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結核の集団感染(岩手県・高齢者施設)

2009-05-02 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
岩手県の結核集団感染事例のニュースがありました。

結核は感染症法に定められた感染症発生動向調査の2類の感染症で、診断した医師は即日保健所に報告をすることになっています。

日本は毎週300例前後報告されています。

症例が出ると保健所を中心に「接触者調査」contact tracingが行われ、検査の機会が提供されます。また必要な人には予防内服が勧められます。

300例とその接触者に対応するために、各保健所には非常勤で働く看護職なども雇われています。
インフル騒ぎの今も同じように届け出があり、調査も急ぎ行わなければなりません。

(5月2日 読売新聞)
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岩手県保健衛生課は1日、一関市の特別養護老人ホームで結核の集団感染があり、発症した4人の入所者のうち3人が死亡したと発表。1人は今も入院している。

施設の職員10人も感染が確認されたが、発症はしていない。
入所者は56人、職員は33人。
死亡したのは80歳代の女性と、90歳代の男女各1人。
80歳代の女性は急性心臓疾患で2月17日、90歳代の男性は肺炎で4月4日、90歳代の女性は急性肺炎で4月23日に死亡。
同課は「医師から結核と死亡との因果関係はなかったと診断された」としている。

発症した4人と接触があった入所者や職員について、3~4月にレントゲン検査などを実施したところ、職員10人の感染が確認された。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news/20090501-OYT8T01180.htm
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高齢者施設や刑務所で集団事例となったとき、結核菌の遺伝子パターンをみて、同じなのか(施設内感染か)、もともと感染していた人が栄養状態がわるくなったり身体機能低下して別個に同時期に発症したのかということが検討事項になります。
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