感染症診療の原則

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日本の基幹病院をコロナから守るために必要な軸 その10

2020-04-10 | Aoki Office

「日本の基幹病院をコロナから守るために必要な軸」シリーズは、一応区切りと致します。 区切りに際して、今日(4月10日現在)の現場の声・実態を記しておきたいと思います。編集長には悲痛とも諦めとも思える声です。

#1:病院のキャパシティーを超える入院があってもPPE防護服が足りない。
・世界的に足りないので仕方がないですね・・。 エルニーニョ現象のようなものと諦める? (どこかの倉庫には眠っていても配るのは大変ですから・・)
・編集長は中国とパイプを持つ方にお願いして個人的なお手伝いはさせて頂いてます。それにしても、この間まで世界第2位の経済大国であった国でマスクやガウンがね・・本気になれば凄い力を発揮する国なのになぁ・・。

#2:診療に参加して下さらない施設・組織がある。
・強大なマンパワーや機械力を持つ組織(これには一部の大学病院が含まれます)が対岸の火事のように傍観していることは、パンク寸前の病院で仲間の医療従事者をコロナで失いながら忙殺されるよりも辛い。 某病院の教え子曰く「青木先生、当院に来る前に60カ所で断られたそうです!」

#3:検査実施数が増えない。 (キャパシティーに余裕あるのに)
・これは「キットの不足など検査のキャパシティーの限界」ではない点に注意が必要です。 現に、今日現在の検査処理能力には余力がある・・と聞いています。では、なぜ・・

>>> ここから先は編集長の邪推です 勿論、例外もあるが・・ >>>
・たぶん保健所も医療機関も陽性例を発見することを忌避しているのではないかな・・。陽性例を発見したら保健所は入院先を周旋しないとならないし、医療機関は診療しないとならないし・・。患者も陽性と診断されたら仕事いけないし・・

#終わりに:
・編集長が大学病院の責任者であったらコロナ診療に対して腰が引けるでしょう。縦割り組織の典型である大学病院の弱点は横串の機能である感染管理です。引き受けて院内感染症でも起きれば・・。
・編集長が保健所の所長だったり、私立病院の経営者だったら検査を引き受けたくないですね。 陽性例が出たら大変ですから・・。
・編集長がシングルマザーで日銭で生活していたら、体調不良でも決してコロナの診断を受けたくないです。仕事が無くなるから・・。

諸外国が不思議がるほど日本にコロナ症例が少ない理由が上記のようなものでないことを祈ります。

図は感染研のアップデートより
「感染症発生動向調査及び積極的疫学調査により報告された新型コロナウイルス感染症確定症例516例の記述疫学(2020年3月23日現在)」より
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