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ワクチンの同時接種

2011-01-20 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
日本では予防接種に最も詳しい専門家の組織である日本小児科学会が同時接種についての見解を発表。

朝日新聞が紹介しています。 
小児ワクチン「同時接種を」 学会「1回1種類」改める

「個別の接種では子どもを医療機関に連れて行く親の負担が大きい。接種を受け終わるのに時間がかかり、その間に感染する危険性もある」

高い接種率を上げるためには重要なことです。

日本小児科学会が発表した文書(2011年1月19日)
「日本小児科学会の予防接種の同時接種に対する考え方」PDF

先日参加したある会場では、「日本以外では同時接種が基本。日本も同時接種を基本とし、どういうときは同時ではまずいか、という例外を説明するほうがよい」という意見が出ていました。

思春期も、HPVワクチンだけでなくHBVワクチンの同時接種ができますし、関係者が2011年に知識をUpdateしなくてはならいことは多そうですね。

不活化ポリオワクチンを単身で接種したくて探している保護者も多いですが、お子さんの月例や予防接種状況によっては、「5種混合ワクチン」や「6種混合ワクチン」の存在を知り、そちらがいいなあと接種できるところを探す親御さんおみます。
5種混合はがん・感染症センター都立駒込病院ワクチン外来でも接種できますし、6種類混合ワクチンは都内なら複数のクリニックが選択できるようになっています。

「6種混合ワクチン」=INFANRIX HEXAには、日本でいう三種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳)、Hib(ヘモフィルスインフルエンザ)・B型肝炎・不活化ポリオの6種類が入っています。
HPVワクチン(サーバリックス)を販売しているグラクソ・スミスクライン社の製品です。

これに肺炎球菌(商品名プレベナー)を別に接種し、1回のセッションですめば赤ちゃんも保護者もたすかります。
国によってはここにロタウイルスもはいってきます。

スケジュール的にはこんな感じになります↓
オーストラリアの日本人保護者向け予防接種情報
やどかりラウンジ

プラハにお住まいの方のBlogによると、このオーストラリアと同じレベルの選択肢があり、無料で、プレベナー(肺炎球菌ワクチン)は日本の7価ワクチンではなく、すでに13価です。
フランスにお住まいの方のBlogでも、やはりInfanrix Hexa(6種混合)+プレベナー13価。

日本は制度や開発、利権、既得権、健康被害補償、政治パフォーマンス、各種からみあってどろどろ状態にみえてきました。
やはりACIPの的な、専門機関を軸に、ブレずにばしっと話し合って決断するシステム作りが先なのではないかと思います。そして一番の軸は、子どもの健康や安全、保護者の負担の軽減ではないでしょうか。
このような組織があれば、製薬会社プロモーションではなく、費用対効果や優先順位検討など、公衆衛生としての話の軸もできそうです。

いずれにしても、定期にしても任意にしても、輸入のワクチンにしても、接種前にはいろいろ情報を確認することも大事。

世田谷区で開業するかもしれない小児科医のブログ 2011年1月15日
同時接種と補償問題
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