感染症診療の原則

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禁欲・コンドーム・セロソーティング・PEP

2010-01-29 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
リスクをゼロにはできないけれど、ある程度のリスクを認容して、実現可能な複数の対策をたてていくというのが戦略。

Risk Reduction, Harm Reductionという、リスクをゼロか百ではなく、スケールで考える方法です。

HIV感染症の対策で、政治的にすっきりきこえのよいのは禁欲です。(ブッシュ前大統領はここが中心)

若年層のある一時期には有効ですが、人間の生活・一生における健康管理を考えたときに、これだけではうまくいきません。

コンドーム。

これも、手元にない、売っていない、買えない、使い方がまずい、使ってもらえない、使うと体に悪い(という迷信が地元ある)、使おうとすると勃起が維持できない、、、など「使えば予防ができる」と言って終わりにできないわけです。

日本はこのあたりのメッセージでとまっています。

風俗産業やMSM/Gay男性が集う高流行エリアに健康支援/感染予防プログラムを提供するというところにまではいたっていません。
(表向きそういうものはないことになっている、だからやらない、という行政のひともいます)
多少の研究費はありますが、研究と事業は異なります。

セロ・ソーティングは公衆衛生ではなく、コミュニティから出てきた概念で、HIVステイタスをお互いわかった上で相手をみつける、というアイデアです。陽性カップルはつくりやすいですが、陰性かどうかはその時点で確実かどうかはわかりませんが。

アトランタのSex Clubの様子が訪問とインタビューで紹介されています。
Serosorting and Sex Clubs
このParty運営者はHIVステイタスをあわせたうえで(HIV陽性どうしで)、コンドームを使って・・を推奨しています。

PEPはPost Exposure Prophylaxis(曝露後予防投薬)の略ですが、これを啓発の中にすでにいれている地域があります。

日本では公開の議論をしているのをみたことはりませんが、「そんなことをみとめたらもっと危険な行動がひろまる」、「希望をされてもうちでは処方できない(しない)」という施設がほとんどのように思います。

英国・米国はじめいくつかの国には職務上曝露以外での曝露後対応のマニュアルがありますが、日本にはありません。

Judith Aberg先生がエイズ学会に来日したときに、New York大学病院の取り組みの一環として、ゲイサウナでの「リストバンドの配布」があると教えてくれました。

リストバンドの中には紙が入っており、急性期症状の紹介、相談電話の番号があります。こに予防内服の薬を入れる是非を検討しているということでした。

医療や公衆衛生の関係者が、正しい行動だけを説いていても問題解決にはならない、という現実からスタートしているから、とのことです。

性的曝露での予防投与については、クリニックで運営している「パートナーの会」などで、コンドームを100%利用するのがいかに難しいかという話が出ており、サービスとして必要とされている、ということでした。

「病院が対応をしなければ、おそらく患者の薬を飲ませたりして、さらに困る状況につながる可能性がある」実際そのような事例が複数あるから、、、というおはなし。

むずかしい・・。
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