イーダちゃんの「晴れときどき瞑想」♪

美味しい人生、というのが目標。毎日を豊かにする音楽、温泉、本なぞについて、徒然なるままに語っていきたいですねえ(^^;>

徒然その238☆ 小さな怪談・詰めあわせギフト♡ ☆

2016-09-24 00:13:58 | じつは怪談



 Hello、怪談マニアのイーダちゃんです---!
 実は先日、会社帰りに携帯を落としまして、探しまくってもどこにもない、涙を飲んで大嫌いなポリスにいったら、
 ぬあんとちゃんと届けてくれている人がおりまして、あな、ありがたや~(-_-;)
 ただ、台風の夜に落としたんで、水浸しになり、携帯機能はほぼ全損…。
 かろうじてなかのSDカードの3分の2は無事でしたが、
 アドレス機能は全滅無残---いま、製造元に頼んでせめてアドレス情報の再生をお願いしてはいるものの、
 結果がどうでるか、は分からない。
 というわけで皆さん---携帯情報のバックアップはこまめにねっ❤
 あと、いま僕、修理期間中代車の携帯借りてまして、アドレスとか以前のままですので、
 僕といささか疎遠中の皆さまには、僕の携帯にメールとTEL番号とをお暇な折り、
 是非にも送付していただけたらなあ、なんて風に思っております。

 しっかし、携帯生活に慣れちゃうと、携帯なしの日常の時間って長く感じられるものですねえ。
 ただ、今回の記事は携帯の話じゃあない、あくまでも怪談系のお話であります。
 20代のころから僕はすでに怪談のマニアでありまして、
 稲川淳二のライブやら---「生き人形」は凄かったなあ---よく行ったりしたもんです。
 30代の後半に、実話怪談の天才・平山夢明氏が登場し、彼の世界にむちゃくちゃにハマリました。
 あと、HONKOWA の漫画、山本まゆりさんとかひとみ翔さんの「霊感お嬢」シリーズなんかも結構好き。
 作家の加門七海さんなんかも作品も案外読んでる---氏の「怪談徒然草(角川ホラー)」は傑作です。
 あと、最近じゃ、メディアファクトリーと角川ホラーから本を出しはじめた、郷内心瞳氏の拝み屋シリーズ、いいですねえ!
 残念ながら(幸運にも、というべきかな?)僕には塵ほどの霊感もなく、
 根がラテン系のせいか日本風のじめじめ世界に埋没することも苦手な口なんですが、
 異界からの風をふっと体感するあの感触は、いまだ大好きです---。
 というわけで僕の体験した実話怪談の小さなギフトを、ここに開示したいと思います…。


★二十代、夜間清掃のバイトをしてたころ、八王子在住のOとよく廃墟巡りをしてたんですね。
 Oは山口出身で、部屋に犬の頭蓋骨を飾ったり、カメレオンを飼ったり、
 ときどき泥棒をやったり、トム・ウェイツやフリージャズを聴いたりするトッポイ奴でした。
 で、ある晩、僕等はつるんで、恐れ多くも深夜のあの「八王子城」にいったんですよ。
 いまはとても怖くていけませんけど、当時は怖いモノ知らずだったんですねえ。
 芥川の修辞にあるまんまの「黒滔々たる闇」のなか、僕等は石垣を登ったり降りたりをくりかえしました。
 若いから、いくら歩いたって疲れない。
 で、足の向くまま何時間もウロウロしてたら、どこだか分かんない墓地についちゃった。
 かなり広大な墓地ですよ。
 折しもその夜は見事な満月でね---月明りに照らされた、ほの明るい無人の墓地を放浪するのは、結構愉しかった。
 肝試しならではの高揚感に包まれて、僕等ははしゃいでいたように記憶してます。
 「月光浴だ!」なんて互いにいい交わしてね---実際、試してもらえば分かるけど、月光浴って案外酔っぱらうんですよ。
 深夜の墓地のかもしだす異界のムードと、月光のもたらすこの世ならぬ光に照らされて、僕等、墓地のまんなかで仰向けに寝たりもしたんです…。
 一晩中そんな風にしてすごして、夜明けとともにOの部屋に帰ってちょっと寝て、
 それから僕自分のクルマで家に帰ったんですが、その帰りのとちゅう、
 愛車の中古のサニーのエンジンルームから真っ白い煙がふいにモコモコとあがりはじめたの。
 「うわあ、火事かよ」とまわりのクルマがびっくりするほどの煙の量。
 なんとかニッサンのお店見つけて修理に飛びこめたんですが、いつエンジンが止まるかほとんどひやひやものでした。
 あのときはこの事象を墓地とは関連づけて考えなかったけど、
 いま思うとアレはどう考えても「バチ」ですよねえ、うん…。
 修理費はたしか4、5万かかったように記憶してます。

★以前つきあっていたある女性と日光にいったとき---
 さんざん遊び倒して、帰り際にもう一軒温泉に寄っていこうって話になったの。
 だいぶ日は落ちてきてたけど、温泉宿の看板があったから、
 僕はそれならとハンドルを切り、古色蒼然としたその木造のお宿にクルマとめたんです。
 「すいませ~ん!」と玄関でひと呼んでみたけど、返事なし。
 ほの暗い受付にもその奥の廊下にもひとの気配はありません。
 「あのー」とか「誰かいませんかぁ」とか10分くらい粘ったように思う。
 いま、それ考えたらちょっと異様ですよね?
 フツーそこまでして粘らないもの---もしかして、そのときからもう呼ばれてたのかもしれない…。
 あんまり返事がないのでふたりして顔見合わせて、だめだね、帰ろうか、という空気が流れはじめたとき、
 奥から中年の痩せた半纏姿の宿のひとがようやくやってきて、
 ああ、すいません、と目をあわせないでいうんですね。
 ご入浴ですか? でしたらおふたりで千と〇百円いただきます。
 お風呂はそちらの廊下をまっすぐいったところの突き当りにございます。
 なんちゅうか、とにかく陰気な感じでね、廊下も風呂場前の販売機の明かりもなんとなく暗めに感じるわけ。
 でも、とにかく風呂に入ろぜ、と僕等入口で男湯と女湯とにまあ分かれたの。
 で、男湯に入ったんですが、僕の温泉史上あれだけ気味わるいお湯はなかった。
 結構広くて大きめの丸いタイルのお風呂なんですけど、最初に掛け湯したときからもう落ち着かない。
 誰かに見られてるみたいな視線の感覚が強烈にあるんです。
 しかも、それ、ひとりじゃない。
 気分を変えようと湯気向こうの窓を見てみたりもしたけどどうも駄目---気味のわるさが勝っちゃった。
 結局、10分足らずで僕は風呂を出ちゃってね、ビール販売機の明かりのまえで彼女が出てくるの、待ってたんです。
 そしたら長湯が身上の彼女もそれから5分くらいしてすぐにお湯からでてきて、いうことには----
 「なあに、ここ…? 入るとき私ひとの気配がいっぱいしたから、失礼しまあすって挨拶してから入ったんだよ。
 でも、入ってみたらだあれもいない。びっくりしたよ。絶対誰かいるっていうか、賑やかだったもん、このお風呂…」
 ふたりしてゆっくり目を見合わせて、それからほぼ同時にゾッとして……
 身体全然あったまってなかったけど、すぐ退散することにしたんです。
 エンジンまわしてアクセル踏んでブワーッとね---
 けどね、一方通行なんかであちこち曲がって、ふと気づいたら、また僕等さっきのお宿に向かってるんですわ。
 「ちがうちがう、戻ってきちゃったじゃんか!」
 「やだあ、なにこれ! ちがうほういってよ!」
 で、またほかの界隈をぐるぐるしたんだけど、またしてもかの宿にご到着---
 「呼ばれてるよ、これ! なんだよ、ありえねー!」
 もうほとんど悲鳴状態---結局僕等30分ほどのあいだに3度、このお宿に呼ばれてもどってきちゃって---
 このループから離れて大きな街道に出られたときには心底ホッとしました。
 帰りの車中で僕等、喧嘩したもの---だいたい、最初からひともいないのにあれだけ粘るのはおかしい、
 あのときから〇〇〇、なにかヘンだったよ---なんていわれちゃって…。
 あれから僕は温泉マニアの道を突き進み、それこそ千以上のお湯に入ったもんですが、
 いまだあれ以上薄気味のわるい湯浴みを体験したことはありません。
 恐山での湯浴みより、うん、あれは確実に寒かった。
 いまじゃ名前も覚えていない、日光のとある温泉旅館でのふしぎな湯浴みのお話でした……。

 と---ここまで書いて清書するためPCをイメージ画像に切替えたら、PCいきなしフリーズ。
 しかも3度---そのたびシャットダウンしてやり直して---なんか気味わるいなあ…。
 それ系の話してると電子機器が誤作動するってのは、あれ、ガセじゃないですね。
 霊界のプラズマと連動するせいかしら? ウームなり。
 いずれにしても去りゆく夏に哀惜をこめて送った、ちっちゃな実話怪談のおひろめでした。
 縁があったらまたどこかでお逢いしませうね---夜もやうやう更けました---それでは明日も無事に眼がさめることを祈りつつ、お休みなさい…。m(_ _)m





 

 
 
 

徒然その110☆飛田界隈での怪談☆

2012-06-22 09:49:33 | じつは怪談
                         


 学生時代に関西にいたとき、大阪の天王寺でセールスマンをやってた時期があるんですよ。
 売り物は、学○のマ○テ○ーゼミって商品。
 いわゆる教育系の教材ってやつですか。
 テレビに直結して使うと、クイズっぽいイエス・ノーの選択画面になって、それで楽々とひとり勉強ができちゃうっていう、当時にしてはまあ画期的な商品だったんですよ、これが。
 ただ、これ、値段が超・高かった---たしか、十何万かしたんじゃないのかな?
 いまみたいな不況の世の中じゃとても売れなさそうですが、僕がこのバイトをしてたのは、80年代中盤の、全盛のニッポンですからね。
 訪ねていくと、話、聴いてくれるひともときどきいたんです。
 ただ、飛びこみ営業じゃなくってね、会社から名簿と地図を渡されて、それで子供のいる家庭をまわるんです。
 子供と両親がそろっていそうな夕方から宵にかけての3、4時間が勝負って感じでした。
 会社的にいけば、学生バイトばっかり集めて「若者フェロモン大作戦」って意図だったんじゃないのかな? 若者の色気でもっておばちゃんの気を惹こうっていう---その作戦は、わるくなかった。
 僕、結構話とか聴いてもらえましたもん。
 タコ焼き、ごちそうになったことなんかもあった。
 ただ、セールスマンですから、辛辣に拒否されるケースのほうが、そりゃあ圧倒的に多いわけですよ。
 僕は、当時はまだ純情でしたから、そんなわけで---真剣に話を聴いてくれるひとの率が高い、下町のほうに活動領域がどんどん傾いていったんですね。
 で、その宵も、僕は、着馴れない背広姿で、地図を片手に、天王寺の商店街界隈をうろついていたんです。
 初夏で、背広姿で活動するには、やや蒸し暑い感じでした。
 なんか、商店街のアーケードの道筋を外れて、ちょっと裏手の筋に入ると、肉じゃがの香りがぷうんとしたりして、いいなあ、なんて思ったりしたのを覚えてますね。
 地図とにらめっこしつつ、天王寺のアーケード街を成りゆき的にどんどん下っていったんですが、そのうち、あ、まずい、このまま行ったら飛田のほうに突っこんじゃうぞ、と理性が働いたんです。
 飛田ってどんな場所なのか、全国の皆さんは、ご存知でせうか?
 飛田新地は、別名、日本最大の赤線地帯ともいいまして---街のブロックの一角が、まるごと巨大な売春地帯になっているような場所なんですわ。
 ずーっとむかしから、そうした因縁をしょってきた土地柄というか。
 有名なあいりん地区というのが近場にあるせいもあって、このあたりはガラが大変わるいのです。
 地元の大阪人もあんまり近づかない感じ---あたり屋だとか、目の行っちゃってるやっちゃん崩れの親父とか、アルコール臭をぷんぷんさせて、誰彼かまわずガンを飛ばしまくっている浮浪者とかが、鼻息も荒く横行しているような、おっとろしい土地柄なんですよ。
 でも、地図によると、その新地に行くまでの、○○の商店街から裏道筋に入ったところに、一軒、子供のいる家があるじゃないですか。
 これは、ここまできてそこに寄らずに引き返すのはもったいない、と僕は思い、内心のテンションと警戒心とを上げながら、飛田方面に歩きつづけたんですね。
 そしたら、裏道でちょっと迷ったけど、なんとか問題の家が見つかったわけ。
 平屋の、あんま大きくない、下町の駄菓子屋みたいな家屋だったかな---到着したのは、午後の7時すぎ。
 日がちょうど落ちたころでね、まわりのほかの商店はみんなまだ開いてるのに、なぜか、そのお店だけは雨戸がみんな閉まっていて。
 あら? と思って四方をぐるりとまわってみた。
 でも、どこも閉まってる---こりゃあ潰れちゃったか、夜逃げしたりかしちゃったのかなあ、と想像を巡らしたんですが、どうも分からない。
 帰ろうかとも思ったんですが、せっかくきたんだから、という気持ちに押され、とにかくそこの雨戸をノックしてみたんです。

----すみませーん、学○のモノでーす! あのー、お子さんにお話があってまいりました…。

 だあれもこない。いないのかな? 雨戸をもっと叩きます。

----もしもーし! どなたかいらっしゃいませんかー?

 そのとき、ふっと肩ごしにひとの視線を感じました。誰? とふりかえると、背後の別の民家の台所の窓の隙間から、そんな僕の背中を観察している誰かがいたんです。目を細めて、彼女(たぶん、おばさんだったと思う)の様子をうかがうと、ぱたぱたぱたと家の奥のほうに逃げちゃったけど。 
 なんだよ、失礼しちゃうな、と僕は再び雨戸叩きにもどります。
 ここまできたら、もう逢わずに帰ったらセールスマン失格だ、みたいな変な心境になってました。
 すると、雨戸を叩いているうち、表の斜めのとこの一枚が手で開けられることに気がついてね、えい、ままよって、そこ、半身分だけがらりと開けちゃいました。

----失礼しまーす! あのー、お子さんのお勉強の教材、紹介にあがった者ですけどー…。

 しーん。
 やっぱり、そこ、半分雑貨屋さんみたいな装いのお店屋さんでした。
 ただし、まっくら---空気も澱んでいて、ここ最近店を開けたような気配はありません。
 なぜか、酢コンブのにおいが、濃くたちこめています。
 だめかなあ、帰ろうか、と半分諦めかけたそんなとき、いままでしんとしてた店の奥にひとの気配を感じました。
 店の奥にある廊下の明かりがぱっと灯り、歩いてくる女性がいる。
 あらあらあら、なんていいながら、ちょっと小走りするみたいな気配。
 僕は、彼女の到来に笑顔のタイミングをあわせようとしたんですが、うまくいかなかった。
 だって、にこやかに奥から出てきたその女のひと、鼻がなかった---。
 顔の中央がつるんと平で、そのまんなかにハート型を逆さにした黒い穴が、ぽこんと開いてるの。
 僕、凍りつきました。
 自分のキ○タマが刹那のうちに下腹に引っこんだのが分かった。
 痛い、これは痛いゾ。

----あらあらあら、これは気づきませんで失礼しましたねー…。

 と、しかし、その鼻のないおばちゃんは、あくまで気さくに、しばらくひとと話してなかったみたいなノリで、前のめりに僕に話しかけてきます。
 対する僕は、もう完全に腰が引けてる、というか、こんなふいの事態に完璧ビビってる。

----いやいや…、こっちこそこんな急に…。雨戸までこんな開けちゃって…。いや、僕はセールスをですね……

 いうことは、もう支離滅裂---しかも、おばちゃんの顔の鼻の欠落部分から、どうしても目線が外せない。

----あらまあ、教育教材のお話なら、ぜひうかがいたいわあ…。ちょうど、そういうの要り用やなあって思ってた時期なんですよう…。

 でも、僕、両手のひらでいやいやの動作をしながら、及び腰で後退するのがやっとでした。

----うわ、それは…偶然というかなんというか…。でも、ちょっといまは資料がですね…その、なんていうか……

----そんなこといわんと、まあお茶でも飲んでいってくださいよ…。

----いや、そうしたいのは山々なんですけど、その、資料がちょっと足りなくて…。あのー、すいません…また、きまーす……!

 超しどろもどろ、まわれ右して、話そうとする彼女をよそに、あたふたともう逃げちゃった…。
 一杯飲み屋がいっぱい並んだ、雑然とした商店街にもどったら、ようやくほっとしました。
 気がついたら、僕の両脇は汗でびっしょり、あと、ちょっといただけだというのに、あの店のなかの酢コンブのにおいが、Yシャツの襟のあたりににじむように張りついてるの…。
 ひとの容貌を見て逃げ出すなんて、結果的に大変失礼なふるまいをしでかしちゃったわけなんですけど、あんなに怖い思いをしたことはいままでにありませんでした。
 僕は、刃物をもったチンピラに追いまわされた経験もあるんですが、それよりもこっちのほうが怖かった。
 ただ、鼻がないってだけで、ひとの表情ってあんなにちがっちゃうんもんなんですねえ。
 いまになってみると、ああ、あのときもっと彼女と話せばよかった、事情とかも聴いてやればよかった、とか思いはするんですが、あのときはあれが僕のめいっぱいのMaxでしたから、あれ以上はどうあがいてもむりだったでせう。
 以上が夏の夜のイーダちゃんの実話怪談伽のお披露目です---あいお粗末---!m(_ _)m