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食中毒と損害賠償

2011-05-10 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
少し前にO157の広域アウトブレイクがおきた別のチェーン店は、現在12億円の損害賠償請求を卸に対してしており、業績もまだその影響を受けています。 「今期赤字幅が拡大、営業経費や訴訟関連費用の増加」

全ての業者が入っているわけではないようですが、専門の賠償共催などもあるようです。
(社)日本食品衛生協会 食品営業の賠償共催の制度

この業界団体が5月6日に作ったポスターPDFがHPに掲載されていました。 レバーの写真に×印
(5月6日以前にはなかったのかな)

誰が誰に賠償を求めるかはいくつかパターンがあります。

行政の行事で出た食事をして、通院や入院加療が必要になった事例で、市がいくら賠償したか。
医療費(通院費)+慰謝料福岡市平成21年9月資料
慰謝料は1日8000円くらいなんですね。

世界で最も大規模なO157アウトブレイクはSakai=堺市の事例です。
複数の賠償についての訴訟がありました。

【参考】
Blog 情報法学日記 by 岡村久道 「風評被害と損害賠償」


今回の病原性大腸菌アウトブレイクの続報をみてみました。

石川県の系列店の従業員からもO111検出のニュース。 時事ドットコム 5月9日 

(今後、検査を拡大すると「疑い」「可能性」例が増えたり、菌の遺伝子パターンが異なるものも紛れ込む可能性があります)

富山県 報道発表資料


会社のHP 「4月19日より26日の間に「焼肉酒家えびす」各店舗にて「和牛ユッケ」を食された方で、現在、嘔吐・吐き気・下痢・腹痛などの身体に症状がある方」は保健センターへ連絡するようアナウンス。

会社が期間を限定するのは違和感がありますが、保健所や県の指導でしょうか。

複数県にまたがると、全体でどれくらいかの把握が難しくなっていくのですが、メディアをみると、疑い例を含めて8日16時で104例になりました。

「生肉食中毒:患者104人に」 毎日新聞 5月9日
「生肉食中毒:卸業者「100%使用可能」…メールで提案」 毎日新聞 5月9日
証拠として文書やメールは重要。

「生肉食中毒:ユッケの加工を簡略化 フーズ社のマニュアル」毎日新聞 5月8日
これも記録として重要。

毎日新聞はチームでこの問題をおいかけているのかもしれませんね。時系列で見るとき参考になります。

福岡県はじめ、他の地域でも保健所が立ち入り検査をはじめている、という報道が増えています。

福岡県 県が立ち入り調査 生肉食中毒事件受け 
読売新聞 5月9日

食べ物やだけでなく、衛生管理ということでは関係者が対応を見直すきかっけとできるといいですね。

保育園のO111アウトブレイク事例では、トイレのタオルが共用だった、というようなことも指摘されていますので。
「保育園で発生した腸管出血性大腸菌O111とノロウイルスの同時流行による集団発生事例-宮崎県」
IASR 2008年
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