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コロナ医療崩壊への処方箋 #7  人工呼吸器の使用は慎重に

2020-04-25 | Aoki Office


編集長が研修医であった41年前、タイトル図にある人工呼吸器(Bird)の存在は即ち、「この患者さんは間もなく亡くなる」ことを示していました。 従圧式の人工呼吸器はかなりHarmfulな部分もあったのかも・・(良く見ると図の写真にはMuseumと・・)

さて「コロナの患者さんは驚くほど低酸素で平気である・・」とは多くの米国の呼吸器内科、集中治療領域の先生がコメントされることです。
コロナ肺炎は、他の微生物による肺炎とは以下のような違いがあるようで、「人工呼吸器に安易に依存することは危険」との記事も・・。
New analysis recommends less reliance on ventilators to treat coronavirus patients
Analysis urges less reliance on ventilators for coronavirus patients - STAT

コロナ肺炎の特殊性:
・他の肺炎に比して血液の酸素を88%以上にする必要が無い・・。もっと低く目標値を設定して良い。(現在のガイドライン推奨は他のウイルス性肺炎などに対するものの応用なので注意が必要かも)
・挿管の適応は「低酸素」よりも呼吸困難、疲労に対してが好ましい。
・コロナ肺炎では障害された部位の、すぐ横に全く正常な部位があり、人工呼吸器で送り込まれる酸素100%の高圧空気は弾性のある正常な部位にのみ入り込み、過剰なボリュームで空気のLeakや肺浮腫、炎症をおこしてしまう。(“ventilator-induced injury and increased mortality”)

新型コロナウイルス感染者の肺の動画、米病院が公開 「深刻に受け止めて」

中部病院の後輩で、神戸大学の岩田健太郎教授と同期のLDS Hospital(米国ユタ州)の田中竜馬先生がたしか、「人工呼吸器使用によるメリットよりも、人工呼吸器によるデメリットDamageにより注意が必要である」とどこかで書いておられた気がします。

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