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HIV感染症;針事故対応の実際

2006-10-24 | HIV:誰に検査をすすめるか
(いくつか情報をいただいたので別スレッドにまとめましたbyブログ編集部)
医師に「誰に検査をすすめるか?」ときくと、ときに「見た目怪しい人」という答えが返ってきます。アヤシイとは茶髪とか服装とか立ち居振る舞いをいうそうです。思い切り見落とし見逃しをしそうですね(苦笑)。
そういう意味ではERにくる理由のある人、なんて考え方としては妥当と思う人もいるでしょう。

針事故は「おこさない」とりくみが第一ですが、それでもおきてしまった場合、HIV対応をどうすればいいか。国内で参考になる資料としては東京HIV診療ネットワークが掲載している駒込病院の今村医師がまとめた資料があります。
http://csws.tokyo-med.ac.jp/csws/tokyohivnet/prevent/index.html

CDCのものそのままではつかえない、国立国際医療センターの(他の病院の)ニュアルでは自分の施設ではうまくいかない、という意見も多いのでやっぱりオリジナルが最終的には必要です。
まず皆さんの病院で「そういやエイズの季節だねえ・・」とつぶやき何かしようとという話になったらまずICTなどを誘ってマニュアルを見直してみてはいかがでしょう。

現時点では各病院の対応はばらばらのようです。いただいた情報によりますと、
■HVBとHCVのマニュアルはあるがHIVについては記載がない(げっ)
■予防内服薬が決まっていない・どこにあるか皆が知らない・薬をわけてくれる最寄の拠点病院を誰も把握していない・特に夜間はどうするのか知らない
■前に行政が配った古い薬がそのまま事故対応BOXにはいっている(使用期限切れ)
■フローチャートの連絡先にすでにいない医師の名前が責任者としてのっている(トホホ・・・)

試験管内でのデータでは2時間以内の内服開始が有効とありますが、地方ではそれも難しいということもありますし、都内の拠点病院でも本人がパニックになったり、責任師長や当番医師が他の重症患者対応で忙しかった、自分が病棟を離れられなかったなどで2時間はかなり難しい・・・という現実があるそうです。

とりあえず、1回目をなるべく早くのみ、8時間後に服用する2回目を飲むかどうかは他院の専門医などに相談をしてから考える、というのが現実の対応でしょう。そして実際は4週間継続服薬ですが、途中で患者さんは(-)だったとわかった時点で、あるいは曝露量がパターンからリスクが低いと判断されてその時点でやめるということになります。
ナースが予防内服をできない背景には、書類が多い・書類に目を通す人が多い(プライバシー)などがあったために、名古屋医療センターなどは書類をかえて、事務長(コストの関係)と責任医師(HIV担当医やICD)のみというように変えていました。
東京都の西部のある民間病院のICTはHIV感染がうたがわれる事故対応の場合、タクシーで数分の拠点病院である公立病院に支援してもらう体制を事故対応マニュアルに組み込んでいます(院長どうしで申し合わせ済み)。

自分の施設に内服薬(抗HIV薬)がない、患者の意識がない、針事故・曝露事故をしたのが妊婦、、、など実際におきている問題はいろいろです。
とりあえず迅速検査キットははいっているかなーとマニュアルや対応BOXをのぞいてみてはいかがでしょう。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200606/500649.html
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