感染症診療の原則

研修医&指導医、感染症loveコメディカルのための感染症情報交差点
(リンクはご自由にどうぞ)

広島の保育園での麻疹アウトブレイク

2011-01-29 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
保育園内で麻しんの集団感染という、とても怖いニュース。

0歳児を保育園に通わせている保護者にとっては恐怖・驚愕。

この事例で現在把握されている5症例は予防接種歴がないそうです。

1月28日 毎日新聞 地方版
行政ファイル:安芸区の保育園ではしかの集団感染 /広島

2次3次感染が問題になる感染症ですので、終息したのかどうかの確認が重要ですが、100名以上いる保育園児とその兄弟姉妹、家族、職員の予防接種歴・罹患歴を急いで確認することが重要になります。

麻疹は、回復した後、数年後のスパンで健康問題がおこることもあります。
(自然にかかったほうが免疫が強くついてイイというような発想は間違いです)

沖縄県の報告をみてみましょう。
コンビニでおつりのやりとりをした、スポーツ大会の同じ体育感にいた、同じライブコンサートにいた、バーベキューを一緒にしたというだけで免疫の無い人(感受性者)は麻しんを発症するリスクが高いことが知られています。

また、死亡したり重症化するリスクが1000人に1人という高い確率であり、病院にいっても特別な治療もないため、ワクチンがとても重要な感染症です。

最初のワクチンは1歳なので、0歳児を守るためには、周囲で麻しんが流行してはまずいわけです。
この保育園に0歳児がいるのかわかりません。0歳児は通常、他の年齢の児とは別の空間にいます。

麻しんと診断される前の受診で、公共交通機関や小児科の待合室で他の子どもが曝露してしまうリスクもあります。

諸外国では、麻しん症例が1例確認されると、行動履歴がメディアで報じられます(どの飛行機にのっていた、何時頃このスーパーにいた、など)。

市民には、予防接種歴の確認をうながし、予防接種歴のない人には曝露後の予防投与(ワクチンやグロブリン)が推奨されます。

日本の外でも麻しんは問題になっており、人の移動によって曝露機会も増えます。

1月5日の新華社通信は、フィリピンのある地域で、麻疹がブレイクしており、少なくとも30症例以上が入院、少なくとも子ども3人が死亡というニュースを伝えています。
3 children dead, over 30 sickened as measles outbreak hit flooded S. Philippines

最近、愛知県岡崎市でおきた麻疹のアウトブレイクは、遺伝子型がD9、フィリピン由来の麻疹ウイルスであることが把握されています。(3次感染まで広がっています)

1月13日のインターナショナルヘラルドトリビューンはイスラエルでの死亡例を報じています。
Measles outbreak in DG Khan

1月26日、オーストラリアのメディアがブリスベーンでの麻疹について報じています。ショッピングセンターにいた、銀行のATMにいった、フードコートを利用したというような情報もアナウンスされています。
Measles outbreak fear hits Brisbane

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本のワクチンは、10年ビハ... | トップ | ABCE 肝炎 »
最新の画像もっと見る

毎日いんふぇくしょん(編集部)」カテゴリの最新記事