ以上の当日宿泊は遠慮させてもらってるとのこと---ヤバ…。
 うーんと、それなら終点の「女夫渕」で泊まろうかな、といったら、彼、あれ、「女夫渕温泉」は、たしか2、3年まえに廃業したはずだけど、なんて軽くいわはるの。
 思わぬ不意打ち情報にたじろぐイーダちゃん、

----マジ? マジっスか、それ…?

 そのようなやむない諸般の事情があって、イーダちゃんは、女夫渕温泉の2キロまえの、耳慣れぬ「川俣温泉」というバス亭で下車する運びとなったのでありました。
 降りたら「温泉」って謳ってるくらいだから、せめて民宿くらいあるだろ、と思っていたんですね。
 でも、川俣温泉ってすっげー田舎なの。
 見えるのは、はるけく雪化粧した山々ばかりなり。
 その山々の狭間ごとに、ときどき、申しわけ程度に小さな集落が張りついてる。
 あたり一面に雪が降りつもり、宿っぽい建物なんてどこにも見当たらない。
 加えるに、僕、皮靴だったから、道が滑るのよ、とても。
 帰りのバス亭を見てみると、すわ、帰りのバス、もー ないじゃありませんか。
 雪かき中の土地のひとに尋ねて、このあたりのひとがよく利用するという坂の下の国民宿舎を訪ねてみたんですが、あいにくのこと休館日でやってない。
 遠目に宿っぽい建物を見つけて、おっちらほいさら歩いて遠征してもみたんですが、そちら、潰れてあいにくの解体作業中。

----はあ、どうすんべ…? と僕は途方に暮れましたねえ。

 白い息を吹きあげながら困り顔でトホホンとしてたら、この旅館を解体してた兄ちゃんが声かけてきてくれました。
 
----ん? どうしたんですか…?

 で、まあいろいろ話しはじめて、事情も説明して、事情ついでに温泉のよもやま雑談なんかもしてたら、自然、この兄ちゃんと仲良くなってきちゃって、この兄ちゃん、それならばと、あるお宿を紹介してくれたの。
 この改装中の宿のなかを通っていったらそこへの近道だからと、ついには部外者の僕を宿の中を通して案内までしてくれて…。
 あのときは感謝デス、兄ちゃん!m(_ _)m
 このとき、兄ちゃんが紹介してくれた宿が、川俣観光ホテル「仙心亭」なのでありました---。


             

 渡りに舟というか、困りイーダに「仙心亭」というか、この偶然、嬉しかったなあ。
 で、テクテク雪道を歩いていって、「仙心亭」さんのロビーにいって、宿泊を申しこんでみたわけ。
 そしたら、係のおっちゃん、簡単にいいですよって---。
 ただ、正式にはウチ今日は休館日でして、厨房の者が誰もきてないので素泊まりというカタチになってさまうけど、それでもいいですかって。
 僕にいいもわるいもあろうはずがありません。
 どこにも泊まれなければ、零下20度の極寒の夜のなかで遭難だと思ってたんですから---。 
 もう嬉しくて嬉しくて、このロビーのごっついおっちゃんとさらに話していたら、驚くまいことか、このおっちゃん、僕の愛する、あの那須にある全国屈指の名宿「北温泉」を長年切りまわしてきた、あのAさんだということが判明しました。 
 全世界にファンを持ち、あの宮崎駿さんも泊まりにきたという、あの究極の混浴宿「北温泉」---!

 (※ここで「北温泉」について未知の方がおられたら、僕のまえのブログ記事、徒然その44☆北温泉逗留物語☆をお読みください)

 僕が「北温泉」の骨がらみのファンで、年に何度も泊まりにいくいわゆる「北温泉」フリークだということが分かると、このAさんも喜んじゃってね…。
 も・それからは「北温泉」の話題で超・盛りあがり!
 「北温泉」に詳しいひとで、このAさんを知らないひとはいません。
 なにを隠そう---先代の変わり者のご主人とともに、長年「北温泉」を切り盛りしてきたのは、このAさんだったのです。
 僕も泊まったとき、仲良くなったほかのお客さんから、Aさんのことはよく聴いてました。
 ただ、僕が「北温泉」にハマリだしたころと、このAさんが「北温泉」を去ったときってだいたい一致してて、直接の面識はなかったんですよ。
 いや、僕が「北温泉」にハマリだした初期のころには、実は僕、何度かこのAさんとすれちがっていたんですね。
 あの情緒ぷんぷんたる「北温泉」の帳場のまえの慰安所で、常連客とAさんらが夜中にお酒を飲んでる現場は何度か目撃したことがありました。
 僕自身もお酒に誘われたことがある。
 けど、僕、生来のひと見知りから、それ、断っていたんです。
 だから、Aさんとほぼすれちがいでいたわけで、お互い顔もよく知っちゃあいなかったわけ---それがどういう縁か、こんな川俣温泉の偶然訪ねた宿でよもやこうして再会することになろうとは---!
 このシンクロニシティーには、ただただ驚かされるばかりでした。
 Aさんは笑いながら、

----おっしゃ、イーダさん、じゃ今夜はコレ(ト飲む仕草をして)いきましょうか?

----うむ、いきましょう! と、僕もむろん即決です。

 で、温泉のあと、このAさんとAさんのお友達のMさんと、3人で宿のロビーでお酒を飲みました。
 Mさんっていうのは、かつていろんな事業をやってたお方---話がむちゃくちゃ面白いったら---さらに、このMさん、夕前に飯ぬきの僕がカップラーメンを所望したら、僕のために無料でまかないのカレーをつくってくださって…。
 おまけにこの方、元学生運動の闘士で、かつ骨がらみのビートルズ・ファンでもあって---。
 お酒は、宿の厳寒の屋根から下がっているつららで調達した、「つららロック」。
 旅先で友達になった年上のお二方と飲む「つららロック」は、まさに極上の味わいでした…。


                 ×            ×            ×

 おっと。温泉のほうも忘れちゃいけない---川俣温泉「仙心亭」さんの自慢の露天のフォトもここに掲載しておきませう---。


              

            ◆川俣観光ホテル「仙心亭」
            〒321-2717 栃木県日光市川俣サビ沢891-8
0288-96-0223 http://www.sensintei.com/



 こんなのを体験しちゃうと、もうますます旅がやめられなくなっちゃいますねえ。
 感無量の、味わい深い、なんともふしぎな温泉行でした。
 あとね、翌朝、お世話になった部屋をあとにするとき、煙草の空き箱をゴミ箱にむけて何気に投げたら、ゴミ箱のうえに僕の投げたその煙草箱、なんと、ちょこんと立ったんですよ。


              
              
 2メートル半くらいの距離から超・いい加減に投げたのに…。
 これにはちょいびっくり---このふしぎな旅全体を見事に総括してくれる、一本締めみたいな出来事だなあ、なんてつい思っちゃいました…。(了)