感染症診療の原則

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ARTの要、3TC, FTCを守れ

2014-01-10 | 青木語録
3TCやFTC(cytosine analog reverse transcriptase阻害薬)は、編集長からみると、抗結核薬の中のRifamycinに相当。
即ち、要になる、Backboneの要になる薬剤です。これらのお陰で1日1回療法や同時HBV対策もやってくれるわけですから・・。

ですから業界で最も遺伝子変異番号を記憶するのが苦手な編集長でも3TCやFTCに耐性をもたらすM184Vという変異は一番最初に記憶したのです。

さて、これからはHIV感染症業界で懐かしい「Fitness」の話しです。
これはスポーツジムの用語でなくて、微生物の用語、平たく言えば増殖能力とでも言うのかな・・。M184VというやつはHIVに耐性を寄与する代わりにFitnessを失わせるのですね。さてFitnessを失ったHIVは更に細胞内のNucleotide (dNTP) が足りない状態になると更にFitnessを失うのでござる。

そこで!!登場するのが赤ワイン等に含まれる有用な成分レスベラトロール(resveratrol)でございます。
このレスベラトロールは細胞内の dNTPレベルを下げる事によりM184V変異をしたHIVの増殖を抑制するのでは・・という理屈。

さささ、それで結論は・・!!??

YES!!! でした。HIV野生株の増殖は抑制できなかったが、M184V変異株の増殖は抑制したのです。

今までの編集長のように「M184V株はAZT・ZDVの感受性が強まっている」を利用して(AZT・ZDV+3TC+TFV)といった野蛮な処方をして参りましたが、
これからはツルバダを赤ワインで飲み干す・・なんていうのもありかも・・。

まじめに勉強したい方は以下の文献をどぞ・・。
Heredia A, Davis C, Amin MN, Le NM, Wainberg MA, Oliveira M, Deeks SG, Wang LX, Redfield RR.
Targeting host nucleotide biosynthesis with resveratrol inhibits emtricitabine-resistant HIV-1.
AIDS. 2013 Dec 10.  PMID: 24326355

(写真:編集長のHIV感染症領域の師匠、UCSDのSchooley先生と静岡で)
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